点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脳卒中

 くも膜下出血の再出血で予後が心配な時の日常生活について

<この記事を読んでわかること>
くも膜下出血の再出血とその予後、特に高齢者における予後の悪化について。
くも膜下出血の後遺症の種類、治療方法について。
くも膜下出血の再出血予防策、および日常生活での注意点について。

くも膜下出血は、脳の動脈瘤が破裂することなどで起こり、突然の頭痛や意識障害が症状として典型的です。適切な治療によって命をとりとめても、後遺症が残ったり、再出血などのリスクがあったりします。今回の記事では、くも膜下出血の再出血の予後で心配な際の日常生活について解説していきます。

くも膜下出血後の一般的な後遺症

蜘蛛膜下出血後の一般的な後遺症
くも膜下出血とは、くも膜下腔という部位で脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう:血管にできたこぶ)が破れることです。
くも膜下出血が起こると、激しい頭痛や意識障害などが生じることが特徴です。

そして、くも膜下出血の主な合併症には、脳血管攣縮による脳梗塞、再出血、水頭症などがあります。
これらの合併症は予後を悪化させる可能性があります。
治療法としては、内科的治療や外科的治療(クリッピングやコイル塞栓術など)が行われますが、適切な治療法は患者の状態や出血の原因によって異なります

くも膜下出血後に一命を取り留めても、くも膜下出血では後遺症が残ることもあります。
一般的な後遺症には、以下のようなものがあります。

認知障害

記憶力の低下、注意力の散漫、判断力の低下などが含まれます。
これらは、日常生活や職業活動に影響を及ぼすことがあります。

運動障害

麻痺や筋力の低下、手足のしびれや感覚異常、協調運動障害などがあります。
これにより、歩行困難や手の細かい動作が困難になることがあります。

言語障害

言語理解や発話に関する障害で、失語症とも呼ばれます。
会話や読み書きに支障を来すことがあります。

感情障害

気分の落ち込み、不安、怒りやすさなどの感情的な問題が生じることがあります。
うつ病や不安障害を発症することもあります。

頭痛

SAH後に慢性的な頭痛を訴える患者もいます。
この頭痛は、慢性的であり、日常生活に影響を及ぼすことがあります。

疲労感

慢性的な疲労やエネルギーの低下を感じることがあります。
これは、回復の過程でよく見られる症状です。

睡眠障害

睡眠の質が低下することがあり、不眠症や過眠症が生じることがあります。

これらの後遺症は、個々の患者の状態や出血の程度、治療の成果によって異なります。
また、リハビリテーションや適切な医療介護によって、症状の改善や日常生活への適応が可能になる場合があります。

また、くも膜下出血の治療方法には、内科的治療と外科的治療があります。
内科的治療には血圧管理や頭蓋内圧の管理などがあります。
そして、外科的治療には破裂した血管のクリッピングやコイル塞栓術が含まれます。

くも膜下出血の予後と年齢による影響

くも膜下出血の予後は、患者の年齢、出血の程度、合併症の有無、治療のタイミングと方法などによって大きく異なります。
一般的に、くも膜下出血は重篤な病状であり、早期発見と迅速な治療が予後に大きく影響します。

例えば、日本では高齢化とともに80歳以上の超高齢者のくも膜下出血も増えています。
高齢者のくも膜下出血の治療成績は極めて不良とされています。
その理由としては、先ほど述べたように、もともとのくも膜下出血の重症度が高いことや、脳血流量の低下に対して耐える力(予備能といいます)が低いことなどが考えられています。

くも膜下出血患者の日常生活での注意点

くも膜下出血患者の日常生活での注意点
くも膜下出血後に再出血が起こると、致命的になることもあります。
くも膜下出血の再出血は、初回の出血後24時間以内に最も頻繁に発生し、再出血のリスクは最初の2週間が最も高いとされています。
再出血は予後を著しく悪化させ、死亡率や重度の障害のリスクを高めます。

再出血予防策としては、血圧管理、喫煙の中止、アルコールの適度な摂取、定期的な通院が重要です。

また、急性期を乗り越えた後にも、患者の日常生活では、以下のような注意点があります。

定期的な通院

定期的に医師の診察を受け、必要に応じて治療や検査を行います。
また、合併症や再出血の兆候に注意し、異常があればすぐに医療機関に連絡することが重要です。

血圧管理

高血圧は再出血のリスクを高めるため、血圧を適切な範囲内に管理することが重要です。
医師の指示に従い、薬物治療や食事、運動による血圧コントロールを行います。

健康的な生活習慣

バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、適度なアルコール摂取など、健康的な生活習慣を心がけます。

ストレス管理

ストレスは血圧に影響を与えるため、リラクゼーションテクニックや趣味などを通じてストレスを管理することが大切です。

過度な運動や重労働の回避

激しい運動や重い物を持つことは血圧を急激に上昇させる可能性があるため、避けるようにします。

転倒予防

転倒は再出血や他の怪我のリスクを高めるため、滑りにくい靴を履く、家の中の段差やつまずきやすいものを取り除くなど、転倒予防に注意します。

水分補給

十分な水分を摂取することで血液の循環を良くし、血管の健康を維持します。

医薬品の管理

医師から処方された薬は正しく服用し、市販薬やサプリメントを使用する場合は医師に相談します。

社会的サポート

家族や友人、サポートグループなどの社会的サポートを活用し、必要ならば心理的サポートを求めます。

くも膜下出血患者の日常生活での注意点は、患者の状態や医師の指示によって異なる場合があります。
定期的な医療フォローアップを通じて、個々の患者に合った生活習慣の指導を受けることが重要です。

まとめ

今回の記事では、くも膜下出血の後遺症や、くも膜下出血後の日常生活の注意点について解説しました。

くも膜下出血や脳梗塞、脳出血を含めて脳卒中といいます。
これらの後遺症として、脳神経の障害が元となった運動障害や記憶障害などが残ってしまうことがあります。

こうした脳神経障害を治療するため、当院脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義しました。
そして、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』を、リニューロ®と定義しました。
リニューロ®は、同時刺激×神経再生医療、骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリにて『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』です。

くも膜下出血後の後遺症にお悩みの方で再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。

よくあるご質問

くも膜下出血の予後因子には何がありますか?
くも膜下出血の予後によく相関するのは、発症時の意識障害の程度とされています。また、発症後に予後を悪化させる因子としては再出血と遅発性脳血管攣縮(くも膜下出血が起こってから脳血管が狭くなってしまうこと)が重要です。特に再出血は高率に予後を悪化させることがわかっています。

くも膜下出血の予後は?
一般的に、くも膜下出血は重篤な病状です。くも膜下出血患者の約25%が出血後の最初の24時間以内に亡くなり、約40%が最初の1か月以内に亡くなると報告されています。生存した患者の中でも、約半数が重度の障害を残しますが、適切な治療とリハビリテーションにより、一部の患者は良好な回復を遂げることがあります。

<参照元>
・脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会(改訂2023):https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf
・80歳以上の超高齢者のくも膜下出血の予後.脳卒中の外科.2007;35:432-436.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/scs/35/6/35_6_432/_pdf
・van Gijn, J., Kerr, R. S., & Rinkel, G. J. Subarachnoid haemorrhage. The Lancet.2007;369(9558):306-318.:https://www.thelancet.com/clinical/diseases/subarachnoid-haemorrhage

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