幹細胞治療による再生医療×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脳卒中

 脳梗塞とてんかんの関係

<この記事を読んでわかること>
あらためて脳梗塞とは何かを知る
脳梗塞によるてんかん発作のメカニズム
海馬硬化とてんかんの関係

脳梗塞は、血栓や塞栓によって脳の血管が詰まることにより血液の流れが途切れ、脳の神経が壊死する疾患です。一方、てんかんは、脳内の神経が障害を受けることにより異常な興奮により異常な電気信号が生じて身体的な発作を起こす疾患です。両疾患は密接な関係があり、脳梗塞患者の約5%がてんかんを発症すると報告されています。

あらためて脳梗塞とは何かを知る

あらためて脳梗塞とは何かを知る
この記事ではあらためて脳梗塞とは何かについて解説いたします。
脳梗塞は、血管内の血栓や塞栓によって脳の血管が詰まることで、脳の一部の神経細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなり、神経細胞が壊死する疾患です。
脳梗塞は脳卒中の一種として分類されますが、脳卒中の原因の約6割を占めており、死因の第4位となっています。
脳梗塞は原因により大きく3種類に分類されます。
脳の血管が動脈硬化によって狭くなり、そこに血栓ができて詰まるタイプのアテローム血栓性脳梗塞
LDL-コレステロールの管理が重要です。
脳の細い血管が動脈硬化によって詰まるタイプのラクナ梗塞
高血圧の管理が重要です。
不整脈により心臓でできた血栓が脳の血管に飛んで詰まるタイプの心原性脳塞栓症
心房細動という不整脈の管理が重要です。
脳梗塞の症状は、詰まった血管の場所や病変の大きさによって異なります。
一般的な症状として、体の片側の手足の麻痺やしびれ、呂律が回らない、言葉が出てこない、言葉が理解できない、めまい、意識障害などがあります。
脳梗塞は緊急性を要する疾患ですので、これらの症状が現れた場合はすぐに医療機関を受診して下さい。

脳梗塞によるてんかん発作のメカニズム

この記事では脳梗塞によるてんかん発作のメカニズムについて解説いたします。
脳梗塞によるてんかん発作の発作メカニズムは複雑でまだ完全には解明されていません。
でも、関連性が強いことはわかっており、いくつかの要因が考えられています。
脳梗塞によって神経細胞が障害を受けると、神経細胞の興奮と抑制のバランスが崩れてしまい、異常な電気信号が発生しやすくなり、それが引き金となり発作が起こると考えられています
病変が進んで、神経細胞が壊死すると、その部分は瘢痕化します。
瘢痕組織は正常な脳組織とは電気的な伝わり方が異なるため、その周囲の神経細胞が反応して異常な興奮状態になり、発作の発生源となり発作が起こると考えられています。
脳梗塞によって脳組織に炎症が起きた場合、神経細胞は興奮しやすくなるため異常発火が起こり、発作が起こりやすくなります。
さらに、脳梗塞による脳組織の損傷は、神経回路のリモデリングや新しい結合の形成を促進します。
そうすると、脳の神経回路が再編され、発作の発生や拡大を促進する可能性があります。
脳梗塞後のてんかん発作はこれらの要因が複合的に絡み合って起きると考えられています。

海馬硬化とてんかんの関係

この記事では海馬硬化とてんかんの関係について解説いたします。
海馬は「記憶の司令塔」として重要ですが、学習、空間認識などにも関わっています。
脳の組織の中でとても壊れやすい部位としても知られています。
海馬硬化とは、脳の海馬の神経細胞が損傷や壊死により硬くなる疾患です。
原因として、炎症、外傷、低酸素状態など様々です。
海馬硬化になると、海馬の神経細胞が減少し萎縮するので、海馬内の神経回路から異常な電気信号が発生しやすくなり、てんかんが起こりやすくなります
実際、てんかん発作が起こる好発部位として知られており、てんかん患者の約半数以上が海馬硬化を有していると報告されています。
海馬硬化によるてんかんは意識を失うてんかん発作が特徴です。
前兆症状として、上腹部のこみあげるような不快感、恐怖感などがあります。
意識を失った後は、口をモグモグと動かす、その場の状況にそぐわない仕草をするなどの自動症という症状を示すこともあります。
発作後の意識の回復はゆるやかで、意識がはっきりするまで数分かかることもしばしばです。時に全身けいれんに至ることがあります。
記憶障害、抑うつなどの精神障害を合併することもあります。

まとめ

今回の記事では、脳梗塞とてんかんの関係について解説しました。
脳梗塞は脳血管が詰まることにより神経が壊死する疾患です。
壊死した神経が再生した場合は脳梗塞による後遺症に悩むことは少なくなります
そのため、神経の再生医療は最も盛んに研究されている現状です。
脳や脊髄の損傷に対して、「ニューロテック®」と呼ばれる「神経障害が治ることを当たり前にする取り組み」も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、脳脊髄損傷部位の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
さらに、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「神経再生医療×同時リハビリ™」によって、脳梗塞の後遺症に苦しむ患者に対して、新たな治療として光明がさすことを期待したいです。

Q&A

脳血管障害とてんかんの関係は?
密接な関係があります。脳梗塞患者さんの約5%がてんかんを発症すると言われています。脳梗塞によって脳組織が損傷を受け、その部位がてんかん発作の焦点となることが多いからです。

てんかんは脳にどのような影響がありますか?
てんかんは脳内の神経細胞の異常な興奮によって起こります。この活動は脳の電気的な信号に影響を与えるとともに一時的な脳の障害を起こします。そのため、発作時には意識障害、筋肉の痙攣、感覚の変化、あるいは行動の変化などが見られます。また、長期間のてんかんは、認知機能の低下や行動の変化を起こすことがあります。
<参照元>
難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/4438
てんかん専門医ガイドブック改訂第2版:診断と治療社 :https://www.shindan.co.jp/books/index.php?menu=10&kbn=1&cd=241700
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