<この記事を読んでわかること>
・脳梗塞後にむくみが発生する原因がわかる。
・脳浮腫と体全体のむくみの違いがわかる。
・むくみ改善のためのリハビリやケア方法がわかる。
脳梗塞後には、脳のむくみである脳浮腫の他、からだにもむくみが生じることがあります。
今回の記事では、脳梗塞後にこれらのむくみが生じる原因やそのメカニズムについて詳しく解説します。
さらに、脳浮腫とからだのむくみの違いや、むくみを改善するための治療法と改善策についても紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
なぜ脳梗塞後にむくみが発生するのか?その原因とは
脳梗塞後にむくみが発生する原因は、脳の損傷だけでなく、全身の循環や代謝の変化にも関係しています。
脳梗塞では、脳への血流が遮断され、脳細胞が酸素不足に陥ります。
これにより、脳がダメージを受け、炎症が引き起こされます。
この炎症の影響で血管が漏れやすくなり、脳内に水分が溜まりやすくなる「脳浮腫」が発生します。
脳浮腫は、脳全体の圧力を高め、さらなる症状を引き起こすことがあります。
脳梗塞後には、脳浮腫だけでなく、体全体にもむくみが現れることがあります。
特に、脳梗塞により体を動かすことが難しくなると、筋肉が十分に活動しないため、血液やリンパ液の流れが悪くなり、手足や顔にむくみが生じることがあります。
また、脳梗塞後は自律神経やホルモンバランスが乱れ、体内の水分調整がうまくいかなくなり、全身のむくみの原因になることもあります。
特に、足や手のむくみは、長時間の安静やベッドで過ごすことで血流が滞り、筋力低下が影響していることが多いです。
さらに、脳梗塞によって腎臓や心臓の機能が低下すると、体内の余分な水分を適切に排出できなくなり、むくみが発生することもあります。
このように、脳梗塞後のむくみは、脳への直接的なダメージと、全身の機能不全が複雑に絡み合って生じるものです。
脳梗塞が引き起こす体内の水分バランスの乱れとむくみの関係
脳梗塞が発生すると、脳内の血流が遮断されるだけでなく、全身の水分バランスにも大きな影響を及ぼします。
脳は体全体の機能を調整する重要な役割を果たしており、脳梗塞によってその調整機能が損なわれることで、体内の水分調節も乱れてしまいます。
特に、脳は腎臓や心臓と連携して血液量や水分排出を管理していますが、脳梗塞による神経機能の低下は、これらの臓器にも影響を与えます。
その結果、体内の水分が適切に排出されず、過剰に蓄積されることでむくみが発生します。
さらに、脳梗塞後の自律神経の乱れも、血管の収縮や拡張がうまくいかなくなり、水分が体内に滞留しやすくなります。
また、脳梗塞後は活動量が減るため、筋肉がポンプのように働いて血液を循環させる機能が低下します。
これにより、特に下肢や末端部分に水分が溜まりやすくなり、むくみが生じることが多くなります。
筋力の低下や動作の制限は、脳梗塞後の水分バランスにさらなる負荷をかける要因となります。
このように、脳梗塞は脳の損傷に加え、体全体の水分バランスに影響を与え、むくみを引き起こす一因となります。
適切な水分管理や血行を促すケアがむくみの改善に重要です。
脳浮腫と体のむくみの違いとは?
脳浮腫と体のむくみの大きな違いは、影響する部位と危険度です。
脳浮腫は脳内の問題で、頭蓋内圧の上昇が脳を圧迫し、生命に関わる深刻な症状を引き起こす可能性が高い一方、体のむくみは全身に現れる比較的軽度の症状です。
体のむくみは、血液循環や水分代謝の不全によって引き起こされ、通常はリハビリや運動、圧迫療法などで改善することができます。
また、脳浮腫は急速に進行し、治療が遅れると脳へのダメージが不可逆的になる恐れがありますが、体のむくみは比較的緩やかに進行し、適切なケアを行うことで症状をコントロールしやすいです。
このように、脳浮腫と体のむくみはどちらも脳梗塞後に発生し得る症状ですが、その原因や影響は大きく異なるため、適切な対応が必要です。
脳浮腫は早急な治療が必要なので、体のむくみには生活習慣やリハビリによる改善が有効です。
脳梗塞後のむくみを改善するための治療法とケア
脳梗塞後にむくみが発生することがありますが、それぞれのタイプに応じた適切な治療やケアを行うことが大切です。
以下に、脳浮腫と体のむくみの改善方法について簡単に説明します。
- 脳浮腫の治療法
脳浮腫は脳の腫れで、緊急の治療が必要です。
薬物療法として、ステロイドや利尿薬を使って脳の圧力を下げ、余分な水分を除去します。
脳圧が高い場合、頭蓋骨の一部を取り除く手術が行われることがあります。
また、呼吸が困難な場合、酸素を供給するための治療も行われます。 - 体のむくみを改善する治療法とケア
体のむくみは血流やリンパの流れが悪くなることで起こります。
そのため、圧迫靴下や弾性ストッキングで血流を促進し、むくみを軽減します。
また、リハビリテーションで筋力を回復させることで、血液や水分の循環を改善します。
軽い運動やストレッチも有効です。
塩分の摂りすぎはむくみを悪化させるため、バランスの良い食事が大切です。
また、体に溜まった余分な水分を排出するため、利尿剤が使われることもあります。 - 日常生活でできるケア
定期的な運動として、足を動かすなどの軽い運動を取り入れて血流を良くしましょう。
また、長時間同じ姿勢を避け、定期的に体を動かすようにしましょう。
栄養バランスを整える: カリウムを多く含む食材(バナナやホウレンソウなど)を摂取すると、むくみ軽減に役立ちます。
まとめ
脳梗塞後のむくみは、脳の損傷による炎症反応や体内の水分バランスの乱れが主な原因です。
脳浮腫と体のむくみは異なる症状ですが、どちらも適切な治療とケアが必要です。
脳梗塞後のむくみを予防・改善するためには、医師の指示に従い、リハビリや生活習慣の見直しを行うことが大切です。
むくみが続く場合や悪化する場合は、早期に医療機関での相談を行いましょう。
ニューロテックや脳梗塞脊髄損傷クリニックでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
リニューロ®は、同時刺激×神経再生医療®と骨髄由来の幹細胞を活用し、狙った脳や脊髄の自己治癒力を高めながら、神経再生リハビリ®を行うことで神経障害の改善を目指す治療法です。
体のむくみを改善するために大切なリハビリテーションに、再生医療を組み合わせることで、神経の再生を促す効果が期待できます。
体のむくみの改善や予防のためにはリハビリも大切です。
リハビリと再生医療の組み合わせにご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談くださいね。
よくあるご質問
- 脳梗塞の足のむくみを解消するにはどうしたらいいですか?
- 脳梗塞後の足のむくみを解消するためには、適度な運動やリハビリテーションが重要です。
また、足を高く上げて休むことや、圧迫靴下を着用することで血流を改善できます。
医師の指導のもと、利尿剤などの薬を使用する場合もありますので、症状に応じた適切な対策を講じましょう。 - 脳梗塞になると下肢がむくむのはなぜ?
- 脳梗塞による体の動きの低下や筋力の低下が原因で、血液やリンパ液の流れが悪くなり、足にむくみが生じます。
また、脳の損傷により体内の水分バランスが崩れ、むくみやすくなることもあります。
<参照元>
After Your Stroke: How To Handle 14 Common Complications|Cleveland Clinic:https://health.clevelandclinic.org/complications-of-stroke
Cerebral Edema Formation After Stroke: Emphasis on Blood–Brain Barrier and the Lymphatic Drainage System of the Brain:https://www.frontiersin.org/journals/cellular-neuroscience/articles/10.3389/fncel.2021.716825/full
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