患者様の背景
2014年3月に心原性脳梗塞を発症された患者様です。
リハビリを担当した作業療法士が参加していた家族向けリハビリ講習会で知り合い、再生医療についてお知りになったそうです。
年数は経過していたものの、再生医療をすることで少しでも好転する可能性があれば…と治療に踏み切られました。
自宅に戻られてからも自費リハビリを週10回継続されており、リハビリには熱心に取り組まれております。
杖をついて外出もされており、近所のスーパーまで買い物に行かれるのが日課とのことでした。
日常生活は、右手でできることは自立されており、更衣は旦那様に一部介助してもらって実施されています。
治療前の症状について
左半身麻痺があり、左手の痺れが強い状態でした。
左手と左足は感覚障害の影響から動かしている感じがわかりにくい状態でした。
左手は力を入れると脱力することが難しく、指は握込みをしやすい状態でした。
左足は寝た状態での膝立保持が難しく、つま先も上がりにくい状態でした。
5m歩行テストは【15,21秒】で歩行されており、杖を身体から離して左右へ大きく重心を移動しながら、左足はぶん回し歩行をされていました。
治療経過
3回目点滴終了後のフォロー検診にて手指を部分的にですが伸ばせるようになってきており、変化を感じることができました。
歩行スピードもアップし、安定して歩けるようになってきました。
感覚障害に関しては大きな変化はないようで、しびれも継続していました。そのため、動いているところを見ていないとコントロールが難しいところは残存していました。
4回目の点滴の評価で手首を動かすことがスムーズになっており、指も強く握ることができるようになっていました。
6回目の点滴からプラスチック製の装具に変わっておりました。今までの装具と違って固定性が弱く、来院時はまだ歩き慣れていないようでしたが、
バランスを崩すことなく今までと同じ生活リズムで歩行練習も継続されている様子でした。
最終のフォローアップにて、指のつまみ動作ができるようになってきました。
まだ安定してというわけではありませんでしたが、日常生活において補助をする手としては使える程度に手の機能改善が認められました。
改善ポイント
装具を軽量化することができました!
- 靴でおしゃれができるようになり、市販の靴が履けるようになりました。
- 装具が表に出なくなったため、外見上のおしゃれをさらに楽しめるようになりました。
左指でつまむことができるようになりました!
- 左手を補助手として使用することができるようになりました。
- 左手を日常的に使うきっかけができたので、今以上に改善する可能性に繋がります。
- 最終の5m歩行テストは【18,69秒】で治療開始前と比較すると時間は要していますが、装具の変更直後であったことが原因かと思われます。
今後のリハビリについて
現在自費リハビリを利用してほぼ毎日リハビリを継続されています。
当院の治療で使用したアイビスをレンタルされ、自宅でも継続して実施されております。
定期的にご来院いただき、お身体状態の確認と機器の調整をさせていただくことで、継続的にご利用いただいております。
最後の歩行動画時は装具を変更して間もなくだったので上手く歩けていない状態でしたが、継続してリハビリをしていただくことで、
左足のぶん回し歩行は改善していくのではないかと考えられます。
リハビリ担当者のコメント
リハビリ時にアイビスを利用していただいたことで、手指を伸ばすことや足首を上げることを反復的に練習することができたのではないかと思います。
動くきっかけができたことで感覚障害があっても視覚的に動きを確認することができるようになったので、意識して左半身を使っていくことが今後のリハビリには必要かと思います。
指のつまみができるようになってきたので、アイビスを併用しての指操作練習を今後実施していき、細かい手の運動ができるようになると良いと思います。
左手に関しては動作の到達目標があると良いと思うので、ご本人の興味があること、今回の症例で言えばおしゃれができるようになることを目標に、
例えばシャツのボタンを両手で留めるなど日常生活で左手も使用していくための動作目標を設定すると練習をする意味がでてくるので良いと思います。
治療内容
治療期間 | 022年10月~2024年3月(初診~2クール目フォロー検診2回目) |
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治療内容 | 骨髄由来幹細胞点滴3回コース×2回(計6回投与)+点滴中同時リハビリ計6回 自己骨髄由来サイトカインカクテル点鼻療法(90本)、TMS治療(計6回)、アイビス |
治療費 | モニター価格(当時) |
こちらの患者様は、3回投与の幹細胞点滴治療を2クールされて合計6回の投与を行いました。
1回の点滴投与で約1億個の骨髄由来幹細胞をお身体に戻しますので、合計6億個の幹細胞を投与したことになります。
また、ご自身の幹細胞を培養する際に生成される〈自己骨髄由来サイトカイン〉を使用した点鼻治療も併用しております。
骨髄由来サイトカインには、神経保護因子や神経再生因子が多く含まれており、リハビリの効果を後押ししてくれる作用があります。
当院では、より治療効果を高めていただくためにも併用で治療されることをおすすめしております。
まとめ
当記事の患者様の治療経過・改善の様子はYoutubeでもご紹介しておりますので是非ご覧くださいませ!
脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、脳卒中や脊髄損傷による神経障害の後遺症治療を専門に再生医療を行っております。
当院では、幹細胞点滴をしながら麻痺などが出ている部位のリハビリを同時に実施する【神経再生医療™×神経再生リハビリ®】という治療方法を提供しており、
狙った神経回路の強化と再構築を目指しております。
幹細胞がお身体に入るタイミングでリハビリをすることがとても重要であり、同時にリハビリを行うことで幹細胞の活性化や
狙った神経回路の伝達を強化すること、血流がアップすることで幹細胞が集まりやすくなることが期待できます。
治療の詳しい内容や効果、改善の症例など何か気になる点がございましたら、まずは再生医療カウンセラーまでお気軽にご相談ください。
ご病気の経緯や現在の症状に対するお悩みなどをヒアリングしながら、治療の詳しいご案内をさせていただきます。
患者様の声
治療をされた多くの患者様のなかから、ご承諾をいただきました患者様のお声をご紹介しています。
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脳梗塞発症後、急性期治療を経て病状が安定した後は自宅生活や社会復帰を目的とした慢性期治療に移行します。慢性期は後遺症と向き合う期間であり、しっかりとリハビリを行うことが重要です。また、脳梗塞の再発予防に努める期間でもあります。この記事では、脳梗塞の慢性期にやっておきたいことについて詳しく解説します。
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