点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脳卒中

 脳梗塞の発症部位による顔面神経麻痺との関係

<この記事を読んでわかること>

脳梗塞による顔面神経麻痺の発生メカニズム
顔面神経麻痺が起こりやすい脳梗塞の部位とは?
顔面神経麻痺と他の症状の関連性


脳梗塞による顔面神経麻痺は、発症する部位により異なる特徴を示します。
脳幹の橋の場合、同側の顔面神経核やその神経線維が障害されるため、末梢性顔面神経麻痺と似た症状が現れます。
一方、大脳皮質や内包に病変があると、反対側の顔面神経の中枢が影響を受け、中枢性顔面神経麻痺が生じます。
この違いは、病変部位の特定に役立ちます。

脳梗塞による顔面神経麻痺の発生メカニズム

脳梗塞による顔面神経麻痺の発生メカニズム
この記事では脳梗塞による顔面神経麻痺の発生メカニズムについて解説します。
脳梗塞が原因で起こる顔面神経麻痺は、病変の部位によって異なるメカニズムで起こります。
顔面神経は橋にある顔面神経核から出て、顔の筋肉を動かしますが、どの部分が障害されるかによって症状が変わります。
大脳皮質や内包が障害されると、反対側の顔面神経の経路が影響を受け、中枢性顔面神経麻痺が起こります。
この場合、額のしわ寄せや眼を閉じることはできますが、口角を上げることが難しくなります。
一方、橋の病変では、顔面神経核やその線維が直接障害されるため、末梢性顔面神経麻痺と同じように、顔の片側全体が動かなくなります。
これは、顔面神経核より上位の神経は両側から支配を受けていますが、顔面神経核そのものが障害されると、代わりに機能する経路がないためです。
さらに、橋の病変が他の脳神経や運動路に影響を与えると、顔面麻痺だけではなく、手足の麻痺や嚥下障害などが生じることもあります。
(参照サイト:脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2023]| 日本脳卒中学会)
これらの症状の違いを見分けることで、脳梗塞の病変部位の推測が可能となります。

顔面神経麻痺が起こりやすい脳梗塞の部位とは?

この記事では、顔面神経麻痺が起こりやすい脳梗塞の部位とは?について解説します。
顔面神経に関わる血流を供給する動脈に注目すると、特に橋を栄養する脳幹の穿通枝や、大脳皮質・内包を支配する中大脳動脈の領域が重要です。
橋には、顔面神経核があり、この部分の血流を担う穿通枝が閉塞すると、顔面神経核やその周囲の構造が障害され、末梢性顔面神経麻痺のような症状が現れます。
また、橋の病変では、同じ穿通枝が支配する錐体路や感覚路も影響を受けるため、顔面麻痺に加えて、四肢の麻痺や感覚障害を伴うことが多いです。
一方、大脳皮質や内包を支配する中大脳動脈が閉塞すると、運動野から橋の顔面神経核へ向かう神経経路が障害されるため、中枢性顔面神経麻痺が起こります。
この場合、反対側の顔の下半分に麻痺が見られますが、上半分は比較的動きが保たれるのが特徴です。
特に、内包は運動神経が集中しているため、この部分に脳梗塞が生じると、顔面麻痺だけでなく、同側の手足の麻痺も起こることが多いです。
(参照サイト:顔面神経麻痺 | 日本頭蓋顎顔面外科学会)
これらの発生部位の違いによる症状を把握することで、病変部位の推定が可能となります。

顔面神経麻痺と他の症状の関連性

この記事では顔面神経麻痺と他の症状の関連性について解説します。
顔面神経麻痺は、単独で発症することが多いですが、他の神経症状を伴うこともあります。
たとえば、橋に脳梗塞が起きると、顔面神経核だけでなく、手足の運動を司る錐体路や感覚神経も影響を受けるため、顔面麻痺に加えて四肢の麻痺や感覚障害が同時に現れます。
また、橋には複数の脳神経が存在するため、外転神経が障害されると複視、三叉神経が影響を受けると顔の感覚異常を伴うことがあります。
一方、大脳皮質や内包に病変がある場合は、顔面麻痺に加えて、反対側の手足にも麻痺が生じるのが特徴です。
さらに、小脳や脳幹が影響を受けると、顔面麻痺に加えて、めまいや嚥下障害、バランスの崩れなどが起きることもあります。
顔面神経麻痺が単独で起こったのか、他の神経症状を伴っているかを評価することは、診断の大きな手がかりとなります。
(参照サイト:顔面神経麻痺 | 日本頭蓋顎顔面外科学会)
これらの症状の組み合わせを把握することで、病変の部位を特定し、適切な診断と治療につなげることができます。

まとめ

今回の記事では、脳梗塞の発症部位による顔面神経麻痺との関係について解説しました。
脳梗塞は、脳の神経細胞が壊死することで、顔面神経麻痺を含むさまざま症状を引き起こします。
後遺症が残るケースも多いです。
損傷した神経が回復すると、症状が改善しますが、現在のところ、決め手となる治療は確立されていません。
そのため、新たな治療法として、再生医療への期待が高まっています。
『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義しました。
ニューロテック、脳梗塞脊髄損傷クリニックなどでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
リニューロ®とは、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『狙った脳・脊髄の治る力を高める治療』と定義しております。
具体的には、同時刺激×神経再生医療Ⓡに加えて、治療効果を高めるために骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリ®を併用し、神経障害の更なる軽減を目指しています。
これらの治療法は、脳梗塞の後遺症で苦しむ患者さんに対して期待が持てる治療となるでしょう。

よくあるご質問

脳梗塞による顔面麻痺はどの部位に現れる?
大脳皮質や内包が障害されると、対側の顔面の下半分に麻痺が生じる中枢性顔面神経麻痺が見られます。
一方、脳幹の橋に病変が及ぶと、同側の顔面全体に麻痺が現れる末梢性顔面神経麻痺と同様の症状が見られます。

脳梗塞になるとなぜ麻痺が残るのですか?
脳梗塞は、血流が途絶えた部分の神経細胞が壊死し、運動や感覚の働きが失われる疾患です。
神経細胞は一度損傷を受けると回復しにくいため、元の状態に戻すことは難しいことが多いです。
その結果として麻痺が残ります。

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