点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脊髄損傷

 転落事故による骨折と脊髄損傷には迅速な対応がカギ

<この記事を読んでわかること>

転落事故で損傷しやすい部位がわかる
転落事故で骨折や脊髄を損傷した場合の適切な初期対応がわかる
転落事故による神経障害に対する再生医療の効果がわかる


不意に高所から転落すると、上肢や下肢を骨折したり、最悪の場合は脊髄を損傷する可能性もあります。
骨折や脊髄損傷をした場合、初期対応をどれだけ適切に行えるかが重要であり、初期治療の質次第でその後の神経学的予後も変わってきます
この記事では、転落事故による骨折や脊髄損傷に対する迅速な初期対応の重要性について詳しく解説します。

転落事故で最も多い損傷部位とは?

転落事故で最も多い損傷部位とは?
「自宅の階段で足を滑らせて怪我をした」「梯子に登っていたところ、誤って転落した」
このようなシチュエーションは誰しも一度は経験したことがあるでしょう。
厚生労働省の調べによれば、転落災害の原因として上位から順に梯子・トラック・階段や桟橋からの転落が挙げられています。
中でもはしごからの転落で最も多い損傷部位は下肢で34.7%、上肢で21.4%と、四肢における骨折や擦過傷が最も多いです。
一方で消費者庁・独立行政法人国民生活センターの報告によれば、高齢者においては自宅での転倒・転落が最も多く、やはり下肢の損傷・骨折が48%と最多でした。
これは、転落時に重力に従って下肢から着地することが主な原因として考えられ、その際に手をついてしまうことで上肢の損傷に繋がっていると予想されます。
上肢や下肢の骨折であれば基本的に改善が見込め、シーネ固定などの保存療法や手術療法で治りますが、転落によって脊髄損傷すると話は別です。
脊髄は神経細胞が束になって構成されており、頭頸部や腰部の損傷で近隣を走行する脊髄が損傷すれば、上肢や下肢の麻痺・しびれが生じて生活に大きな支障をきたします
さらに、神経細胞は基本的に一度損傷すると再生能力が乏しいため、後遺症として残ってしまう可能性があり、上肢や下肢の骨折よりも日常生活に与える影響は大きいです。
転落における部位別の頻度は、頭頸部で約9%、腰部で約8%と、高頻度ではないにせよ、日常生活に与える影響を考えると十分注意すべき頻度です。

骨折と脊髄損傷の同時発生時の対処法

骨折と脊髄損傷の同時発生時の対処法
転落によって、骨折と脊髄損傷を同時に発生する可能性もありますが、この際まずは脊髄の保護を最優先に考える必要があります。
先述したように、上肢や下肢の骨折であれば改善が見込めますが、脊髄損傷は体動によって損傷の程度が悪化した場合、神経学的後遺症が悪化・残存する可能性が増加するためです。
特に頚髄損傷の可能性がある場合、まずは首が動かないように固定する必要があります。
周囲の人が気軽に話しかけただけで振り向いてしまう可能性もあるため、必ず振り向かないように転落した人の頭の上から、両手を使って頭部と頸部を固定しながら話すようにしましょう。
素人が抱きかかえて移動させることは非常に危険ですので、救急車を呼び、移動は救急隊に委ねるべきです。
救急隊員が移動を行う場合は、負傷者を硬い板にベルトで固定し、体が動かないように慎重にパッドをあてます。
また、首が動かないようにするために頸椎カラーを使用することもあります。
一方で、骨折が上肢や下肢の場合ならまだしも、骨盤骨折の場合は近隣に太い動脈が走行していることもあり、大出血の可能性もあるため、注意が必要です。
パッと見た時に一般の方が骨盤骨折や脊髄損傷の有無を目視で判断するのは困難であるため、やはり転倒・転落時は救急隊の要請を優先することが負傷者の健康のためにも重要です。

骨髄由来幹細胞治療で新たな治療の可能性を探る

脊髄損傷は対応が遅れたり、初期対応で誤った処置を行ってしまうと麻痺やしびれなどの後遺症を残してしまいます。
先述したように、脊髄を含む神経組織は自身の細胞を複製する自己複製能に乏しく、一度損傷すると髪の毛や爪のようには再生できないためです。
しかし、最近では脊髄損傷に対して骨髄由来幹細胞治療が新たな治療法として注目されています。
骨髄由来幹細胞治療とは、その名の通り、自身の骨髄から採取した幹細胞を使って損傷した神経細胞の構造や機能を再生する治療法です。
腰骨の1つである腸骨などから採取した幹細胞は、さまざまな系統の細胞に分化できる多分化能を持つため、採取したのちに培養して増殖させ、体内に戻すことで神経細胞のように作用します。
幹細胞は他にも脂肪組織から採取する脂肪由来幹細胞もありますが、骨髄由来幹細胞の方が脂肪由来幹細胞よりも神経組織への分化能が高いことが知られており、転落による神経障害の治療として注目されており、今後の知見がまたれるところです。

まとめ

今回の記事では、転落事故による骨折と脊髄損傷に対する初期対応の重要性について詳しく解説しました。
転落事故では下肢や上肢の骨折を罹患しやすく、中には頸部や腰部を損傷して脊髄損傷に至る方もいます。
初期対応ではいかに頸部や腰部を動かさずに、移動や搬送を行うかが重要であり、対応を誤れば神経障害が悪化する可能性もあるため注意が必要です。
また先述したように、最近では神経細胞の再生を目指す再生医療の発達も注目されています。
さらに、脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、脊髄や神経の治る力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善困難であった転落に伴う神経学的後遺症の改善が期待できます。

よくあるご質問

脊髄損傷と骨折の違いは何ですか?
脊髄損傷とは背骨や背骨周囲の靭帯・椎間板などで形成される脊柱管の内部を走行する脊髄が損傷することです。骨折が骨の損傷であることに対して、脊髄損傷はあくまで神経組織である脊髄の損傷です。

転倒して脊髄損傷になるの?
転倒した場合、脊柱管を形成する背骨の位置がずれてしまい、近隣を走行する脊髄が圧排されて脊髄損傷に至ります。特に、安定性の高い胸椎に比べて安定性の低い頸椎や腰椎は位置がずれやすく、頸髄・腰髄損傷のリスクが高いです。
<参照元>はしごや脚立からの墜落・転落災害をなくしましょう!|厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/170322-1.pdf
毎日が#転倒予防の日~できることから転倒予防の取り組みを行いましょう~|消費者庁:https://www.caa.go.jp/
脊椎および脊髄の損傷|MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/
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