・急性硬膜下血腫とくも膜下出血の発症部位と原因
・硬膜下血腫による後遺症:運動障害や認知機能への影響
・くも膜下出血による後遺症:感覚障害や再出血リスク
・リハビリ方法と回復への取り組み方の違い
どちらも脳出血の一種ですが、後遺症や回復過程が異なります。
急性硬膜下血腫は外傷が原因で比較的早期に治療が可能なため、後遺症が残る可能性は低く、回復も早い傾向にあります。
一方、くも膜下出血は脳の広範囲に出血があるため、後遺症が残る可能性が高く、回復にも時間がかかることが多いです。
急性硬膜下血腫とくも膜下出血の発症部位と原因
この記事では急性硬膜下血腫とくも膜下出血の発症部位と原因について解説します。
どちらも脳出血の一種ですが、出血する場所やその原因が異なります。
急性硬膜下血腫は、脳を包む膜の一つである硬膜と脳の間に出血が起こる状態です。
主に頭部への強い外傷が原因で起こります。
交通事故、転倒、スポーツ中のけがなどにより、脳が揺すられ、脳の表面の血管が損傷し出血することから、硬膜と脳の間で血液が凝固して血種(血の固まり)が出来て、この血種が脳を圧迫することにより、様々な症状を起こします。
一方、くも膜下出血は、脳を包むもう一つの膜であるくも膜の下に出血が起こる疾患です。
主な原因は、脳動脈瘤の破裂です。
脳動脈瘤とは、脳血管の一部が瘤のように膨らんだものです。
脳動脈瘤が破裂すると、大量の血液がくも膜の下に流れ込むので、髄膜を刺激して様々な症状を起こします。
硬膜下血腫による後遺症:運動障害や認知機能への影響
この記事では硬膜下血腫による後遺症:運動障害や認知機能への影響について解説します。
硬膜下血腫は、脳を包む膜の一つである硬膜と脳の間に出血が起こる疾患です。
この出血によりできた血の固まりである血腫が脳を圧迫して、さまざまな症状を起こします。
主な症状として、運動障害と認知機能の低下があります。
運動障害としては、手足のしびれや麻痺、歩行障害などが現れます。
これらの症状は、日常生活に支障を来し、自立した生活が難しくなる場合があります。
次に、認知機能の低下としては、物忘れの頻度の増加、性格変化、判断力低下などが見られます。
特に高齢者においては、認知症と誤認されることもあるので、医療機関での的確な診断が求められます。
認知機能の低下は、コミュニケーション能力や社会生活能力にも影響を及ぼします。
これらの症状が回復期においても残ってしまうと、後遺症となり完全に回復しないこともあります。
くも膜下出血による後遺症:感覚障害や再出血リスク
この記事ではくも膜下出血による後遺症:感覚障害や再出血リスクについて解説します。
くも膜下出血は重篤な脳血管疾患であり、後遺症が残った場合は、患者さんの日常生活に大きな影響を及ぼします。
後遺症として、感覚障害はよくみられる症状の一つです。
具体的には、手足のしびれ、脱力感、神経痛のような痛み、熱さや冷たさを正しく感じられない温度感覚の異常などがあります。
再出血のリスクは、くも膜下出血患者にとって最も深刻な懸念事項の一つです。
初回の出血後、特に最初の24時間以内に再出血のリスクが高くなります。
さらに、最初の2週間は再出血の危険性が高い期間と報告されています。
再出血は、最初の出血よりも症状が重症化するのが一般的です。
そのため、障害のリスクは上昇し、予後は著しく悪くなります。
また、死亡率も増加し生命の危険性が高まります。
再出血による死亡率は約50%、さらに再々出血では80%以上と報告されています。
リハビリ方法と回復への取り組み方の違い
この記事ではリハビリ方法と回復への取り組み方の違いについて解説します。
硬膜下血腫とくも膜下出血は、どちらも脳出血を起こす疾患ですが、出血する場所や原因が異なるため、リハビリの方法や回復への取り組み方が異なります。
硬膜下血腫のリハビリは、主に運動機能の回復を目的とします。
具体的には、物理療法、作業療法、言語療法などを組み合わせたアプローチが実践されます。
高齢者に多い慢性硬膜下血腫では、認知機能の改善も重要な目標となります。
くも膜下出血のリハビリは、硬膜下血腫に比べて、より多種のリハビリが必要となることが多いです。
加えて、長期的な取り組みが必要となります。
くも膜下出血は、脳動脈瘤の破裂が主な原因となる疾患であり、脳の広範囲に障害が及ぶことが多いためです。
そのため、運動機能回復だけでは無く、認知機能の回復、感情の安定、社会復帰支援などを目的として、さまざまな方面からのリハビリが必要となります。
まとめ
今回の記事では、下肢機能障害とは?脳梗塞後の症状と影響について解説しました。
硬膜下血腫とくも膜下出血も脳出血を起こす疾患です。
そのため、重症化した場合には脳の損傷が残ります。
損傷した神経組織は現在の医療では回復させることは難しいの
が現状です。
そのため、新たな治療法として、再生医療に期待が持てます。
脳や脊髄の損傷に対して、「ニューロテック®」と呼ばれる「神経障害が治ることを当たり前にする取り組み」も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
さらに、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「再生医療×同時リハビリ™」があります。
これらの治療法は硬膜下血腫とくも膜下出血の後遺症に苦しむ患者さんに対して期待が持てる治療となるでしょう。
よくあるご質問
- くも膜下出血の再発の前兆は?
- 再発の前兆として、頭痛、吐き気、めまいなどがあります。
でも、これらの症状は、他の疾患でも認められることもあるので、早期の鑑別診断が重要です。
再発直前に自覚症状が無い場合もあるので、注意が必要です。 - コーヒーはくも膜下出血を予防しますか?
- 明確な結果は出ていません。
ある研究では、コーヒーの大量摂取がリスクを高めるという結果が出ています。
一方で、コーヒーを適度に飲むことが脳卒中全体のリスクを下げるという結果が報告されています。
<参照元>
・頭蓋内血腫|MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/
・くも膜下出血 (SAH)|MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/
・外傷性脳損傷のリハビリテーション|慶応義塾大学病院KOMPAS:https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000147.html
・くも膜下出血になってしまったら|回復期リハビリテーションnet:https://kaifukuki.doctorsfile.jp/sick/03
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くも膜下出血は、非常に致命率が高い病気です。そのため重い後遺症が残ってしまう方も多い重篤な病気のひとつで、日頃から予防に努めることも大切です。くも膜下出血の症状や治療、生存率、ご家族ができることなどをご紹介します。くも膜下出血について知りたい方は、読んで参考にしてください。
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