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脳卒中

 脳梗塞後遺症は幹細胞治療で本当に良くなるのか

<この記事を読んでわかること>
脳梗塞後遺症に対する幹細胞治療の可能性。
幹細胞治療が脳梗塞による麻痺や呂律困難の回復、痛みや痺れの緩和に役立つのか。
脳梗塞後の後遺症治療としての幹細胞治療の経済的負担。

脳梗塞は、脳の血管が詰まってしまうことで手足の麻痺や呂律困難などの後遺症を引き起こしてしまう可能性がある疾患です。再生医療によって、傷ついた脳神経が修復され、後遺症の改善が期待できる可能性があります。今回の記事では、再生医療と脳梗塞後遺症の関係について述べていきます。

脳梗塞後遺症と幹細胞治療のメカニズム

脳梗塞後遺症と幹細胞治療のメカニズム
脳梗塞は、脳血管が詰まることで起こる脳の障害であり、その後遺症は生活の質を大きく低下させることがあります。
幹細胞治療は、このような脳梗塞後遺症の治療法として近年注目されていますが、その効果は本当に期待できるのかどうか、この記事で解説していきます

脳梗塞の後遺症とは

脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血をまとめて脳血管障害といいます。
脳血管障害による症状は、脳の損傷によるさまざまな神経症状です。
例えば、片麻痺などの運動障害が出現します。
また、感覚異常や感覚鈍麻、うつ状態や意欲の減退などの精神症状、また失語や失認などの高次脳機能障害、認知症などのさまざまな症状も現れてきます。
これらの症状が残存するときには、後遺症と呼ばれます。

脳梗塞の後遺症に対する幹細胞治療のメカニズムとは

一方、幹細胞治療は、体の修復能力を持つ幹細胞を使用して、損傷した脳組織を再生しようとする治療法です。
特に、骨髄由来の幹細胞や臍帯血幹細胞が使用されることが多いです。
これらの幹細胞は、損傷した脳組織に移植されると、神経細胞や血管細胞に分化して脳組織の再生を促進すると考えられています。
具体的には、以下のようなプロセスをたどると考えられています。

神経細胞の再生

幹細胞は、損傷した脳組織に移植されると、神経細胞やその他の脳細胞に分化することができます。
これにより、脳梗塞によって失われた神経細胞の一部を補充し、脳の機能を回復させることが期待されます。

血管の再構築

幹細胞は血管内皮細胞に分化することもできます。
脳梗塞後には血流が低下している部位がありますが、幹細胞による新しい血管の形成によって、これらの部位への血流が改善されることが期待されます。

神経保護効果

幹細胞は、成長因子やサイトカインなどの神経保護物質を分泌することができます。
これらの物質は、残存している神経細胞の生存をサポートし、損傷した脳組織の修復を促進することが期待されます。

炎症の抑制

脳梗塞後には炎症反応が起こりますが、これが過度になると脳組織の損傷がさらに進行することがあります。
幹細胞は、炎症を抑制する作用を持つことが示されており、これにより脳組織のさらなる損傷を防ぐことが期待されます。

幹細胞治療の流れと治療プロトコル

幹細胞治療のプロセスは、患者から骨髄や臍帯血を採取し、そこから幹細胞を分離・培養して増やすことから始まります。
次に、これらの幹細胞を患者の脳に直接注入するか、血管内に投与して脳に運ばれるようにします。
治療後は、患者の経過観察が重要となり、定期的な検査やリハビリテーションが行われます。
治療方法は、患者の状態や治療の目的に応じて異なりますが、一般的には数回の幹細胞注入が行われることが多いです。
また、幹細胞治療は、従来のリハビリテーションや薬物療法と併用されることが多いです。

幹細胞治療による効果の期待と実状

骨髄由来幹細胞
脳梗塞の後遺症に対する幹細胞治療は、近年の研究により期待が高まっています。
しかし、その効果には個人差があり、まだ確立された治療法とは言えません。
幹細胞治療は、損傷した脳組織の修復や再生を促進することを目的としており、特に神経細胞の再生や血管の再構築に役立つと考えられています
幹細胞治療による脳梗塞後遺症の改善効果には、麻痺の改善、言語能力の回復、感覚障害の緩和などが報告されています。
これらの効果は、幹細胞が損傷した脳組織に移植され、神経細胞や血管細胞に分化して脳機能の回復を促すことによると考えられています。
また、幹細胞は周囲の環境に応じてさまざまな細胞に分化する能力を持つため、脳梗塞による様々な後遺症に対して広範な治療効果が期待されています。
現在までに、神経幹細胞から骨髄由来幹細胞、胚性幹細胞に至るまで、多くの幹細胞および前駆細胞タイプが神経疾患の治療法として提案されています。
その中でも、骨髄間質細胞、多分化能前駆細胞、臍帯幹細胞、神経幹細胞などの骨髄由来細胞集団が神経の再生に対して最も適しているのではないかと言われています。
しかし、幹細胞治療による脳梗塞後遺症の治療はまだ研究段階にあり、長期的な効果や安全性については十分に確認されていません。
また、治療には高額な費用がかかることや、幹細胞の採取・培養・移植などのプロセスが複雑であることも課題となっています。

まとめ

今回の記事では、脳梗塞の後遺症や、再生医療の効果について解説しました。
脳梗塞後遺症に対する幹細胞治療は、未だ研究段階です。
しかし、将来的には有望な治療法となる可能性があります。
現時点では効果の確実性や安全性、経済的負担などの問題があり、患者や家族は治療を選択する際にこれらの点を十分に考慮する必要があります。
脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、『神経障害が治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義しました。
そして、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』を、リニューロ®と定義しました。
リニューロ®は、同時刺激×神経再生医療、骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリにて『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』です。
脳梗塞後の後遺症に対する再生医療にご興味のある方は、当院の無料相談などをご利用ください。

よくあるご質問

脳梗塞の後遺症に対する幹細胞治療とは?
患者から取り出した幹細胞を培養し再び投与することで、脳卒中によって傷ついた血管や神経の修復を行う治療法のことです。幹細胞は脳細胞にも作用し、機能しなくなった脳細胞を修復し、これまでは回復の見込みがないとされていた後遺症の改善や、脳卒中の再発予防にも効果が期待できます。

幹細胞治療の効果は、いつから現れるのでしょうか?
幹細胞治療の効果は、幹細胞投与後3か月から半年後を目安にするとよいでしょう。脳梗塞の急性期の方は効果は早めに現れる可能性が高いと言えます。

<参照元>7. 脳血管障害患者の後遺症対策.内科雑誌.1991:80(4);79-84.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/80/4/80_4_583/_pdf
Hess, D. C., & Borlongan, C. V. (2008). Stem cells and neurological diseases. Cell Proliferation, 41(Suppl 1), 94–114. :https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18181951/

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