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 脱髄性疾患に対する再生医療の可能性

<この記事を読んでわかること>

脱髄性疾患は筋力低下、感覚障害、視力障害、運動失調、慢性的な疲労感など多岐にわたる症状を引き起こすことがわかる。
再生医療の進展: 幹細胞療法や遺伝子治療など、再生医療が脱髄性疾患の治療においてどのように期待されているかわかる。
一過性脳虚血発作(TIA)に対する幹細胞治療の研究成果と課題がわかる。


脱髄性疾患の主な症状には、筋力低下、感覚障害、視力障害、運動失調、慢性的な疲労感があります。この記事では、こうした症状や脱髄の原因となる自己免疫反応、ウイルス感染、遺伝的要因、さらに後遺症と余命、再生医療の最新の治療法としての幹細胞療法や遺伝子治療の進展と将来の可能性についても述べていきます。

脱髄性疾患の主な症状とは?

脱髄性疾患の主な症状とは?
脱髄性疾患とは、神経細胞の軸索を保護するミエリン鞘が損傷されることで、神経の信号伝達が障害される疾患群を指します。
これにより、さまざまな症状が現れます。

筋力低下

筋力低下は、脱髄性疾患の代表的な症状の一つです。
特に四肢の筋力が低下し、日常生活において物を持ち上げる、歩くといった基本的な動作が困難になることがあります。

感覚障害

感覚障害もよく見られる症状で、手足のしびれや感覚の鈍さが現れます。
このため、温度や痛みの感覚が正常に感じられなくなり、怪我をしやすくなることがあります。

視力障害

視力障害は、視神経が脱髄することによって引き起こされます。
視界がぼやける、視野が狭くなる、視力が低下するなどの症状が現れます。
視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)では特にこの症状が顕著です。

運動失調

運動失調は、筋肉の動きを調整する機能が障害されることで起こります。
これにより、バランスを崩しやすくなり、歩行が不安定になることがあります。

慢性的な疲労感

脱髄性疾患では、慢性的な疲労感がつきまといます。
これは、神経伝達の効率が低下するため、エネルギーの消耗が激しくなることが原因です。

脱髄はなぜ起こるのか?

脱髄の原因は多岐にわたり、その多くが自己免疫反応や感染症、遺伝的要因によるものです。

自己免疫反応

自己免疫反応が原因の場合、体の免疫系が誤って自分の神経細胞を攻撃し、ミエリン鞘を破壊します。
多発性硬化症(MS)はその代表例で、免疫系が中枢神経系のミエリン鞘を攻撃することで症状が現れます。

ウイルス感染

ウイルス感染も脱髄の原因となることがあります。
特定のウイルスが神経細胞を攻撃し、ミエリン鞘を破壊することで、脱髄が進行します。

遺伝的要因

一部の脱髄性疾患には遺伝的要因が関与していることがあります。
特定の遺伝子変異がある場合、ミエリン鞘の形成や維持が正常に行われず、脱髄が起こりやすくなります。

脱髄性疾患の後遺症や余命とは

脱髄性疾患は、慢性的な経過を辿ることが多く、後遺症が残る場合も少なくありません
多発性硬化症(MS)や視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)は、再発と寛解を繰り返しながら徐々に進行するため、日常生活に支障をきたすことが多くなります。

後遺症の種類と影響

後遺症は筋力低下や視力障害、感覚異常、運動失調など多岐にわたります。
これらの後遺症は、患者のQOL(生活の質)に大きな影響を与え、場合によっては日常生活を自立して送ることが困難になることもあります。

余命と予後の改善

例えば、多発性硬化症が平均余命に与える影響はほとんどの方にとってわずかとされており、一般の人と同じくらい長く生きています。

多発性硬化症が平均余命に及ぼす影響について、いくつかの国で研究がなされています。
こうした研究からは、多発性硬化症の方の平均余命は6から7年短縮されることが示されています。

もちろん、個々の病状や治療法、管理方法によって異なりますが、近年の医療の進歩により予後が改善されつつあります。
例えば、生物学的製剤や再生医療の進展により、症状の進行を遅らせることが可能となり、患者の寿命を延ばすことができるようになっています。

再生医療の可能性

再生医療は、損傷したミエリン鞘を修復し、神経機能を回復させることを目指しています
現在、幹細胞療法や遺伝子治療などが研究されています。

幹細胞療法

幹細胞療法では、神経幹細胞や誘導多能性幹細胞(iPS細胞)を用いてミエリン鞘の再生を試みます。
iPS細胞は患者自身の細胞から作成されるため、免疫拒絶反応のリスクが低いとされています。
幹細胞を用いた治療法は、動物実験や初期の臨床試験において有望な結果を示しており、今後の研究と臨床試験の進展が期待されます。

遺伝子治療

遺伝子治療も再生医療の一環として注目されています。
特定の遺伝子を体内に導入することで、ミエリン鞘の再生を促進します。

例えば、ミエリンを生成するための遺伝子を損傷部位に直接導入することで、再生を促すことが可能です。
この技術はまだ研究段階にありますが、将来的には有望な治療法となる可能性があります。

研究の成果と課題

再生医療に関する研究は進展しているものの、まだ多くの課題が残されています。
例えば、移植した幹細胞が適切に機能し続けるか、免疫拒絶反応が起こらないかなどの問題です。
また、長期的な安全性と有効性を確立するためには、さらなる臨床試験が必要です。

しかし、これらの課題を克服することで、再生医療は将来的に脱髄性疾患の治療に大きな進展をもたらす可能性があります。

脱髄性疾患における再生医療の未来

再生医療の未来には、多くの期待と可能性があります。
現在の治療法では対症療法が主流ですが、再生医療は根本的な治療を目指すものです。

これにより、患者のQOL(生活の質)を大幅に向上させることが期待されています。
今後の研究と臨床試験の進展により、脱髄性疾患に対する再生医療の実用化が進むことが望まれます。

まとめ

脱髄性疾患に対する再生医療は、神経機能の回復を目指す革新的な治療法として注目されています。
現時点では、幹細胞療法や遺伝子治療などが研究されており、初期の臨床試験で一定の成果が報告されています。

しかし、多くの課題が残されており、これらを解決するためのさらなる研究が必要です。
今後の進展により、脱髄性疾患を持つ患者にとって大きな希望となることが期待されます。

当院脳梗塞・脊髄損傷クリニック神では、『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義しました。
そして、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『狙った脳・脊髄の治る力を高める治療』を、リニューロ®と定義しました。
リニューロ®は、同時刺激×神経再生医療®にて『狙った脳・脊髄の治る力を高める治療』です。
また、その治療効果を高めるために骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリ®の併用をお勧めしています。
脱髄性疾患を含めた神経疾患の後遺症に対する再生医療にご興味のある方は、ぜひ当院までご相談ください。

よくあるご質問

脱髄とはどういう意味ですか?
脱髄とは、神経細胞の軸索を保護するミエリン鞘が損傷されることを指します。この損傷により、神経の信号伝達が妨げられ、様々な神経症状が引き起こされます。多発性硬化症(MS)や視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)などが代表的な脱髄性疾患です。

脱髄になるとどうなるの?
脱髄になると、筋力低下、感覚障害、視力障害、運動失調、慢性的な疲労感などの症状が現れます。これらの症状は、日常生活に支障をきたすことが多く、長期間にわたり管理が必要です。また、再発と寛解を繰り返しながら徐々に進行することが一般的です。
<参照元>多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)|難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/3807
Life expectancy|MS Trust:https://mstrust.org.uk/a-z/life-expectancy
Efficacy and safety of stem cell transplantation for multiple sclerosis.|Scientific Reports.2024:14;12545.:https://www.nature.com/articles/s41598-024-62726-4#citeas
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