<この記事を読んでわかること>
・脊髄梗塞と脳梗塞は、発症原因に違いがあることがわかる。
・脊髄梗塞は下半身の麻痺や感覚異常が主な症状であることがわかる。
・予防には、血管の健康管理が重要であることがわかる。
脊髄梗塞と脳梗塞は、どちらも血管の詰まりによって発生する重大な病気ですが、影響を受ける部位や症状、原因にいくつかの違いがあります。
この記事では、脊髄梗塞と脳梗塞の違いを詳しく解説し、それぞれの病気の原因や症状、予防方法について比較します。
これらの病気に対する理解を深め、早期発見と予防に役立てましょう。
脊髄梗塞と脳梗塞の原因の違いとは?
脊髄梗塞と脳梗塞はどちらも血液の流れが途絶えることで発症しますが、原因となるメカニズムやリスク要因には違いがあります。
脊髄梗塞の原因
脊髄梗塞は、脊髄に酸素や栄養を供給する血管が詰まることで引き起こされます。
脊髄は背骨の中を走る中枢神経系の一部であり、この部分に十分な血液が供給されないと神経機能が損なわれます。
脊髄梗塞の主な原因は以下の通りです。
- 動脈硬化:血管が狭くなることで血流が悪くなり、血栓が形成されやすくなる。
- 血管の奇形:先天的な血管異常がある場合、血流が乱れ、詰まりやすくなる。
- 外傷:脊髄への物理的な外傷や圧迫が血管を損傷し、血液の供給が妨げられることがある。
- 血栓塞栓症:心臓などで発生した血栓が流れて脊髄の血管を詰まらせることもあります。
脳梗塞の原因
脳梗塞は脳内の血流が途絶えることで発症します。
脳は非常に多くの酸素と栄養を必要とするため、わずかな血流障害でも重大な影響を及ぼします。
脳梗塞の原因としては以下が一般的です。
- 動脈硬化:脳への血管が狭くなると、血流が途絶えて脳梗塞が起こります。
- 心房細動:不整脈の一種である心房細動により、心臓内で血栓が形成されやすくなり、それが脳に飛んで血管を詰まらせることがあります。
- 高血圧:血管に過度な圧力がかかることで、血管が破裂したり、血流が滞ることで梗塞が起こりやすくなります。
脊髄梗塞と脳梗塞の症状の違い
症状についても、脊髄梗塞と脳梗塞は異なる特徴を持っています。
それぞれの病気が影響を及ぼす部位が異なるため、症状に差が生じます。
脊髄梗塞の症状
脊髄梗塞は、脊髄の損傷が原因でさまざまな神経症状を引き起こします。
主な症状は以下の通りです。
- 下半身の麻痺:特に胸部以下の脊髄に梗塞が起こると、下肢の運動機能が損なわれ、歩行が困難になることがあります。
- 感覚異常:手足のしびれや感覚の鈍化が現れることが多いです。
これにより、温度や痛みを感じにくくなることもあります。 - 排尿・排便障害:脊髄が損傷されると、排尿や排便のコントロールが難しくなることがあります。
脊髄梗塞の発症は突然で、数時間から数日の間に症状が急速に進行することが多いです。
脳梗塞の症状
脳梗塞は脳の損傷によって神経症状が現れます。
脳のどの部分が影響を受けるかによって症状は異なりますが、一般的な症状は以下の通りです。
- 片側の麻痺:体の一部(顔、腕、足)が突然動かなくなることが多いです。
片側に集中するのが特徴です。 - 言語障害:言葉が出にくくなったり、話が理解できなくなる「失語症」が見られます。
- 視覚障害:視野が狭くなったり、ものが二重に見えることがあります。
- 意識障害:脳の広範囲が影響を受ける場合、意識が混濁することや、昏睡状態に陥ることもあります。
脳梗塞も突然発症することが多く、早期治療が極めて重要です。
脊髄梗塞と脳梗塞、予防方法に違いはあるのか?
脊髄梗塞と脳梗塞の予防方法には共通点も多いですが、特に脳梗塞の予防は高血圧や心血管系の管理が大切となります。
脊髄梗塞の予防
脊髄梗塞の予防策は主に血管の健康を保つことに焦点を当てています。
- 定期的な運動:血流を促進し、動脈硬化を防ぐために運動は効果的です。
- バランスの取れた食生活:塩分や脂肪の摂取を控え、野菜や果物を多く摂る食事を心がけましょう。
- 喫煙の中止:喫煙は血管にダメージを与え、動脈硬化を進行させる要因です。
禁煙が重要です。
脳梗塞の予防
脳梗塞の予防には、脊髄梗塞と同様の血管健康管理が必要ですが、特に高血圧と心臓の健康管理が重要です。
- 高血圧の管理:血圧を定期的にチェックし、薬を適切に服用することが脳梗塞予防の要です。
- 心房細動の管理:心房細動のある方は血栓ができやすいため、抗凝固薬を用いた治療が推奨されます。
- ストレス管理:ストレスは血圧を上昇させ、血管の健康に悪影響を及ぼします。
リラックス法や適度な休息を心がけましょう。
まとめ
脊髄梗塞と脳梗塞は、どちらも血管の詰まりが原因で発症しますが、影響を受ける部位や症状、原因には違いがあります。
脊髄梗塞は主に脊髄への血流が途絶えることで下半身の麻痺や感覚異常が現れ、脳梗塞は脳への血流が途絶えることで片側の麻痺や言語障害、視覚障害が引き起こされます。
予防方法については、脊髄梗塞と脳梗塞どちらの場合も、血管の健康を保つことが重要です。
特に脳梗塞は高血圧や心房細動の管理が重要で、これらのリスク要因をコントロールすることで発症を予防することが可能です。
適切な生活習慣と定期的な健康チェックで、これらの重大な病気のリスクを減らすことができるでしょう。
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よくあるご質問
- 脊髄梗塞は脳卒中ですか?
- いいえ、脊髄梗塞は脳卒中の一種ではありません。
脳卒中は脳の血管に問題が生じた場合を指しますが、脊髄梗塞は脊髄に血液が届かなくなることで発生する病気です。
両者は異なる部位で起こるものです。 - 脊髄梗塞の好発年齢は?
- 脊髄梗塞は一般的に中高年に多く発症しますが、特に50歳以上の方でリスクが高まるとされています。
ただし、若年者でも動脈硬化や血管の異常がある場合は発症する可能性があります。
<参照元>
Spinal Cord Infarction – MSD Manual Professional Edition:https://www.msdmanuals.com/professional/neurologic-disorders/spinal-cord-disorders/spinal-cord-infarction
脳血管障害・脳卒中 | e-ヘルスネット(厚生労働省):https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html
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