・慢性痛の特徴と損傷後にすべきこと
・慢性痛に対する治療で効果的な例
・慢性痛の心理的影響と緩和策
脊髄損傷と慢性痛の対処には総合的なアプローチが必要です。具体的には、痛みの原因や種類に応じた薬物療法、身体機能の維持や改善を目的とした理学療法やリハビリテーション、精神的支援や認知行動療法などの心理社会的支援です。
この記事では、「脊髄損傷と慢性痛の対処」をテーマとします。
具体的には、以下の3点について解説します。
慢性痛の特徴と損傷後にすべきこと
慢性痛は、神経的な痛みや痺れ、筋肉のこわばりなどを生じるため日常生活に支障を来すことが多いです。
管理するには総合的な医療アプローチが必要です。
まず、痛みの原因を特定し、その原因に合わせた投薬治療を行います。
次に、理学療法やリハビリテーションによって機能的な回復を促進させ生活の質を向上させることを目指します。
具体的には、筋力トレーニング、柔軟性向上、身体機能のバランス改善などがあります。
心理的サポートも欠かせません。
脊髄損傷後の患者は、精神的ストレスによりうつ病などの精神疾患を発症する可能性があるからです。
家族や医療スタッフが心理社会的な支援を提供しつつ、認知行動療法やストレスマネージメント法を教えることも重要です。
さらに、日常生活の適応に対する検討も必要です。
自立した生活を送るために補助具やアシストテクノロジーを活用することを検討します。
適切な補助具の選択や適切な使い方を指導することで生活の質の向上を目指します。
慢性痛に対する治療で効果的な例
効果的な治療法として以下があります。
内服治療
痛みの程度や種類に応じて、鎮痛剤や抗炎症薬、抗てんかん薬などが処方されます。
これらの薬物は神経痛や筋肉の緊張を和らげるため痛みが軽減します。
理学療法
理学療法士による運動療法やマッサージ、温熱療法、電気療法などが行われます。
患者の筋肉の強化や柔軟性の向上、緊張の緩和を促進し痛みを和らげます。
神経ブロック注射
痛みの原因となっている神経に麻酔やステロイドを注入することで、神経伝達を一時的に遮断し痛みの緩和を図ります。
短期間の痛みに効果的です。
精神的サポート
慢性痛は精神的負担を生じます。
そのため、心理カウンセリングや認知行動療法などにより、患者の心理的な健康を改善し、痛みに対する受容能力を向上させます。
補助具やアシストテクノロジーの活用
日常生活の様々な活動において補助具やアシストテクノロジーを活用することで独立した生活を送ることが可能となります。
適切な補助具の選択や使い方の指導は、痛みの管理に役立ちます。
慢性痛の心理的影響と緩和策
慢性痛は患者の心理的健康に深い影響を与える可能性があります。
具体的には、うつ病、不安、ストレス、怒り、無力感、自己効力感の喪失などがあげられます。
その他、睡眠障害や社会的孤立感といった問題を引き起こす可能性もあります。
問題解決のためには心理的サポートによる緩和策が大切です。
以下が代表的な対策です。
心理カウンセリング
専門の心理カウンセラーを通して、患者の感情やストレスを軽減し、健康的なコーピング戦略ができるように支援します。
認知行動療法(CBT)
CBTは思考や行動を変えることに焦点を当てた心理療法です。
患者の痛みへの反応や対処方法を変えるのに役立ちます。
ストレス管理術
リラクセーション法や呼吸法、マインドフルネスなどのストレス管理方法を教えます。
そうすることで、日常的なストレスを軽減し痛みに対する受容能力を向上させることが期待できます。
生活の質の向上
趣味や興味を持つ活動に参加し自己実感や満足感を得ることで健康志向を向上させます。
家族や友人の支援や交流を通じて社会的な結びつきを強化することも有効です。
まとめ
今回の記事では、脊髄損傷と慢性痛の対処について解説しました。
脊髄損傷による慢性痛に対処するためには総合的なアプローチが大切です。
脊髄損傷は神経が死滅し身体的障害が残る疾患ですが、死滅した神経を再生できれば障害が改善する可能性があります。
そのため、再生技術に対して最も期待ができる分野と考えます。
脳や脊髄の損傷に対して、「ニューロテック®」と呼ばれる「神経障害は治るを当たり前にする取り組み」も盛んです。
脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、脳脊髄損傷部位の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
さらに、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「神経再生医療×同時リハビリ™」によって脊髄損傷の新たな治療に光明がさすことを期待したいです。
よくあるご質問
- 慢性痛の治し方は?
- 慢性痛の治し方は多岐にわたります。まず、医師の指示に従い適切な薬物療法を試します。次に、非薬物療法として物理療法や認知行動療法を検討します。リラクゼーションやストレス管理、適切な睡眠環境なども有効です。
- 慢性疼痛はいつまで続くもの?
- 個人の病態や重症度によって異なり一概に回答ができません。長期間継続する場合もあります。しかしながら、治療や管理に取り組むことで、痛みの程度や継続期間を軽減することが可能です。
<参照元>
日本リハビリ医学会:https://www.jarm.or.jp/
整形外科疾患|脊髄障害性疼痛症候群(平成23年度)|難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/2440
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