点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脊髄損傷

 脊柱管狭窄症におけるブロック注射の賛否:メリットとデメリットを比較

<この記事を読んでわかること>
ブロック注射のメリットがわかる
ブロック注射のデメリットがわかる
ブロック注射の持続性について知れる

脊柱管狭窄症など整形疾患では、神経が圧迫されることで強い痛みを伴うことがあります。
そこで、疼痛緩和のためにブロック注射が行われますが、ブロック注射にはさまざまなメリット・デメリットがあるため、注意が必要です。
この記事では、ブロック注射のメリット・デメリットや持続性について詳しく解説します。

ブロック注射のメリット:痛みの軽減と日常生活の改善

ブロック注射とは
脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどの整形外科疾患は、椎間板や脊柱管の解剖学的変化によって、脊髄や周辺の神経が圧迫されることで、疼痛やしびれが出現する病気です。
一般的な打撲や擦過創などの表面的な傷とは異なり、神経痛は慢性的な疼痛であり、日常生活に大きな支障を与えます。
そこで、よく行われる疼痛緩和法の1つがブロック注射です。
ブロック注射とは、脊髄から分岐する神経や交感神経節近傍に針を進め、針から局所麻酔薬やステロイドを投与することで、痛みの原因となる神経の機能を遮断し、疼痛緩和を行います。
ブロック注射のメリットは主に下記の4つです。

  • 疼痛緩和
  • 血流改善
  • 施術が比較的短時間で終わり、即効性も高い
  • 全身への影響が少ない

疼痛緩和

ブロック注射は、神経痛を伴う多くの疾患の疼痛緩和を目指せます。
疼痛を伝導する神経を局所麻酔薬によって遮断することで、疼痛が脳に伝わらなくなるため、疼痛の緩和や軽減が可能です。
特によく用いられる疾患は、坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・三叉神経痛などです。

血流改善

ブロック注射は、交感神経を遮断することで組織への血流改善効果を持ちます。
交感神経は血管収縮作用があり、局所麻酔薬によって交感神経を遮断すると、血管が拡張することで血流が改善し、局所の酸素不足・虚血を予防することで発痛物質の生成を抑制できます。

施術が比較的短時間で終わり、即効性も高い

ブロック注射は比較的短時間で施術が終わり、即効性も高いです。
手技の内容や術者の技術次第ですが、慣れている医師であれば数分で1つのブロック注射を完結できます。
また、局所麻酔薬投与後数分で効果を実感できるため、治療が効いている感覚を実感しやすいです。

全身への影響が少ない

ブロック注射はあくまで局所の治療であり、全身の健康な部位には何ら影響を及ぼさないため、全身への影響が少ないです。
また、施術そのものも細い針で麻酔薬を注入するため、侵襲は非常に少なく済みます。

ブロック注射のデメリットや副作用:リスクはあるのか?

ブロック注射のメリット:痛みの軽減と日常生活の改善
ブロック注射のデメリットは主に下記の5つです。

  • 出血リスク
  • 局所麻酔中毒
  • 感染症
  • 低血圧
  • 麻痺やしびれの残存

ブロック注射は針を体内に穿刺して局所麻酔薬を投与しますが、その際、血管を損傷してしまうと出血リスクがあり、病原菌が混入すれば感染リスクもあります。
さらに、血腫が増大して脊髄や神経を圧迫してしまうと、重篤な神経障害をきたす可能性もあります。
また、生死に関わる合併症が局所麻酔中毒と低血圧です。
ブロックに使用する局所麻酔薬が誤って血管に投与されてしまったり、過剰に投与して徐々に血管に吸収されていくと、血液中での局所麻酔濃度が高まり、脳や心臓に重篤な影響を与えます。
最悪の場合、命を落とす可能性もあるため、十分注意が必要です。
また、交感神経の遮断によって過剰に血圧が低下すると、心臓に負担がかかり心筋梗塞や狭心症を発症する可能性もあるため、やはり注意が必要です。

長期的な治療効果とブロック注射の限界について

神経ブロックに使用する局所麻酔薬は常に持続投与するわけではなく、単回投与が基本であるため、局所麻酔薬が組織に吸収されると効果が下がります。
そのため、基本的に一回で永続的な効果が得られるような治療法ではありません。
一方で、一回の投与で長期的に効果が得られるケースもあります。
痛みは交感神経の活性化を招き、その結果血管が収縮して血流が低下すると、さらに痛みを感じている筋肉や組織への血流が低下します。
その結果、発痛物質が産生されてさらに痛みを感じるため、負の連鎖になるわけですが、神経ブロックによってこの負の連鎖を断ち切れる可能性があるためです。

まとめ

今回の記事では、脊柱管狭窄症におけるブロック注射の賛否について詳しく解説しました。
脊柱管狭窄症は、脊髄周囲の構造変化によって脊髄や神経が圧迫され、しびれや痛みが生じる病気です。
疼痛に対しては、内服療法やブロック注射が行われますが、あくまで対症療法であり、根治できるわけではありません。
また、根治療法である手術療法も神経障害などの後遺症を負う可能性があります。
そこで、近年では脊柱管狭窄症の神経症状に対して再生治療が新たな治療法として非常に注目されています。
また、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、神経症状の改善も期待できます。

よくあるご質問

ブロック注射の後遺症はありますか?
ブロック注射では、穿刺の際に出血して神経が血腫で圧迫されたり、神経そのものを刺してしまうことによる神経障害が残る可能性があります。
その場合、局所的なしびれや麻痺が残る可能性があります。

ブロック注射のメリット・デメリットは?
ブロック注射のメリットは血流改善や疼痛緩和です。
ブロック注射のデメリットは神経障害・局所麻酔中毒・出血・感染・低血圧などです。
特に局所麻酔中毒は命に関わる危険性があり、注意が必要です。

<参照元>
日本ペインクリニック学会:https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shishin/7-V-b.pdf
日本ペインクリニック学会:https://www.jspc.gr.jp/igakusei/igakusei_keyblock.html
J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspc1994/4/1/4_1_27/_pdf/-char/ja

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