点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脳卒中

 心原性脳塞栓症のリスク要因

<この記事を読んでわかること>
心原性脳塞栓症の予防策
植え込み型心電形移植術(ICD)が脳梗塞リスクを軽減する
心房細動患者のリスク管理と生活指導

今回は心原性脳塞栓症のリスク要因について解説します。最も重要な要因は心房細動という不整脈です。心不全や心臓弁膜症も見逃せません。いずれの疾患も心臓内に血の固まりである血栓が出来て脳の血管を詰まらせ発症します。これら以外にも、加齢、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、睡眠時無呼吸症候群などがリスク要因として知られています。

心原性脳塞栓症の予防策

心原性脳塞栓症の予防策
この記事では心原性脳塞栓症の予防策について解説します。
心原性脳塞栓症は、心臓でできた血栓が脳の血管を詰まらせて起こる脳梗塞です。

最も重要な予防策は、心房細動の早期発見と適切な治療です。
発見法として、ホルター心電図検査が使われることが一般的です。
でも、検出が難しい場合には長期間にわたり心電図が記録可能な植え込み型心電図記録計(ICM)を用いることもあります。
ただ、この検査は植え込み手術が必要で侵襲があります。

心房細動の治療として、薬物治療やカテーテルアブレーションなどがあります。
薬物治療として、抗不整脈薬や血液を固まりにくくすることで血栓の形成を防ぐ薬である抗凝固薬を使用します。
心房細動の根治目的にカテーテルアブレーションという治療もあります。
この治療は、心房細動の原因となる心房付近の異常な電気信号の発生源を焼却する治療です。

その他、心不全や心臓弁膜症も心臓内に血栓が出来やすくなるため注意が必要です。
予防策として抗凝固薬が使われることが多いです。
心臓疾患以外にも、高血圧、脂質異常、糖尿病などの生活習慣病は、心房細動や脳梗塞のリスクを高めるので日常生活を見直しましょう。

植え込み型心電形移植術(ICD)が脳梗塞リスクを軽減する

植え込み型心電形移植術が脳梗塞リスクを軽減する理由
この記事では植え込み型心電形移植術(ICD)が脳梗塞リスクを軽減するかについて解説します。
植え込み型心電形移植術(ICD)は、心臓内にペースメーカーのような機器を埋め込み、心拍数や心電図を常時監視し、不整脈を検知すると電気ショックを発生させて正常な心臓リズムに戻すデバイスです。
主に適応となるのは心室頻拍や心室細動などの重篤な不整脈です。
これらの不整脈は突然死の原因となります。

ICDが脳梗塞リスクを軽減する理由は以下です。
1つ目は、心室頻拍などの致死性の不整脈を早期に検知し、電気ショックで正常なリズムに戻すことで、脳梗塞を含む様々な合併症のリスクを軽減するためです。
2つ目は、心室細動などの不整脈を治療することで、早期に左心室機能が改善するため、血栓形成を抑制し心原性脳塞栓のリスクを軽減するためです。

最近の動向として、ICDは、心房細動を早期に検知して電気的治療により心房細動をコントロールすることにより、脳梗塞のリスクである心房細動による血栓形成を防ぎ、脳梗塞のリスクを軽減することも試みられています。

心房細動患者のリスク管理と生活指導

この記事では心房細動患者のリスク管理と生活指導について解説します。
以下がそのポイントです。

心房細動は血栓が出来やすくなるため脳梗塞のリスクを増加させます。
そのため、血液の凝固を防ぐ抗凝固療法が重要です。
薬物として、ワルファリンや新しい経口抗凝固薬(DOAC)があります。
心房細動の原因となる疾患を治療することも重要です。
心房細動の8割以上は、心筋梗塞、弁膜症などの心臓病や、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が原因で起こります。
そのため、これらの原因となる病気を適切に治療することです。

日常生活の注意点として、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病にならないように健康的な生活習慣を心がけることです。
そのためには、減塩を含めたバランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、適正な体重維持に努めましょう。
また、ストレスは、交感神経を活性化し心房細動の発作を誘発する可能性があります。
そのため、ストレスを上手に管理することが重要です。
十分な睡眠、趣味を持つ、自分なりのリラックス法を実践することに心がけて下さい。

最後に、心房細動は自身で発症予防が可能な疾患です。
自分の健康状態の理解に努めましょう。

まとめ

今回の記事では、心原性脳塞栓症のリスク要因について解説しました。
心原性脳塞栓症は脳梗塞の1つです。
脳梗塞は脳の血管が詰まることにより脳細胞が壊死する疾患です。
壊死した細胞の再生は難しく、広範囲に及ぶと後遺症が出現し日常生活に支障を来たします。
そのため、神経の再生医療は期待のもてる治療法です。
脳や脊髄の損傷に対して、「ニューロテック®」と呼ばれる「神経障害が治ることを当たり前にする取り組み」も盛んです。
脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、脳脊髄損傷部位の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
さらに、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「再生医療×同時リハビリ™」があります。
脳梗塞の新たな治療方法として、神経を再生する医療は新たな治療の選択肢として期待がもてます。

よくあるご質問

心原性脳塞栓症とはどういう病気ですか?
心原性脳塞栓症は、心臓で出来た血栓が脳の血管を詰まらせる疾患です。突然発症しますが、重症例が多く、後遺症が残ることも多いことから、予防が重要です。最も多い原因は心房細動という不整脈です。その他、心不全や心臓弁膜症などが原因となります。

心原性脳梗塞の予防法は?
最も重要な原因である心房細動を早期に発見し、適切な治療を受けることが重要です。発見法としてはホルター心電図検査が一般的です。治療法として、抗不整脈薬や血栓の形成を防ぐ抗凝固薬を服用する薬物治療があります。その他、心房細動の根治をめざしたカテーテルアブレーションがあります。

<参照元>脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕 | 日本脳卒中学会:https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf
第23回 日常に潜む脳卒中の大きなリスク、『心房細動』対策のフロントライン―心不全の合併率も高い不整脈「心房細動」の最新知見― | 日本心臓財団:https://www.jhf.or.jp/action/mediaWS/23/02.html

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