<この記事を読んでわかること>
頸椎症性脊髄症の原因は加齢?椎間板と骨の変形の関係
なぜ脊髄が圧迫されると手足に症状が出るのか?
「頸椎症」と「頸椎症性脊髄症」はどう違う?
頸椎症性脊髄症は、加齢などによって首の骨である頸椎が変形することにより、脊髄が圧迫される病気です。
脊髄は手足の動きや感覚を担う神経の通り道であるため、この部分が障害されると、手のしびれや細かい動作が困難になったり、歩行が難しくなったりします。
進行すると日常生活に支障を来すため、早期の診断と治療が重要です。
頸椎症性脊髄症の原因は加齢?椎間板と骨の変形の関係
この記事では、頸椎症性脊髄症の原因は加齢?椎間板と骨の変形の関係について解説します。
主な原因は加齢による頸椎の変化です。
首の骨である頸椎は、椎骨とその間にある椎間板から構成されていますが、加齢とともに変性していきます。
特に椎間板は年齢とともに水分が減少し、弾力を失ってつぶれやすくなります。
その結果、椎骨同士の間隔が狭まり、骨同士がぶつかるようになり、体の負荷が直接かかるようになります。
この状態が続くと、骨が刺激を受けてトゲのような骨棘(こつきょく)を形成し、脊髄や神経根を圧迫してさまざまな症状を起こします。
また、椎間板の変性によって椎骨の位置がずれてしまうこともあり、さらに脊髄に負担をかけることになります。
さらに、背骨の後方にある靱帯が加齢によって厚くなったり硬くなったりすることがあり、これらの変化は脊髄の圧迫を助長します。
つまり、椎間板の劣化とそれに伴う骨の変形が密接に関係しながら、徐々に脊髄を圧迫し、頸椎症性脊髄症を起こします。
これらの構造的変化は、長年にわたり徐々に進行するのが一般的です。
なぜ脊髄が圧迫されると手足に症状が出るのか?
この記事では、なぜ脊髄が圧迫されると手足に症状が出るのか?について解説します。
脊髄は、脳からの命令を手足に伝える「運動神経」と、手足からの感覚を脳に伝える「感覚神経」が集まった重要な組織で手足の動きや感覚をコントロールしています。
脊髄は、背骨の中を通っています。
そのため、背骨を形成している頸椎が変形すると、そこを通る脊髄が圧迫され、さまざまな症状が現れます。
その一つとして、手足に症状が出るのです。
たとえば、手先の細かい動きがうまくできない、ボタンがかけにくい、箸が使いにくいといった症状が出ます。
これらは、脊髄の前側を通る運動神経が障害を受けているためです。
また、しびれや感覚の鈍さ、ピリピリとした違和感が出ます。
これらは、脊髄の後ろ側を通る感覚神経が圧迫されているからです。
さらに進行すると、足に力が入らなくなったり、つまずきやすくなったりすることもあります。
これは、頸髄の障害が手だけでなく足の神経にも影響を及ぼすためです。
脊髄は神経が與待っている組織のため、神経の損傷が大きいと、回復が難しくなることがたびたびあります。
早期の発見と適切な治療が重要です。
「頸椎症」と「頸椎症性脊髄症」はどう違う?
この記事では「頸椎症」と「頸椎症性脊髄症」はどう違う?について解説します。
どちらの疾患とも、加齢による首の骨である頸椎の変化が原因で起こる病気です。
でも、影響を受ける場所や症状に違いがあります。
まず「頸椎症」は、首の骨やその周囲の構造が加齢によって変形し、主に神経の根元である神経根が圧迫されるため症状が起こります。
代表的な症状は、首や肩の痛み、腕のしびれ、動かしにくさなどで、比較的局所的な症状が中心となります。
これに対して「頸椎症性脊髄症」は、変形した骨、靱帯、つぶれた椎間板などによって、首の中を通っている脊髄が圧迫されることで起こります。
脊髄は手足の動きや感覚を担う重要な神経の束であるため、その部分が圧迫されると、手のしびれ、細かい作業の困難、歩行障害、時には排尿や排便の異常など、全身にわたるさまざまな症状が現れます。
まとめると、頸椎の変形によって周囲の神経に影響を及ぼしている状態が「頸椎症」であり、その変化がさらに進行して脊髄にまで圧迫が及んだ状態が「頸椎症性脊髄症」と言えます。
そのため、頸椎症性脊髄症はより進行した状態であり、手足や排泄機能にまで障害が出る可能性があります。
まとめ
今回の記事では、頸椎症性脊髄症とは?首から始まる神経の病気を正しく知ろうについて解説しました。
頸椎症性脊髄症は脊髄が圧迫されて神経が障害される病気であり、現在の治療は主に手術による圧迫の解除が中心です。
しかし、圧迫によって一度損傷した神経は完全には回復しないのが一般的です。
そのため、再生医療が注目されています。
ニューロテック®は、「神経障害は治るを当たり前にする」ことを目的とした取り組みです。
その代表的な治療法であるリニューロ®は、「狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療」を提供します。
リニューロ®では、同時刺激×神経再生医療®により、神経回路の再構築を促進します。
さらに、骨髄由来間葉系幹細胞を用いることで、神経修復の可能性を高めます。
また、神経再生リハビリ®を併用することで、神経回路の強化をサポートします。
脳梗塞脊髄損傷クリニックなどでは、リニューロ®を提供し、神経障害の改善を目指しています。
これらの治療法は、頸椎症性脊髄症が原因で後遺症が残った患者さんに対して期待が持てる治療となるでしょう。
よくあるご質問
- 頚椎症性脊髄症の初期症状は?
- 初期症状は、手のしびれや細かい動作のしにくさから始まることが多いです。
具体的には、ボタンを留める、箸を使うといった日常の動作に違和感が出ます。
また、足のもつれや歩きにくさを感じる場合もあります。 - 頚椎症性脊髄症の進行速度は?
- 進行速度は個々の患者さんによって異なります。
数年かけてゆっくり悪化する場合もあれば、数か月で急速に症状が進むこともあります。
初期症状としては、軽いしびれや動作の不自由さを感じることが多いです。
病気が進むと、歩行困難や排尿障害など日常生活に支障を来すこともあります。
(1)頸椎症性脊髄症|日本整形外科学会:https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_spondylotic_myelopathy.html
(2)頸椎症および頸椎症性脊髄症|MSDマニュアル プロフェッショナル版:https://www.msdmanuals.com/
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