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脳卒中

 くも膜下出血の前兆について

<この記事を読んでわかること>
脳出血の原因と種類
脳出血のリハビリ
リハビリの必要性

くも膜下出血とは脳の血管が風船状に変化して膨らみ、脆くなった部分が急に破裂して生じる病気です。
これまでくも膜下出血はなんの前兆もなく急に発症すると考えられてきましたが、最近の調査・研究の結果、前兆とも言える特徴的な症状を認めることがわかってきました。

そこでこの記事では、くも膜下出血の前兆に関して詳しく解説していきます。

くも膜下出血の前兆とは

くも膜下出血の前兆とは

そもそもくも膜下出血とはどのような病気なのでしょうか?
脳は外側から順に硬膜・くも膜・軟膜の3枚の膜で保護されており、くも膜と軟膜の間の血管が破綻することで生じる脳出血をくも膜下出血と呼びます。
一般的に、頭部外傷による外傷性くも膜下出血と外傷以外の原因による一次性くも膜下出血に分類され、一次性くも膜下出血最大の原因は脳動脈瘤の破裂です。
動脈が瘤状に膨らみ脆弱になった部分を脳動脈瘤と言い、先天性に持っていることが多いです。
この動脈瘤が破裂することで一気に出血を引き起こし、 発症すると死亡率が約50%と非常に致死率が高くとても怖い病気です。
また対応が遅れると再出血の危険性もあり、命が助かったとしても日常生活に重篤な後遺症を残すリスクもあります。

これまで、くも膜下出血は突然なんの前触れもなく発症すると考えられてきたため、破裂する前に脳ドッグや検診で頭部CTや頭部MRI検査を行い、偶然動脈瘤が発見されない限り、未然に防ぐことは難しい病気とされてきました。
しかし、ここ最近の研究や調査では、くも膜下出血に特徴的な前兆とも言える症状がいくつかあることが分かっています。


くも膜下出血の前兆症状

くも膜下出血の前兆症状

くも膜下出血の主な前兆症状を下記に示します。
• 血圧が激しく上昇・下降する
• 急な頭痛(頭痛はそれほど強くない場合もある)
• 視力低下、めまい
• 吐き気や嘔吐
• 意識低下や頭の違和感(モヤモヤしたりボーとする)
これらの前兆症状はしばらくすると治ってしまいますが、その数日後に大きな発作を起こすことも少なくありません。

血圧が激しく上昇・下降する

くも膜下出血の前兆症状として血圧の激しい変化が知られています。
血圧の乱高下によって脳血管に流入する血液量は激しく変化します。
本来であれば動脈は弾性に富んでいるため、血液量や血圧の変化にも柔軟に対応し破綻することはありません。
しかし、動脈硬化が進展している場合や脆弱な動脈瘤がある場合、血圧や血流量の変化に耐えきれず破綻してしまいます。
ご自身で血圧を測定し異常に高い、もしくは異常に低いなどの変化があった場合は、急いで医療機関に受診しましょう。

急な頭痛

くも膜下出血の前兆症状として急な頭痛が知られています。
これは、動脈瘤からの微小な出血によって引き起こされていると考えられています。

動脈瘤破裂後に生じる頭痛の程度は主に重度ですが、破裂前の前兆としての頭痛の程度は人によって異なり、それほど強くない場合もあります。
くも膜下出血の前兆症状として経験する人が多いため「警告頭痛」とも呼ばれています。

視力低下、めまい

くも膜下出血の前兆症状として視力低下やめまいが知られています。
これは、破裂前の動脈瘤によって眼球を動かす動眼神経が圧迫されているからです。
動眼神経は眼球を動かす上で非常に重要な神経ですが、他にも瞳孔やまぶたの筋肉の運動も調節しているため、動脈瘤による圧迫を受けると下記のような症状をきたします。
• 物が二重に見える
• まぶたが下がる
• 瞳孔が開く
これらの症状はくも膜下出血を発症する数日前〜数ヶ月前に現れると言われています。
上記症状を認めた場合、早急に医療機関を受診しましょう。

吐き気や嘔吐

くも膜下出血の前兆症状として吐き気や嘔気が知られています。
動脈瘤からの微小な出血によって髄膜が刺激されていたり、頭蓋内圧が上昇していることが原因と考えられています。
これらの症状は頭痛と連動することが多いため、頭痛を伴う嘔気・嘔吐を認める方は急いで医療機関に受診しましょう。

意識低下や頭の違和感

くも膜下出血の前兆症状として意識低下や頭の違和感が知られています。
あくまで一時的な意識低下・違和感であり長時間の意識障害には至りませんが、いずれ脳動脈瘤が破裂すれば意識障害を引き起こす可能性が高いです。

まとめ

くも膜下出血の前兆症状

今回の記事では、くも膜下出血の前兆症状について解説しました。
くも膜下出血の原因は脳動脈瘤の破裂であり、一度破裂してしまうと出血が止まることなく、脳そのものを圧迫してしまいます。
脳は硬い頭蓋骨に囲まれているため、出血によって血が溜まっていくと脳が圧迫され、脳を栄養する血流が途絶するため、麻痺やしびれ、頭痛、嘔気、最悪の場合は意識障害や呼吸停止を引き起こします。
また、血流が途絶し一度壊死してしまった脳の細胞や機能は基本的に再生しないと考えられているため、くも膜下出血による脳の損傷は重篤な後遺症を引き起こします。
しかし、近年では再生医療の発達も目覚ましく、損傷した脳細胞の再生も期待できます。
くも膜下出血によって損傷・壊死した脳細胞が再生すれば、日常生活に支障をきたす重篤な後遺症も回復する可能性もあり、現在のその知見が待たれるところです。

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Dr. 貴宝院 永稔 [Kihouin Nagatoshi]

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