点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脳卒中

 脳梗塞の前兆を早期に見つけるためのポイント

<この記事を読んでわかること>

TIAの病態がわかる
TIAと脳梗塞の関係がわかる
脳梗塞を早期発見するための方法がわかる


脳梗塞は発見から治療開始までの時間が治療方針や予後に大きく関わるため、早期発見・早期治療が非常に重要な病気です。
そこで、脳梗塞の前兆とも言えるTIAと呼ばれる病態を見逃さず、TIA発症時点で適切にケアすることが何よりも肝要です。
この記事では、脳梗塞の前兆を早期に見つけるためのポイントについて詳しく解説します。

一過性脳虚血発作(TIA)とその特徴的な症状

一過性脳虚血発作(TIA)とその特徴的な症状
脳梗塞は一度発症すれば脳細胞がどんどん壊死してしまい、また発症から治療するまでの時間次第で治療方針も変わってしまうため、いかに早期発見できるかが鍵となる病気です。
そこで重要なのは、脳梗塞の前触れ発作とも言われる一過性脳虚血発作(以下:TIA)を見逃さないことです。
TIAとは、脳梗塞のように治療しなければ恒久的な虚血に陥る病気とは違い、その名の通り、一過性に虚血に陥ってしまう状態であり、脳梗塞とは症状の出方が異なります。
TIAは一時的に脳を栄養する血管が閉塞している状態で、神経症状が出現する時間は短期間で、通常24時間以内に改善します。
しかし、TIA発症から24〜48時間以内は脳梗塞を発症する可能性が非常に高く、発症しなかったとしても90日以内に脳梗塞を発症する可能性が15〜20%と言われており、注意が必要な状態です。
では、TIAではどのような症状をきたすのでしょうか?
TIAの主な症状は下記の通りです。

  • 左右半身の筋力低下、もしくは麻痺
  • 左右半身の感覚消失、もしくは感覚異常
  • 構音障害(呂律がおかしくなる)
  • 同名半盲(左右いずれかの視野が欠ける)
  • 一過性黒内障(一過性に片側の目が見えなくなる)
  • めまいや平衡感覚障害

上記症状が、突然、しかも一時的に出現すると言うのが最大の特徴です。
これらの症状をきたした場合、極力早期にMRIを撮影することで脳梗塞を早期発見・予防できるため、必ず医療機関を受診するようにしましょう。

視野障害や視力の急な低下に注意が必要な理由

顔の片側が垂れ下がるなどの顔面症状の見分け方
視野や視力が緩徐に低下する場合は一般的な老眼や白内障の可能性が挙げられますが、急速に視野障害や視力の低下を認めた場合、重篤な疾患の可能性が高く、注意が必要です。
視野障害や視力の急な低下を認める疾患としては、主に下記のような疾患が挙げられます。

  • 急性緑内障発作
  • 硝子体出血
  • 網膜剥離
  • 網膜の血管閉塞
  • 脳梗塞やTIA
  • 眼底出血
  • 脳出血

どれも治療に急を要する病態であり放置すれば失明や失命する可能性があるため、早急に対応する必要があります。
特に注意が必要な点は、「視力や視野の異常=目の病気」と捉えられがちな点です。
腹痛があれば消化器系疾患を疑うのは当然ですが、残念ながら視力や視野は目だけでなく、脳の病気の可能性もあります。
目から入力された光の情報が視神経を介して脳に伝達されるため、脳の異常でも視野や視力は急速に障害されるためです。
急を要する、かつ脳の病気である可能性も高いことから、急激な視野障害や視力低下を認める場合は早急に医療機関を受診しましょう。

顔の片側が垂れ下がるなどの顔面症状の見分け方

脳梗塞の発症早期には、顔の片側が垂れ下がるなどの顔面症状が出現することがあり、脳梗塞発見のヒントになります。
これは、顔の筋肉の動きを支配する顔面神経の機能が脳梗塞やTIAで障害されるためです。
本来、両側の大脳皮質から出た「顔を動かせ」という刺激は、脳幹の中の橋に存在する顔面神経核にインプットされ、顔面神経核から分岐する顔面神経に刺激が伝達され、最終的にその刺激が表情筋に到達して、表情が作られます。
顔面神経核は顔面の上半分を支配する顔面神経上部核と、顔面の下半分を支配する顔面神経下部核の2つで構成されています。
顔面神経上部核は両側の大脳皮質から刺激を受け取りますが、顔面神経下部核の場合は左右反対側の大脳皮質からのみ刺激を受け取るため、仮に右脳梗塞に陥ると、左の顔面神経下部核だけ刺激を受け取れなくなるわけです。
その結果、左顔の下半分だけに麻痺が生じることになるため、額のしわ寄せや瞼の開閉には問題なくても、左の口角だけ下がってしまう可能性があります。
もちろん脳梗塞の影響が広範囲に渡れば顔面の症状の出方も変わってきますが、表情に何らかの変化をきたした場合は脳梗塞の危険性があるため、注意が必要です。

まとめ

今回の記事では、脳梗塞の前兆を早期に見つけるためのポイントについて詳しく解説しました。
脳梗塞の前兆として、TIAと呼ばれる一過性の神経症状をきたす病態があり、仮に一時的に神経症状が改善しても、その後脳梗塞に陥る可能性があるため、注意が必要です。
早期発見の糸口となるポイントを見逃し、実際に脳梗塞を発症してしまうと、対応が遅れればならかの後遺症が残ってしまう可能性もあります。
また、現状の医療では脳梗塞後の後遺症に対して根治する術はなく、リハビリテーションが唯一の改善策であるため、やはり早期発見が重要です。
一方で、最近では脳梗塞後の後遺症に対して新たな治療法として再生医療が非常に注目されており、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、脳梗塞後の後遺症改善が期待できます。

よくあるご質問

脳梗塞の早期発見にはどんな症状がありますか?
脳梗塞の早期発見に有用な症状としては、顔の半分の麻痺、左右いずれか手足の麻痺、呂律が回らない構音障害などが挙げられます。
これらの症状を認めた場合は、早期に医療機関を受診することが重要です。

脳梗塞を早く見つけるには?
脳梗塞を早く見つけるには、脳梗塞のFASTを意識しておきましょう。
FASTは、Face、Arm、Speach、Timeの頭文字で、脳梗塞の初期症状として顔、腕、呂律に異常をきたすことが多く、また発症から治療までの時間が重要であることを現しています。

<参照元>
MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/
国立循環器病研究センター:https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/scd/cerebrovascular/tia-torikumi/

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