点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脳卒中

 脳卒中による痺れと麻痺の改善策をご紹介

<この記事を読んでわかること>
脳卒中後の片麻痺改善の可能性と初期対応
弛緩性から痙性麻痺へ麻痺の進行過程について
急性期から生活期まで3段階のリハビリテーションとは

脳卒中による痺れと麻痺の改善にはリハビリテーションが重要です。具体的には、運動療法、物理療法、言語療法があります。運動療法は筋肉の収縮や血液循環を改善し神経の回復を目指します。物理療法は電気刺激やマッサージなどを利用して筋肉の動きを改善させます。言語療法は会話や嚥下の障害を改善し日常生活の質を向上させます。

脳卒中後の片麻痺改善の可能性と初期対応

脳卒中後の片麻痺改善の可能性と初期対応
脳卒中は大きく分けて、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血があります。
脳卒中の後遺症である片麻痺は、早期の治療やリハビリテーションにより改善します
脳梗塞の初期対応として、脳の損傷部位を可能な限り最小限に抑えるために、薬物治療や血管内治療を行います。
薬物治療として、血管を詰まらせている血の固まりである血栓を溶かす薬剤、血栓が形成されることを予防するための抗凝固薬が使用されます。
血管内治療として、静脈内に血栓溶解剤を投与して血栓を溶解する経静脈的血栓溶解療法(IVT)、動脈内にカテーテルを挿入して血栓を回収する治療として経動脈的血行再建療法があります。
脳出血、くも膜下出血では薬物による血圧管理が中心となり、脳内の出血が多い場合には外科手術が検討されます。
いずれの疾患も病状安定後は、社会復帰にむけた個々の病状に応じたリハビリテーションが開始されます。
運動機能回復のための運動療法や物理療養、会話や嚥下の障害改善のための言語療法などがあります。

弛緩性から痙性麻痺へ麻痺の進行過程について

弛緩性麻痺とは、筋力が減退して緩んでいるため力を入れても反応が弱い状態です。
一方、痙性麻痺は筋肉の過剰な緊張や収縮が生じ硬直しているため動きが制限された状態です。
いずれの麻痺も脳卒中による神経損傷によって起こり、弛緩性麻痺から痙性麻痺へと進行することが多々あります
病状初期では、脳の損傷により筋肉のコントロールが失われるため弛緩状態になります。
このため、筋肉が緩んで柔軟性が増した状態になり、動かしやすいですが筋力は弱いです。
しかしながら、経過と共に、脳損傷の変化や筋肉を使わないことにより痙性麻痺に進行します。
このため、筋肉が固くなる、萎縮するといった症状が生じます。
関節が固くなる拘縮が起こることもあります。
この状態になると、運動が制限され日常生活に支障を来すため社会復帰後も後遺症として悩む原因となります。
こうならないために、病状の安定後は早期リハビリテーション開始が重要です。
内容として、運動療法、物理療法、言語療法を個々の病状によって組み合わせます。

急性期から生活期まで3段階のリハビリテーションとは

急性期から生活期まで3段階のリハビリテーションとは
急性期から生活期まで3段階で行われます。
具体的な内容は以下です。

急性期リハビリテーション((発症から約2週間まで)

目標は、生命維持、合併症予防、基本的な身体機能の回復です。
肺炎や呼吸器合併症のリスクを軽減するため、痰の排出、呼吸筋を意識した呼吸機能の回復をめざした呼吸リハビリテーションがあります。
病状安定後は、筋肉の収縮や関節の可動域維持のため、早期よりベッド上での動きを促進する早期モビライゼーションがあります。

回復期リハビリテーション(発症から約3-6か月まで)

目標は、日常生活動作の自立、社会復帰に向けた機能訓練です。
麻痺した筋肉の回復や動作の改善のために、筋力トレーニング、バランス訓練、歩行訓練などを組み合わせた運動療法を行います。
言語療法士による言語障害や嚥下障害の改善を目指した言語療法が行われることもあります。
その他、日常生活で必要な動作や活動の訓練を行う日常生活動作訓練もあります。

生活期リハビリテーション(退院後)

目標は、社会復帰後の日常生活の維持です。
個々の患者の状態に応じたプログラムが提供され実行します。
ソーシャルワーカーや家族の支援が大事です。

まとめ

今回の記事では、脳卒中による痺れと麻痺の改善策について解説しました。
脳卒中は脳血管の障害により神経を損傷する疾患です。
損傷した神経が早期に再生すると、後遺症は軽減され社会復帰までの期間が短縮されます
そのため、神経の再生医療は最も盛んに研究されている現状です。
脳や脊髄の損傷に対して、「ニューロテック®」と呼ばれる「神経障害が治ることを当たり前にする取り組み」も盛んです。
脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、脳脊髄損傷部位の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
さらに、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「神経再生医療×同時リハビリ™」によって、脳卒中の後遺症に苦しむ患者に対して、新たな治療として光明がさすことを期待したいです。

よくあるご質問

脳梗塞でしびれが強くなる原因は何ですか?
脳梗塞は脳の血管が詰まる疾患です。血管が詰まることで、その部分の神経に酸素や栄養が行かなくなります。すると、神経の機能が低下して、感覚や運動に関わる神経の正常な伝達が妨げられます。このため、痺れや麻痺が強くなります。

脳卒中の前兆はしびれですか?
しびれは代表的な前兆の1つです。症状として、顔の片側や手、足の一部が突然しびれます。他の前兆として、突然の強い頭痛、発語や理解力の障害、バランスの失調、視覚障害などがあります。卒中は、早期の発見と治療が重要な疾患です。このような症状が現れた場合は、早急に医療機関を受診して下さい。

<参照元>
日本リハビリテーション医学会:https://www.jarm.or.jp/
脳卒中に関する留意事項|厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11303000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu-Roudoueiseika/0000153518.pdf

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