・生活環境とリハビリの管理が後遺症の改善に重要
・再生医療を含む治療選択肢が後遺症の克服に役立つ
・脳梗塞後遺症に関する情報で不安の軽減を図る
脳梗塞の後遺症には生活環境・リハビリテーションによる管理が有効です。
この記事を読めば脳梗塞後遺症にはどのような生活環境・リハビリテーションが有効か知ることができ、また再生医療による治療も選択肢となることを知ることができます。
この記事を読んで、脳梗塞の後遺症について知り不安を解消しましょう。
脳梗塞後遺症の理解と対策
脳梗塞とは、脳卒中を大きく3つに分けた際の虚血性のタイプが該当します。
虚血性とは血管が詰まることによって血流不足になることを言います。
その中にも
- ラクナ梗塞
- アテローム血栓性梗塞
- 心原性脳塞栓症
の3つのタイプがあります。
ラクナ梗塞やアテローム血栓性梗塞では高血圧や糖尿病により動脈に負担がかかります。
動脈硬化や微小血管の障害が進行することが原因です。
動脈硬化のリスクファクターは
- 喫煙
- 飲酒
- 肥満
- 高血圧
- 脂質異常症、高コレステロール血症
- 糖尿病
です。
予防法としては
- 禁煙
- 節酒
- 食事療法
- 運動療法
- 内服治療
があります。
心原性脳塞栓症の主な原因は心房細動です。
心房細動とは心臓の電気信号が乱れ、心房が小刻みに震え心拍も不規則になる不整脈の一種です。
心房内に血栓(血の塊)ができてしまい、脳梗塞の原因となります。
心房細動は心電図検査で診断できます。
脳梗塞の原因となるため、抗凝固薬の内服が必要となります。
心房細動の原因としては
- 加齢
- 肥満
- 多量の飲酒
- ストレス
- 睡眠不足
があります。
節酒や規則正しい生活が重要です。
脳梗塞の症状と早期発見の重要性
脳梗塞の後遺症(脳出血などを含む脳卒中全般における後遺症)にはいろいろな症状があり、日常生活に支障をきたしてしまうものがほとんどです。
その中でも、多くの方が悩まされているのが運動や感覚に障害をきたす麻痺や言語障害、そして認知機能の低下です。
運動麻痺、感覚障害
麻痺とは、脳や神経が脳梗塞によって損傷され運動や感じることが障害されることです。
運動麻痺による運動障害の症状として、手指を細かく動かしたり足首を動かしたりできなくなることがあります。
その影響で歩行能力の低下や日常生活動作が行いにくくなります。
喉に麻痺が生じると飲み込みがしにくくなる嚥下障害が起こります。
感覚障害は麻痺によって触れている・動いているなどの感覚が分からなくなったり、温度や痛みが分からなくなったりします。
言語障害
言語障害になると、言葉を理解することができなくなったり、伝えたいことも伝えられなくなったり意思の疎通が困難になります。
文字が書けなくなる症状が出ることこともあります。
認知機能の低下
認知機能とは、記憶や社会的なものごとの理解、空間の認識を司る能力です。
言語障害を始め、記憶障害、空間認知障害、失認など人によって異なった障害が出ます。
発症後なるべく早期に血流を再開させるべく治療を行うことが、後遺症を最小限に抑えるのにとても重要です。
適応があれば、はじめに血管の閉塞を引き起こしている血栓を薬で溶解させる「血栓溶解療法」、もしくはカテーテルを血管から挿入して血栓を取り除く「血管内治療」を行います。
血管内治療は、発症後4.5時間以内の患者に対して行われる治療です。
発症時間が不明なときはMRIでDWIとFlair画像を確認し、ミスマッチがあれば適応となります。
対して血管内治療は、発症後6時間以内の患者が対象の治療です。
脳梗塞の状態が長くなれば脳の壊死が進み、より重篤な後遺症が残ってしまう可能性が高くなります。
生活環境とリハビリテーションによる後遺症の管理
早期にリハビリテーションを開始すると、機能予後は格段に良くなることが分かっています。
リハビリテーションは体の運動機能の回復だけでなく、心理的・社会的な回復も意味します。
リハビリは
- 急性期
- 回復期
- 維持期
に大別されます。
急性期
脳梗塞の治療を行いながら原因を調べ、脳梗塞を再発しないための治療を行います。
入院後(脳梗塞発症後)2~3週間程度であることが多いです。
回復期
リハビリテーションを専門とした病院で日常生活に戻ることを目標に生活動作の訓練を行います。
症状が軽い場合には回復期を行わなかったり、期間を短くしたりします。
多くの場合には1~2か月かけてリハビリテーションを行います。
維持期
トイレでの排泄や入浴などが安全に行えるように訓練したり、外出をするなど活動範囲を広げたり、廃用などによる機能低下を予防したりする目的でリハビリテーションを行います。
再生医療による疾患治療の未来と展望
再生医療により脳神経細胞も再生することが確認されました。
再生医療とは、自己の持つ細胞や再生能力を利用し、病気や症状の改善をおこなう治療法です。
自己の回復力や修復力に依存するため、効果の表れ方や効果が表れるまでの期間には個人差があります。
近年、骨髄・臍帯の幹細胞から分泌されるサイトカイン(タンパク質)を使用した 再生医療も行われています。
脳梗塞の後遺症の軽減やリハビリ効果が高まることが報告されています。
脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、患者様ご自身の体内にある骨髄から骨髄液を採取し、その骨髄液の中にある幹細胞を培養して大量に幹細胞を増やし、患者様のお体に点滴投与していく骨髄由来幹細胞点滴治療とリハビリ治療を併用して行なっています。
今までは根本的な治療がない(困難)と言われていた病状に対して、損傷された細胞を修復させる、新たな細胞を体内に収着させる、再構築させることを目指す治療です。
幹細胞点滴治療は、3つの相性の効果があるとされています。
1つめは導入してすぐに効果を発揮する液性作用で、神経回路の伝達の改善が期待できます。
2つめは1週間から数ヶ月かけて効果を発揮する血管新生作用。3つめの神経再生作用も同程度持続します。
この血管新生作用と神経再生作用をさらに高めるため、当クリニックではリハビリを併用しています。
脳卒中等の後遺症で動きにくくなった手足を動かすと、それに対応した脳の部位の血流量が上がり、幹細胞や上清液が集中して修復効果を高めるからです。
再生医療の本来の効果を得るために、リハビリはなくてはならないものと言えます。
まとめ
この記事では、
- 脳梗塞後遺症の理解と対策
- 脳梗塞の症状と早期発見の重要性
- 生活環境とリハビリテーションによる後遺症の管理
- 再生医療による疾患治療の未来と展望
について解説してきました。
脳梗塞は運動麻痺、感覚障害、言語障害、認知機能の低下をはじめとして様々な後遺症を引き起こします。
今までは早期発見・早期治療とリハビリテーションによる管理が重要とされてきました。
近年では、再生医療も注目され実際に効果が出ているとの報告も増えてきています。
脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、患者様ご自身の体内にある骨髄から骨髄液を採取し、その骨髄液の中にある幹細胞を培養して大量に幹細胞を増やし、患者様のお体に点滴投与していく骨髄由来幹細胞点滴治療とリハビリ治療を併用して行なっています。
再生医療の本来の効果を得るために、リハビリはなくてはならないものと言えます。
この記事を読んで、脳梗塞の後遺症についてしっかり理解し対策を行いましょう。
その際の選択肢として再生医療も検討してみてはいかがでしょうか。
よくあるご質問
- 脳梗塞の後遺症は治る?
- 一般に脳梗塞を発症するとほぼ完治する人が2割で、約7割は何かしらの後遺症を残すといわれています。
厚生労働省の報告では脳梗塞発症後の復職率は5~6割です。
脳梗塞の症状の改善にはリハビリテーションが重要で、特に発症から3か月以内の急性期はリハビリテーションにより症状の改善が期待できることから、リハビリテーション後となる発症から3~6か月ごろに復職する人が多いです。
一方で復職する人の15%程度は発症の1年後以降に復職しています。 - 脳梗塞は再発しますか?
- 脳梗塞の再発率は10年間で49.7%というデータがあります。
脳梗塞の再発は、発症してから1か月以内が最も高いですが年数が経過していても再発の危険性があります。
<参照元>
脳梗塞の後遺症:https://noureha.com/for_family/attention/aftereffect/
脳梗塞の後遺症とは?症状や原因、リハビリについて解説:https://www.noureha-shizuoka.com/news/536/
脳梗塞の後遺症、リハビリ:https://kaifukuki.doctorsfile.jp/sick/
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脳卒中のなかには、早期に診断して治療を開始することで予後が改善できるものがありますので、顔や手の麻痺が生じたり、言葉が不明瞭になったりする初期症状には注目しましょう。応急処置は、呼吸や意識の評価と評価に基づく対応、迅速な救急要請、救急隊が到着するまでの安全な体位の確保、また症状や時間経過の記録などしておくことが理想的です。
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