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脊髄損傷

 脊髄損傷への光明:環軸椎脱臼と再生医療の未来

<この記事を読んでわかること>
環軸椎脱臼・亜脱臼の症状とはどのようなものがあるのか。
脊髄損傷でどのような症状がでるのか。
脊髄損傷の治療に対して、再生医療はどのように役立つのか。

環軸椎亜脱臼は、頚椎の1番上の環椎と2番目の軸椎がずれてしまい不安定になることです。これによって、脊髄が損傷を受け、首や頭の後ろの方の痛みや手や腕の痺れなどが生じることがあります。今回の記事では、環軸椎亜脱臼の症状や原因、治療法について解説し、脊髄損傷に再生医療がどのように効果を発揮するのかについてもご紹介します。

脊髄損傷の理解と対策

脊髄損傷の理解と対策
脊髄とは、脊椎つまり背骨が作る穴を通る、太い神経の束のことです。
脊髄は脳からの神経を手足の細い神経に伝えるものです。

脊髄損傷とは、この脊髄が損傷されてしまうことです。
原因としては、交通事故などの強い外力が加わったり、大きくずれたりすることで起こります。

脊髄損傷は、日本では交通事故、転落、転倒の順に多いとされ、発症は20歳代と60歳代に多く、損傷する部位は頚髄(首を走る脊髄)が60%、胸腰髄(胸から腰のあたりを走る脊髄)が40%とされています。
日本では高齢化が進んでおり、高齢者の転倒によって脊髄損傷が起こるということが増えています。
そのため、対策としてはまず、怪我をしないこと、転倒しないことが大切となります。
転倒防止のためには住宅の環境や労働環境などにも気を配る必要があります。

対して、医療によって脊髄損傷になるリスクのある人を早期発見するという方法があります。
日本では、頸髄の脊髄損傷が多いとされていますが、その中でも高齢者の非骨傷性頚髄損傷が重大な原因になることが増えてきています。
この非骨傷性頚髄損傷とは、頚椎の脱臼や骨折以外で脊髄が損傷してしまうことを指します。
脊柱管狭窄症が元々あり、転倒や軽い怪我などがきっかけとなり起こってしまうのです。

そのため、非骨傷性頚髄損傷を予防するためには、頚部の脊柱管狭窄症を早期発見することが大切です。

環軸椎脱臼の原因と影響

それでは、環軸椎脱臼・亜脱臼についてご説明しましょう。

首の脊椎である頚椎は、7つの骨からできています。
そして、上から1番目の頚椎を環椎、2番目の椎体を軸椎と呼びます。
これらはその名前のように、軸椎の突起状の部分にリング状の形の環椎がはまっているような形をしています。
さて、環軸椎脱臼・亜脱臼とは、この環椎が軸椎に対して前方に完全にずれる(脱臼)、または不完全にずれて不安定な状態になる(亜脱臼)の状態を指します。

医学的背景としては、環軸椎亜脱臼は関節リウマチを持病にもつ方に多いとされています。
その他、加齢や軸椎の突起の部分である歯突起(しとっき)という部分の骨折、ダウン症などでも起こりやすいとされています。

環軸椎亜脱臼の診断は、単純X線やMRI画像を行います。特に、MRIでは脊髄の圧迫の評価をすることができます。
環軸椎亜脱臼によって脊髄が圧迫されることで、さまざまな症状が生じます。
最も多い症状は、後頭部や首の後ろの痛みです。
初期症状としては、腕の異常な感覚や、細かい手の動きの障害(巧緻運動障害;こうちうんどうしょうがい)があります。
その後、手足のしびれや麻痺が現れます。

治療は、頚部の安静を保つことが大切となります。
頚椎カラーという装具を使って頚部を固定することもあります。痛みに対して、消炎鎮痛薬が処方されます。
また、症状が進んだ場合には、手術での治療が必要となります。

再生医療の現状と展望

環軸椎亜脱臼で脊髄圧迫の程度が強くなると、その部位で脊髄損傷が起こってしまうことがあります。
従来、傷ついてしまった神経細胞は完全に修復することが難しいとされてきました。

そこで、近年損傷した脊髄の神経細胞を再生させるような再生医療の研究が進められています。
例えば、患者の腸骨から局所麻酔下で骨髄液を採取し、細胞調整施設で目的の細胞を分離、培養します。
そして、この細胞から細胞製剤を作り、静脈内に移植する、という自家骨髄間葉系幹細胞治療というものが行われています。

この治療によって、神経栄養因子を介した神経保護機能や抗炎症作用、血管新生作用、また神経細胞への分化や神経幹細胞を活性化させることで神経再生をはかるという効果が期待できます。

今後も、医師主導治験によるこの細胞製剤の実用化を目指しています。

まとめ

今回の記事では、環軸椎脱臼・亜脱臼の原因や影響について、再生医療の展望も交えて述べました。

我々ニューロテックメディカルでは、『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義しました。
また、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』を、リニューロ®と定義しました。

リニューロ®は、同時刺激×神経再生医療、骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリにて『脳の治る力を高める治療』です。
環軸椎脱臼・亜脱臼などが原因で脊髄損傷になってしまった、あるいは再生医療にご興味のある方はぜひ一度当院までご連絡ください。

Q&A

環軸椎亜脱臼の治療法は?
環軸椎亜脱臼の治療法の基本は、頚部の安静を保つことです。頚椎カラーという装具を使って頚部を固定する場合もあります。また、鎮痛薬を用いたり、神経症状が進行する場合には手術治療も行われます。

ダウン症と環軸椎脱臼の関係は?
環軸椎亜脱臼はダウン症の患者さんに頻度が高いことで知られ、10〜30%に環軸椎不安定性があるといわれています。ずれの程度が強くなると頚椎の脊柱管の中を通る脊髄が圧迫されたり、損傷することがあります。

<参照元>
環軸椎亜脱臼|一般社団法人日本脊髄外科学会:http://www.neurospine.jp/original22.html
脊髄損傷|一般社団法人日本脊髄外科学会:http://www.neurospine.jp/original62.html
脊髄損傷の予防|独立行政法人労働者健康安全機構:https://www.research.johas.go.jp/sekizui/04.html
環軸関節脱臼原因と病態 -97手術例の分析より-.IRYO.1993;47(1):9-15.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/iryo1946/47/1/47_1_9/_pdf/-char/ja
環軸椎亜脱臼(不安定症)|神奈川県立こども医療センター:https://kcmc.kanagawa-pho.jp/diseases/kanzikutsui.html
脳梗塞と脊髄損傷の再生治療|札幌医科大学 神経再生医療科:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/suisin_dai18/siryou6.pdf

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