点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脊髄損傷

 再生医療による脊髄損傷の治療と未来

<この記事を読んでわかること>

再生医療の現状と課題がわかる
脊髄損傷に対する再生医療の進歩がわかる
再生医療の将来性がわかる


脊髄損傷をはじめとする多くの難治性神経疾患では、これまでリハビリテーションが唯一の改善策でした。
しかし、近年では再生医療の分野の発達も目覚ましく、新たな治療法として注目されています。
この記事では、再生医療による脊髄損傷の治療の現状や課題、今後の将来性などについて詳しく解説します。

再生医療の現状と技術進歩について

再生医療の現状と技術進歩について
再生医療の臨床応用を目指した研究が世界で始まってからすでに50年以上の時が経過しました。
これまでにES細胞などの理想的な幹細胞の樹立にも成功してきた人類ですが、現状としてどこまでその技術は進歩したのでしょうか?
まず、我が国における再生医療においては、なんといってもiPS細胞の樹立と、その後のiPS細胞に対する多くの研究が大きな功績です。
iPS細胞とは、日本の山中伸弥教授が世界で初めて樹立した人工多能性幹細胞のことです。
再生医療において必要不可欠なのはありとあらゆる細胞に分化する多分化能と、細胞自身が無限に増殖して臓器を形成することのできる自己複製能であり、再生医療ではこの両方の性質を兼ね揃えた幹細胞が必要となります。
理想的な幹細胞を追い求め、さまざまな研究がなされた結果、山中教授は2007年にヒトの皮膚細胞に特定の遺伝子を加えることで、人工的に多能性幹細胞を作り出すことに成功したのです。
このiPS細胞を応用すれば、皮膚の細胞が全身のありとあらゆる細胞に分化し、どんな臓器でも再生可能であることが期待されます。
現状では、下記のような治療において国内で承認されています。

  • 重症な火傷やあざ、水疱症の治療に用いられる培養皮膚シート
  • 外傷などで欠損した軟骨の修復に用いられる培養軟骨
  • 虚血性心疾患による重症心不全に用いられる培養心筋シート
  • 骨髄移植後の拒絶反応をおさえる薬
  • 脊髄損傷に伴う神経症候及び機能障害の改善薬

また、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や家族性アルツハイマー病など、難治性神経疾患に対する臨床研究も始まっており、今後更なる適応の拡大が期待されます。
一方で、下記のような課題もあり、まだまだ普及には時間がかかるのも現状です。

  • 原料の安定確保が困難
  • 製造の各過程における人材不足
  • 医療の発達に対して法整備が追いついていない

脊髄損傷に対する再生医療の研究と成果

脊髄損傷に対する再生医療の研究と成果
再生医療の効果が大きく期待される疾患の1つが、脊髄損傷です。
人体の中でも神経細胞や心筋細胞は自己複製能に乏しく、一度損傷すると再生しにくいため、再生医療による構造や機能の再生が期待されています。
実際に、2019年5月には札幌医科大学が中心に開発していた「ステミラック」と呼ばれる再生医療薬が、急性期の脊髄損傷に対して保険承認されました。
ステミラックは自身の骨髄から採取した間葉系幹細胞を用いて、脊髄の再生を促す治療薬です。
ステミラックの治療成績は目を見張るものがありますが、その治療を受けるためには受傷2週間以内に札幌医科大学に転院する必要があります。
また、ステミラック自体の製造には時間もコストもかかり、年間100例くらいの製造が限界である点からも、治療を受けられる患者数には限界があります。
一方で、慢性期の脊髄損傷に対してはステミラックは現在臨床研究中であり、現状で保険承認を受けているのは大阪大学の自家嗅粘膜移植手術のみです。
自家嗅粘膜移植手術とは、自身の嗅粘膜に多く存在する神経幹細胞を用いて脊髄の再生を促す治療法です。
また、現在慶應大学ではiPS細胞を用いて、東北大学ではMuse細胞を用いて脊髄損傷治療を行う新しい治療法を模索しています。

再生医療がもたらす将来的な可能性

再生医療が今後も更なる普及を目指すためには、いち早く産業化して大量生産を目指すことが急務です。
しかし、日本では主に開発を行っているのはベンチャー企業であり、市場規模が諸外国と比較して小さいため、ビジネスモデルとして確立できていません。
また、再生医療の場合、患者からの細胞採取・加工培養・細胞輸送など工程が複雑であり、高コストになる点も大量生産における課題です。
iPS細胞の研究開発自体は世界のトップを牽引しているため、その技術を広く臨床に落とし込むためには、上記のような課題に官民一体となって取り組んでいく必要があるでしょう。
逆に、この課題をクリアすれば、これまで治療困難と諦めていた数多くの病気から命を救い、生活の質を向上させることができるため、今後の知見が待たれるところです。

まとめ

今回の記事では、再生医療による脊髄損傷の治療と未来について詳しく解説しました。
脊髄は一度損傷すると基本的にその機能は再生しないため、不可逆的な四肢麻痺や自律神経障害などの後遺症に苦しむ方も少なくないです。
そこで、近年では再生治療が新たな治療法として非常に注目されています。
実際にiPS細胞を用いた新しい臨床試験も進んでおり、今後はより多くの脊髄損傷患者の生活の質を向上できる可能性がありますが、一方で日本の市場ではビジネスモデルを確立できておらず、まだまだ臨床応用に課題を抱えています。
一方、ニューロテックメディカルでは、再生医療に対する新たな取り組みとして「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、脊髄損傷に伴う神経症状のさらなる改善が期待できます。

よくあるご質問

脊髄損傷は再生医療で治せますか?
脊髄損傷による神経症状は、再生医療である程度の改善が期待できます。
実際に、札幌医科大学の開発した「ステミラック注」は急性期の脊髄損傷に対して高い効果を持ち、保険承認を受けています。

再生医療が注目される理由は何ですか?
再生医療が注目される最大の理由は、これまで治療が困難であったさまざまな病気の新しい治療法になりうるからです。
心筋梗塞によって壊死した心筋や、アルツハイマー型認知症で変性した脳細胞など、これまで治療できないとされてきた細胞の再生が期待され、開発が進んでいます。

<参照元>
首相官邸ホームページ:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/saisei_saibou_idensi/dai10/siryou1-5.pdf
日本医師会:https://www.eatingwell.com/article/8077182/best-whole-grains-for-high-blood-pressure/
京都大学iPS細胞研究所:https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/faq/faq_ips.html

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