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脳卒中

 内頚動脈海綿静脈洞瘻とは?脳出血との危険なつながり

<この記事を読んでわかること>

内頚動脈と海綿静脈洞の解剖学的な関係がわかる。
CCFの発症メカニズムと分類(直接型・間接型)がわかる。
なぜCCFが脳出血を引き起こすのかがわかる。


内頚動脈海綿静脈洞瘻(CCF)は、眼の充血や眼球突出などの症状を引き起こし、まれに脳出血を伴うこともある疾患です。
そのタイプは直接型・間接型などに分けられています。

早期発見・治療により改善が期待でき、カテーテル治療が主流です。
本記事では、その原因や分類、再生医療の可能性について解説します。

内頚動脈と海綿静脈洞の解剖学的な関係

内頚動脈と海綿静脈洞の解剖学的な関係
脳の中にはさまざまな血管、神経の構造があります。
ここでは、内頚動脈と海綿静脈洞(かいめんじょうみゃくどう)の解剖学的な関係について述べていきましょう。
海綿静脈洞は、眼の後方、頭蓋骨の基底部にある太い静脈です。
この静脈は、顔の静脈から集まる血液を心臓へ送っています。

海綿静脈洞は、前方では眼の静脈と、前側方では浅シルビウス静脈、側方では中硬膜静脈洞、後方では上・下の錐体静脈洞と連続しています。

そして、この海綿静脈洞の中を内頚動脈・外転神経が走っています。
特に注目すべきは、海綿静脈洞の内部を内頚動脈が直接通っているという点です。
この動脈は脳への主要な血流を担っており、万が一この部位で血管の損傷や病変が起きると、静脈系に高圧の血液が逆流する「シャント」が形成されやすくなります。
さらに、外転神経(第6脳神経)もこの静脈洞内を走行しており、障害されると複視(物が二重に見える)などの神経症状が出現します。

CCFの発症メカニズムと分類(直接型・間接型)

内頚動脈海綿静脈洞瘻(carotid cavernous fistula:CCF)は、海綿静脈洞とその中を通る内頚動脈との間に、異常な通り道である動静脈瘻(シャント)が生じる病態の事です。
正常では存在しないはずのこの通路によって、動脈の高い血圧が静脈側に直接流れ込むことで、さまざまな症状が現れます。
CCFでは、以下のような3つの症状が主なものとされています。

  1. 眼球結膜の充血浮腫
  2. 拍動性の眼球突出
  3. 眼窩部での血管雑音聴取

発症のメカニズムについては、以下のような直接型と間接型に分けて考えられます。
Barrowらの分類と呼ばれています。

直接型CCF

直接型CCFは、頭蓋底骨折、外傷による加速・減速力、血管内治療や経蝶形骨洞手術後の医原性損傷などによる動脈の外傷性裂傷に続発して発生すると考えられています。
また、脳の中の内頚動脈瘤破裂や、血管損傷を起こしやすい遺伝性疾患による動脈の脆弱化に続いて自然発生することもあります。
直接型CCFは、内頚動脈から海綿静脈洞へ流れ込む血液量が多く、速度も早くなります。
そのため、重症化しやすく、早期の治療が必要となります。

間接型CCF

間接型CCFは、内頚動脈の細い枝(硬膜枝)や外頚動脈からの枝が、海綿静脈洞と異常につながることでシャントを形成します。
原因は不明なこともありますが、高血圧、動脈硬化、静脈洞血栓などの基礎疾患が関与していると考えられています。

血流量は直接型に比べて少ないため、症状が緩徐に出現することが多いです。
時には自然に閉塞することもありますが、慢性的に眼の違和感や視力障害が続く場合には治療が必要です。

なぜCCFが脳出血を引き起こすのか?

CCFで脳出血を起こすことはまれとされています。
しかし、まれに脳出血という深刻な合併症を引き起こすこともあります。
CCF間接型の中には、脳皮質静脈への血液逆流がみられる場合もあります。
すると、それが原因となり小脳や脳幹などでの出血をきたす症例も報告されています。

CCF間接型の病態は、頭蓋内硬膜動静脈瘻が海綿静脈洞にできた場合と似たものと考えることもできます。
この頭蓋内硬膜動静脈瘻は、硬膜の中を走る硬膜動脈(外頚動脈から分岐)と、硬膜内の静脈の間に異常なつながりができてしまう病気のことです。
硬膜内の静脈には、静脈洞につながっていくものもあります。

そして、日本人においては海綿静脈洞に硬膜動静脈瘻が発生することが多いとされています。
その症状としては、圧の高まった血流が目の方に流れていき、目の充血や複視、眼球突出等がみられることがあります。
なお、頭蓋内硬膜動静脈瘻の年間出血率は約2%と報告されています。
そのため、海綿動静脈洞部にできた硬膜動静脈瘻は血管内治療による塞栓術を行うことが検討されます。

まとめ

内頚動脈海綿静脈洞瘻(CCF)は、眼の異常だけでなく、まれに脳出血といった重篤な合併症を引き起こすことがある疾患です。
特に、間接型では、頭蓋内硬膜動静脈瘻との共通点も多く、早期診断と血管内治療が重要となります。
近年では、こうした脳血管障害に対して、血管の修復や炎症制御を目的とした再生医療の応用も期待されています。
今後は、従来のカテーテル治療に加えて、細胞や成長因子を利用した治療法の登場によって、より安全かつ根本的な治療が可能になるかもしれません。
ニューロテック®では、脳・脊髄の「治る力」を高めるリニューロ®の開発が進められています。

よくあるご質問

頚動脈海綿静脈洞瘻の症状は?
目の充血や腫れ(結膜充血・浮腫)、眼球の拍動性突出、眼の奥でザーッという血管雑音が聞こえるなどの症状が典型的です。
外転神経麻痺により物が二重に見えることもあります。

内頸動脈海綿静脈洞瘻は治るのか?
血管内治療(カテーテルによる塞栓術)が確立しており、多くの症例で改善が期待できます。
症状の程度や型によっては、自然閉鎖することもありますが、早期治療が推奨されます。

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