点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脳卒中

 脳卒中に対する最新のリハビリとは

<この記事を読んでわかること>
従来のリハビリ方法との比較や進化について
最新のテクノロジーを活用したリハビリ方法
最新のリハビリ方法がもたらすメリットや期待

脳卒中の治療においてリハビリは重要な役割を占めることが知られており、急性期から回復期、生活期を通じて継続していく必要があります。高齢での脳卒中発症が増える中、介護人口を抑えるためリハビリの重要性が増しています。近年では電気刺激や磁気刺激、ロボットリハビリなど進歩が顕著であり、成果が積み重ねられています

日本全国に約110万人の患者さんがいる脳卒中ですが、現在も年間約30万人の方が新たに脳卒中を発症するとされています。
治療技術が進歩したことで救命率が上がる中、重要性を増しているのがリハビリです。
急性期から積極的なリハビリを行うことで後遺症を軽減することができます
また、新たな技術を使用した最新のリハビリが注目を集めています。
この記事では、脳卒中のリハビリについて解説します。

脳卒中の治療

脳卒中は脳の血管が障害され突然に発症する病気です。
脳の血管が詰まったり狭くなったりすることで脳の血流が足りなくなる脳梗塞と、脳の血管が破綻して血液による圧迫などで脳が障害される脳出血、くも膜下出血があります。
脳卒中の治療は大きく急性期、回復期、生活期(維持期)に分けることができます。
急性期には救急病院などで、脳の障害をできるだけ軽くするための治療が行われます。
脳梗塞であれば脳の血流を再開するための血栓溶解療法や血管内治療、脳出血やくも膜下出血では出血を抑えるため血圧を厳格にコントロールする治療や、再出血を防ぐための手術などが、適応があれば実施されます。
これらの急性期治療は近年非常に発展しており、救命率は大きく向上しています
急性期を過ぎると回復期、生活期を通じて生活能力を取り戻し、維持するための治療が中心となります。
その治療の中心となるのが、リハビリです。

脳卒中に対するリハビリとは

脳卒中は脳の神経に障害を与える疾患であるため、多くの場合後遺症が残ります。
後遺症として頻度が高いのは、運動麻痺や感覚障害、高次脳機能障害や嚥下障害などです。
症状の程度には幅があり、発症後6ヶ月程度まではある程度の自然回復を望むことができます。
そのため発症後6ヶ月までを「回復期」として、機能回復に焦点を当てたリハビリが積極的に行われるのです。
近年では急性期から積極的にリハビリを行うことで、より高い機能回復を望むことができるとされ、全身状態がある程度落ち着いたらすぐにリハビリを開始しています。
回復期後半から生活期になると、機能障害そのものの大きな改善は難しいと判断され、残された機能を使用して生活するためのリハビリが行われます。
例えば自力での歩行が難しいと判断されれば車いすの使用を練習し、自宅には手すりを設置したりバリアフリーに改修したりといった環境調整を行います。
高齢化が進み高齢での脳卒中発症が増える中、後遺症が残存すると自力での生活は難しく介護が必要になります。
介護人口の急激な増加は社会的課題となっており、より良い機能回復を目指した新たな手法が次々と開発されています。

再生医療と組み合わせた最新のリハビリとは

再生医療と組み合わせた最新のリハビリとは
脳卒中のリハビリで中心になるのは、セラピストが患者さんの体を触れ、診断と治療を行う徒手療法です。
患者さん個人の状態を詳細に把握するためにはセラピストによる診療が必要であり、その存在が必須であることは今も昔も変わりません。
その上で、様々な新たな機器がリハビリに応用されています。
代表的なものが電気刺激、磁気刺激を利用した手法や、ロボットリハビリです。
電気刺激は体表から電気の刺激を与えることで、筋肉を収縮させる方法です。
自力での筋収縮が難しくても、電気の刺激により筋肉が働き、筋力の改善と神経機能への刺激を促します。
磁気刺激は頭部に設置したコイルから脳へ刺激を与えるもので、脳の活動性を変化させる効果があるとされています。
実際にうつ病の治療などにも使用されている方法であり、脳卒中によって失われた機能を再度活性化できる可能性を持った画期的な治療法です。
ロボットリハビリでは機械によって正確な動作を促し、正確な刺激を与えることができます。
セラピストの負担を軽減するというメリットもあり、現在急速に広まっています。
中でも日本で開発された装着型サイボーグHALは、運動の再学習ができるという点で世界的に注目されており、国内外での保険適用が広がる動きを見せています。
これら最新のリハビリと相性が良いと考えられるのが、再生医療です。
再生医療は神経細胞の元になる幹細胞を治療に応用し、神経の回復能力を引き出します。
脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、「ニューロテック」として脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、再生医療の効果を高める取り組みを行っています。
脳卒中に対しては、再生医療と最先端のリハビリテーションを組み合わせることで最大限の機能回復を達成できると考えています。
脳卒中の症状にお悩みの患者さんやご家族の方は、ぜひご相談ください。

まとめ

脳卒中のリハビリについて解説しました。
日進月歩の領域であり、今も盛んに研究が重ねられています。
今後のさらなる発展に注目していきましょう。

よくあるご質問

脳卒中 リハビリでどこまで回復する?
脳卒中を発症しておおよそ6ヶ月までは神経の機能回復が望める時期であり、リハビリの治療効果が発揮されます。それ以降の症状は大きく変わることはなく、回復程度は発症した時のダメージや症状の程度により異なります。

小脳出血の後遺症は?
小脳は運動のバランスを調整しているため、小脳出血により機能が障害されると細かい動きがしづらい、歩行時にふらつく、呂律が回らないといった症状が発生します。神経の自然回復には限界があるため、これらの症状が後遺症として残存することがあります。

<参照元>
公益社団法人日本リハビリテーション医学会ホームページ:https://www.jarm.or.jp/civic/rehabilitation/rehabilitation_01.html

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