<この記事を読んでわかること>
・一過性脳虚血発作とは?
・TIAの主な症状と原因
・TIAの予防策と生活習慣の注意事項
今回は一過性脳虚血発作(TIA)の基礎知識について解説します。一過性脳虚血発作(TIA)は、脳への血流が一時的に減少または遮断されることによって起きる短時間の神経症状を来す疾患です。症状は、一般的には1時間以内に消失します。
TIAは脳卒中の前兆として重要な疾患です。
診断方法として、脳の画像診断(CTやMRI)が用いられます。
一過性脳虚血発作とは?
この記事では一過性脳虚血発作とは?について解説します。
一過性脳虚血発作(TIA)は、脳への血流が一時的に減少または遮断されることにより短時間の神経障害を来す疾患です。
神経障害は、通常1時間以内に症状が消失し、後遺症を残さないのが特徴です。
しかしながら、TIAは脳梗塞発症の前兆として重要な警告信号です。
そのため、TIAの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
TIAの診断は、患者の病歴を詳細に聞き取り、神経学的検査、画像診断(CTやMRI)などを用いて総合的に診断します。
加えて、脳出血や脳梗塞の有無の確認も行います。
しかしながら、症状が短時間で消失するため診断が難しいことが多々あります。
治療は、将来的な脳梗塞の発症リスクを低減することを目的としています。
そのため、原因となる血栓の形成を防ぐために、抗血小板薬や抗凝固薬を投与します。
また、予防を目的として、生活習慣の改善が重要です。
健康的な食事、定期的な運動、禁煙が推奨されます。
加えて、高血圧、脂質異常、高血糖の管理が必要です。
これらは、血管を傷めて、脳への血流を妨げる要因となるので、確実なコントロールが求められます。
TIAの主な症状と原因
この記事ではTIAの主な症状と原因について解説します。
血流が不足する脳の部位によって異なりますが、主な症状は以下です。
典型的な症状は、片側の体の麻痺やしびれです。
突然発症しますが、1時間以内に消失するのが特徴です。
その他、片眼の視力が急に低下したり、視野が欠けたり、視野狭窄などの視覚障害も多いです。
さらに、うまく話せない、言葉の意味が理解できないといった言語障害や、ふらつき、めまいなどの症状があります。
主な原因は、脳に血液を供給する動脈の一時的な閉塞です。
この閉塞は、血栓が脳の血管を一時的に詰まらせることで起こります。
加えて、脳の血管が狭くなり、血流が低下する動脈硬化も重要な原因です。
従って、血管を狭めて傷める原因となる、高血圧、脂質異常、高血糖などの生活習慣病因子を良好にコントロールする必要があります。
その他、心房細動という不整脈も忘れてはいけません。
この不整脈は、心臓内に血栓をできやすくします。
できた血栓は血流に乗って脳の血管を詰まらせTIAを起こします。
TIAはしばしば脳梗塞の前触れとして現れるため、迅速な診断と治療が求められます。
TIAの予防策と生活習慣の注意事項
この記事ではTIAの予防策と生活習慣の注意事項について解説します。
治療的予防策として、薬物療法があります。
抗血小板薬(アスピリンなど)や抗凝固薬(ワーファリンなど)は、血液の凝固を抑制し、血栓の形成を防ぐ役割があります。
そのため、TIAの予防薬として大きな役割を果たします。
次に、適切な血圧コレステロールを目指すことです。
高血圧は血管に継続的に圧力をかける状態なので、動脈の壁を傷めて、動脈硬化を促進します。
降圧薬の服用や食事療法により正常な血圧を維持することが推奨されます。
生活習慣の改善による予防策も重要です。
禁煙が強く推奨されています。
喫煙は動脈硬化を促進し、血栓形成のリスクを高める作用があるためです。
健康的なバランスのとれた食事も考慮しましょう。
特に果物、野菜、全粒穀物を積極的に摂る、塩分の摂取制限が大切です。
脂質については、飽和脂肪やトランス脂肪を避けることが重要です。
過度の飲酒にも気を付けましょう。
加えて、定期的な運動です。
運動は心血管系を強化し、血圧や体重の管理に寄与します。
ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動が効果的です。
まとめ
今回の記事では、一過性脳虚血発作(TIA)の基礎知識について解説しました。
TIAから脳梗塞を起こすことは多々あります。
脳梗塞は脳神経が壊死する疾患なので、損傷範囲が大きいと後遺症を残します。
しかしながら、神経を再生させると、後遺症は軽減します。
そのため、損傷した神経を蘇させる再生医療は期待が持てます。
脳や脊髄の損傷に対して、「ニューロテック®」と呼ばれる「神経障害が治ることを当たり前にする取り組み」も盛んです。
脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、脳脊髄損傷部位の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
さらに、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「再生医療×同時リハビリ™」があります。
これらの治療法は、脳血管障害の後遺症に苦しむ患者に対する期待の持てる治療となります。
よくあるご質問
- TIAの症状に意識消失は?
- 意識消失を認めることはほぼありません。意識消失は脳全体の血流が不足することで起こります。一方で、TIAは局所的な脳の血流不足が原因です。従って、稀に意識が混濁する場合はありますが、意識消失までは至らないのが一般的です。
- TIAと脳梗塞の違いは何ですか?
- TIAと脳梗塞は、いずれも脳への血流が不足することによって起こります。主な違いは、症状の持続時間と後遺症です。TIAは通常1時間以内で症状が完全に消失し、後遺症を残さないのが特徴です。対して、脳梗塞は、血流の遮断が持続するため、脳組織が壊死して、持続的な神経症状や後遺症を残します。
<参照元>
対象疾患・治療法|一過性脳虚血発作は、早期に完成型脳梗塞を発症する可能性が高い|国立循環器病研究センター:https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/scd/cerebrovascular/tia-torikumi/
一過性脳虚血発作(TIA)|MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/
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一過性脳虚血発作とは、その名の通り一過性に脳血管が閉塞し、虚血に陥る病気です。症状はあくまで一時的なため、その後すぐに改善しますが、そこから数日以内に脳梗塞に発展する可能性が高く、重篤な後遺症を残す可能性もあります。そこでこの記事では、一過性脳虚血発作による神経症状や、後遺症に対して効果的なリハビリについて解説します。
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