点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脊髄損傷

 動脈瘤手術後の脊髄梗塞とは?知っておきたい基礎知識

<この記事を読んでわかること>
手術後に起こり得る脊髄梗塞の原因
脊髄梗塞の症状とその見分け方
幹細胞治療による回復の希望はあるか

今回は動脈瘤手術後の脊髄梗塞とは?知っておきたい基礎知識について解説します。
脊髄梗塞は、動脈瘤手術後に脊髄への血流が途絶えることで起こります。
主な原因は、血管攣縮、塞栓、血栓形成です。
発症は稀ですが、神経障害が起こり、後遺症を残すこともある、重篤な疾患です。
迅速な診断と治療が求められます。

手術後に起こり得る脊髄梗塞の原因

この記事では手術後に起こり得る脊髄梗塞の原因について解説します。
手術の種類や患者の病態によって異なりますが、発症率は0.2〜0.5%程度です。
大きな要因として、大動脈瘤や解離性大動脈解瘤などの手術による血流障害です。
原因としては、血管攣縮、血栓形成、塞栓などです。
血管攣縮は、手術による物理的刺激や薬物の影響で血管が急激に収縮し、脊髄への血流が一時的に減少する現象です。
この状態が長引くと、脊髄の酸素供給が不足し、神経細胞に不可逆的な損傷が生じる可能性があります。
次に、血栓形成や塞栓が重要な原因となります。
手術中、血管内に微小な血栓が形成され、それが脊髄への主要な血管に流れて、閉塞することで起こります。
また、手術操作によって血管内に異物が入り込むこともあり、これが塞栓として脊髄の血管を閉塞するリスクを高めます。
さらに、手術後の低血圧や血行動態の不安定さもリスク要因です。
手術中や手術直後に血圧が大きく低下すると、脊髄への血流が著しく減少します。
脊髄は他の組織と比べて酸素供給に対して非常に敏感であるため、短時間の血流減少でも障害を起こす可能性があります。

脊髄梗塞の症状とその見分け方

脊髄梗塞の症状とその見分け方
この記事では脊髄梗塞の症状とその見分け方について解説します。
症状は、梗塞部位と損傷の程度によって異なりますが、一般的な症状は以下です。

  • 背部痛
  • 四肢の脱力
  • 麻痺
  • 感覚異常

です。
これらの症状は通常、数分から数時間の間に急速に進行します。
背部痛はしばしば鋭い痛みとして感じられ、特に脊髄の血流が途絶えた部位周辺に強く現れます。
四肢の脱力や麻痺は、脊髄の損傷レベルに応じて異なります。
たとえば、頸髄が影響を受けた場合、両腕と両足に症状が現れます。
胸髄や腰髄が影響を受けた場合は下半身に限定されることが多いです。
脱力は突然であり、しばしば一側性よりも両側性に現れることが特徴です。
また、麻痺の程度は完全なものから部分的なものまでさまざまです。
感覚異常も見られ、触覚、痛覚、温度覚の低下や消失が起こります。
特に、脊髄の前部が損傷される前脊髄動脈症候群では、これらの障害が顕著です。
また、帯状の圧迫感や締め付け感が現れることがあり、これは脊髄の特定の部位が障害されていることを示唆します。
その他、膀胱、腸の機能障害、性機能障害も見られることがあります。

幹細胞治療による回復の希望はあるか

この記事では幹細胞治療による回復の希望はあるかについて解説します。
幹細胞は自己再生能力と多分化能を持ち、損傷部位に移植することで、新たな神経細胞や支持細胞を生成し、損傷した組織の修復を促進します。
そのため、幹細胞治療は、損傷を受けた脊髄の神経細胞を再生することが可能です。
具体的には、幹細胞は患者自身の骨髄や脂肪組織から採取される自家幹細胞や、ドナーから提供される他家幹細胞が使用されます。
これらの幹細胞は、特定の条件下で培養され、神経細胞に分化させた後、脊髄梗塞の部位に移植されます。
このプロセスにより、損傷部位の再生による機能回復が期待されます。
動物実験や初期の臨床試験では、幹細胞治療が脊髄梗塞による神経損傷の再生が示されています。
加えて、神経保護効果や血管新生効果が報告されており、脊髄の血流改善と機能回復に寄与することが期待されています。
しかしながら、現状では、研究段階の治療であり、多くの課題が残されています。
具体的には、移植した幹細胞の生着率、長期的な安全性、効果の持続性などです。
また、免疫拒絶反応や腫瘍のリスクも考慮する必要があります。
さらなる研究と臨床試験による成果が待たれます。

まとめ

今回の記事では、動脈瘤手術後の脊髄梗塞とは?知っておきたい基礎知識について解説しました。
本疾患は脊髄神経を損傷する疾患です。
後遺症が残ることもあります。でも、神経組織を再生させると後遺症は軽減します。そのため、再生医療には期待が持てます。
脳や脊髄の損傷に対して、「ニューロテック®」と呼ばれる「神経障害が治ることを当たり前にする取り組み」も盛んです。
脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
らに、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「再生医療×同時リハビリ™」があります。
これらの治療法は、動脈瘤手術後の脊髄梗塞の後遺症に苦しむ患者さんに対して期待が持てる治療となります。

よくあるご質問

脊髄梗塞はなぜ起こるのですか?
脊髄への血流が途絶えることにより起こります。
主な原因は、動脈瘤手術中や手術後に起こる血管攣縮、血栓形成、塞栓です。
これらの要因が脊髄の動脈を閉塞し、酸素と栄養の供給が途絶えることで、脊髄細胞が損傷を受けます。

脊髄梗塞になる確率は?
年間発症率は、100万人あたり数人程度とまれな疾患です。
しかしながら、動脈瘤手術などの外科手術を受ける患者ではリスクが上昇します。
例えば、胸部大動脈瘤の手術後における脊髄梗塞の発症率は約1〜10%と報告されています。

<参照元>
MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07-%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%84%8A%E9%AB%84%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%84%8A%E9%AB%84%E6%A2%97%E5%A1%9E
東日本整災会誌:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jejot/34/2/34_98/_pdf/-char/ja

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