幹細胞治療による再生医療×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脳卒中

 脳梗塞と構音障害を基本から理解する

<この記事を読んでわかること>
構音障害とは何か
構音障害のメカニズムについて
構音障害にはさまざまな種類があること

構音障害とは、音声を構成する声・発声・リズムを作り出すために必要な呼吸筋や喉頭、咽頭、軟口蓋、舌、顎、頬、口唇などの運動が障害されるものです。これらの器官を制御しているのは脳になりますので、こちらが障害されると構音障害が起こります。この記事では、脳梗塞と構音障害のメカニズムについて解説していきます。

構音障害の原因と発生メカニズム

脳梗塞後の構音障害はなぜ起こるのでしょうか。
脳梗塞と構音障害の基本を理解する前に、構音障害とは何か、そしてどの脳部位が障害されると起こるのか、あるいは神経障害によって起こるのかを解説していきます。

脳梗塞とは

脳梗塞は、脳の血管が閉塞されることによって、脳組織に酸素や栄養が供給されなくなり、その部位が損傷を受ける病態です。
主な原因は、高血圧が長く続くことによる動脈硬化や血栓によって脳の血管が詰まってしまうことによります。
脳梗塞が発生すると、その部位の脳組織が機能不全に陥り、その部位の機能に影響を及ぼすことがあります。

構音障害とは

では、構音障害について解説しましょう。
構音障害は、発音や話し方に関する障害であり、言葉を正しく発音することが困難な状態を指します。
これは、舌や唇、声帯などの発声器官の制御がうまく機能しないために起こります。
構音障害は、言語の理解や意思の伝達に障害をもたらす可能性があります。

構音運動は、以下のようなメカニズムで起こっています。

構音障害の中枢メカニズム
引用:構音障害の病巣と経過:嚥下障害との比較.高次脳機能研究.2010;30(3):413-417. p414
この図の中で、どこが障害を受けても構音障害が起こるのです。

脳梗塞後の構音障害はなぜ起こる?

脳梗塞後の構音障害はなぜ起こる?
先ほど解説したように、脳梗塞では大脳皮質はもちろん、小脳や中脳、延髄などで神経障害が起こることがあります。
そこで、脳梗塞によって影響を受けた脳の特定の領域に、構音障害の症状は変わってくるのです。
脳の特定の部位が損傷を受けると、その部位が担当する機能が影響を受ける可能性があります。
言語生産に必要な脳の領域が損傷を受けると、構音障害が発生する可能性があります。

構音障害を引き起こす脳の部位

構音障害を引き起こす脳の部位には、主に次のようなものがあります。
構音障害が起こる部位と病変を以下に示します。

構音障害が起こる部位と病変
  • 左中心前回部下部(ローランド弁蓋):失構音、発語失行が起こります。
  • 大脳半卵円中心から大脳基底核レベルの左側病変: 構音障害が起こります。
  • 錐体路系(皮質─橋延髄路):運動麻痺性構音障害,両側で偽性球麻痺

これらは、舌や唇、声帯などの発声器官を司る脳の部位です。
音を発するための筋肉が麻痺するために、発生が困難となります。
障害される部位によって、ゆっくりとした発語になったり、ガ音の発音が困難になるなどのバリエーションがあります。

障害される部位別の症状
  • 錐体外路系、小脳系病変(右四角小葉): 協調運動障害性構音障害。パーキンソン病に代表される障害です。発語する際にストップがかかり、数秒後にはどもるような不連続音が出ます。
  • 中脳(中脳水道近傍):協調運動障害性構音障害 構音障害が起こります。
  • 脳幹病変:一般に麻痺性,運動失調性のこともあり
  • 脳神経核:運動麻痺性の構音障害や舌・口唇の萎縮がみられます。
  • 小脳系、協調運動系:小脳系が障害されると、運動失調性構音障害というような状態になります。発音の不規則性や、リズムよりも強弱の障害が特徴となります。例えば、爆発性発語といい、声の急激な強さの変化がみられることがあります。

まとめ

脳梗塞後の構音障害は、脳の特定の領域が損傷を受けることによって引き起こされます。
これらの部位が損傷を受けると、発音や話し方に関する障害である構音障害が発生する可能性があります。
脳梗塞後の構音障害は、リハビリテーションなどの治療を通じて改善することが可能ですが、個々の症例に応じて適切なアプローチが必要です。
脳梗塞によって死んでしまった神経細胞は、完全に修復することが難しいとされています。
そこで、当院ニューロテックメディカルでは、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血を総称した脳卒中・脊髄損傷を専門として、脳脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
リニューロ®では、同時刺激×再生医療™、骨髄由来間葉系幹細胞を用いて脳や脊髄の治る力を高めた上で、神経再生リハビリをおこなうことで神経障害の軽減を目指しています。
脳梗塞後の構音障害に対しても、再生医療の効果が見込めるでしょう。ご興味のある方は、一度ご相談ください。

Q&A

脳梗塞の構音障害とは?
脳梗塞の後遺症の一つである構音障害は舌や唇、声帯などの発声器官に問題があり、明瞭な発音や正確な音の形成が難しい状態です。脳梗塞の他にも、筋ジストロフィーやギランバレー症候群などの神経内科的な疾患で起こることが多いです。
構音障害の原因となる部位は?
喉や軟口蓋、舌、顎、頬、口唇などの筋肉の動きをコントロールする脳の部位や、小脳、大脳基底核、脳幹、神経筋接合部などの障害が起こると、構音障害の原因となる可能性があります。
<参照元>
構音障害の病巣と経過:嚥下障害との比較.高次脳機能研究.2010;30(3):413-417.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/30/3/30_3_413/_pdf
構音障害 – 09. 脳、脊髄、末梢神経の病気 – MSDマニュアル家庭版:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/
脳血管障害・脳卒中 | e-ヘルスネット(厚生労働省):https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html
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