点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脳卒中

 家族と考える脳卒中患者の今後の治療方法

<この記事を読んでわかること>
脳卒中患者とその家族が今後の治療方法について考慮すべきポイントがわかる
脳卒中患者の急性期から回復期にかけてのリハビリテーションの重要性、治療の目標設定、および患者個々の状況に合わせた治療計画の重要性がわかる
脳卒中の初期対応がわかる

脳卒中が起こってしまった際には、迅速な初期対応が求められます。
同時に、急性期治療から回復期にかけてのリハビリテーションも重要になります。
今回の記事では、脳卒中の初期対応から治療、リハビリテーションまで、また、FASTの警告サインの認識や急性期から回復期へのリハビリテーションの重要性について解説していきます。

救急処置から治療開始まで脳卒中の初期対応

救急処置から治療開始まで脳卒中の初期対応
脳卒中の初期対応は、患者の予後を大きく左右するため、迅速かつ正確な治療が求められます。
以下に、救急処置から治療開始までのステップと重要なポイントを詳しく説明していきます。

脳卒中の初期対応のステップ1 症状の識別と評価

脳卒中は、「顔のゆがみ」、「言葉の不明瞭」、「片方の腕の力の低下」などの症状が現れることが多いです。
これらの症状が見られた場合、速やかに救急車を呼ぶことが重要です。
これは、

  • 顔の歪み(Face Drooping)
  • 腕の筋力低下(Arm Weakness)
  • 発語の困難(Speech Difficulty)
  • 時間の重要性(Time to call 911(注;アメリカの911は日本の119に相当します))

の頭文字をとって、FASTの警告サインとも呼ばれます。

脳卒中の初期対応のステップ2 救急医療サービスへの通報

救急車が到着するまでの間、患者を安静に保ち、呼吸が楽な体位に調整します。
可能であれば、患者の意識レベルや呼吸状態をモニタリングします。

脳卒中の初期対応のステップ3 病院における迅速な診断

病院到着後、CTスキャンやMRIを用いて、脳卒中のタイプ(虚血性脳卒中か出血性脳卒中か)を迅速に診断します。
診断結果に基づき、適切な治療方針が決定されます。

脳卒中の初期対応のステップ4 急性期治療の開始

虚血性脳卒中の場合、血栓溶解療法が行われることが多く、特に発症後4.5時間以内の治療開始が推奨されています。
この治療は、閉塞した血管を再開通させることを目的としています(Stroke Association)。
出血性脳卒中の場合、血圧の管理と頭蓋内圧のコントロールが優先され、場合によっては手術が必要になることがあります(Journal of Stroke)。

急性期から回復期への移行とリハビリのタイミング

脳卒中の急性期から回復期への移行とリハビリのタイミングは、患者の病態に合わせた計画的かつ組織的なアプローチを必要とします。
これは、ひいては患者中心の医療につながるのです。
以下は、その主要なポイントとステップについて解説していきます。

急性期リハビリテーション

急性期は脳卒中発症後の最初の数日間を指し、この期間は主に生命を守るための緊急治療に焦点を当てます。
しかし、急性期のリハビリテーションも同時に始めることが推奨されており、発症後24〜48時間以内に開始することが理想的です。
この初期リハビリテーションには、

  • 基本的な運動機能の維持・改善
  • 早期離床
  • 摂食・嚥下訓練
  • 自己ケア訓練

などが含まれます。

回復期リハビリテーション

回復期は、急性期から安定期に移行する過程で、通常は発症から数週間後に始まります。
この期間には、より集中的なリハビリテーションプログラムが実施され、患者の機能回復を促進します。
リハビリテーションの計画は、

  • 患者の病態
  • 個々の機能障害
  • 日常生活動作の障害
  • 社会生活上の制限

などの評価に基づいて行われます。
この段階でのリハビリテーションは、患者が可能な限り自立した生活を送るための重要な基盤を築きます。

亜急性期および生活期リハビリテーション

亜急性期と生活期には、回復期リハビリテーションの延長として、患者の能力に応じた運動プログラムやADL(日常生活動作)の訓練が続けられます。
特に生活期では、在宅でのリハビリテーションや地域社会での活動参加が強調され、持続的な生活の質の向上と社会参加が目指されます。

リハビリの継続と治療目標の現実的な設定とは

急性期から回復期、さらには生活期に至るまで、リハビリテーションの継続的な実施は、機能回復を最大限に促進し、再発の予防や生活の質の向上を図るために不可欠です。
治療目標は患者一人ひとりの状態、ニーズ、生活環境を考慮に入れて設定されるべきです。
医師、理学療法士、作業療法士、言語療法士などの専門家がチームを組み、患者および家族の意見を取り入れながら具体的な目標を設定します。
例えば、以下のようになります。

運動機能障害がある場合

脳卒中により影響を受ける主な領域は運動機能です。
理学療法士は患者の筋力、バランス、調整能力、歩行機能などを評価し、これらの要素を改善するための具体的な目標を設定します。
例えば、立ち上がりや歩行の安全性を高めるために特定の筋群を強化する訓練や、バランスを改善するための運動が含まれます。

感覚障害がある場合

脳卒中は感覚障害も引き起こすことがあります。
感覚障害がある患者に対しては、感覚刺激の再教育を通じて感覚フィードバックを改善する目標が設定されることがあります。
これには、触覚、温度感覚、痛覚の識別訓練が含まれます。

言語・コミュニケーション障害がある場合

言語療法士は、脳卒中による発話や理解の問題、言語の流暢さといった障害に向き合います。
治療目標は、日常会話でのコミュニケーション能力の回復や、言語理解力の向上に焦点を当てます。
具体的な目標には、新しいコミュニケーション戦略の学習や特定の言語機能の再構築が含まれることがあります。

認知障害がある場合

脳卒中は記憶、注意、問題解決スキルなどの認知機能に影響を与えることがあります。
作業療法士はこれらの認知障害を評価し、日常生活活動(ADL)の自立を支援する目標を設定します。
治療目標には、認知タスクへの適応、記憶促進技術の使用、環境の調整が含まれることがあります。

精神的・感情的なサポートが必要な場合

脳卒中患者は、うつ病や不安を経験することも多くみられます。
精神的な健康を支える目標も重要で、心理療法やカウンセリングを通じて感情的な安定を促進することが目標になります。
社会的サポートの強化やストレス管理の技術が治療計画に含まれることがあります。

まとめ

今回の記事では、脳卒中患者のリハビリテーションについて述べました。
脳卒中が起こると、脳神経細胞が損傷を受けてしまいます。
そこで、ニューロテックメディカルでは『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義し、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『狙った脳・脊髄の治る力を高める治療』を、リニューロ®と定義しました。
リニューロ®は、同時刺激×神経再生医療、骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリにて『脳の治る力を高める治療』です。
脳卒中後の後遺症に対するリハビリに加えて、再生医療にもご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談くださいね。

Q&A

脳出血の家族ができることとは?
脳出血を患った家族のために、患者が必要とする医療とリハビリテーションを受けられるよう支援することが重要です。
リハビリテーションの計画に積極的に参加し、進捗を見守り、サポートすることが求められます。
また、日常生活での助けが必要な場合には、食事や身の回りの世話、移動の手助けなどを行うことが考えられます。

脳梗塞は家族歴と関係ありますか?
脳梗塞は家族歴と関係がある場合があります。
遺伝的要因が脳梗塞のリスクを高めることが知られており、家族に脳梗塞を患った人がいる場合、そのリスクは増加する可能性があります。
ただし、脳梗塞のリスクは遺伝だけでなく、生活習慣や環境要因も大きく影響します。
高血圧、糖尿病、喫煙、肥満、運動不足などのリスク要因を管理することで、脳梗塞の発症リスクを減少させることができます。
<参照元>
American Stroke Association. Stroke Warning Signs and Symptoms.:https://www.stroke.org/en/about-stroke/stroke-symptoms
National Institute of Neurological Disorders and Stroke – National Institutes of Health (NIH):https://www.ninds.nih.gov/health-information/disorders/stroke

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