点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脳卒中

 脳梗塞後の痙縮とは?後遺症としての症状と原因を解説

<この記事を読んでわかること>
痙縮とは何か、そのメカニズムと主な症状がわかる。
痙縮が日常生活に与える影響と対処法がわかる。
痙縮が発生するタイミングと早期対応の重要性がわかる。

中枢神経疾患における、上位運動ニューロン症候群の陽性徴候である痙縮は、腱反射更新を伴う緊張性伸張反射(tonic stretch reflex)で、運動麻痺症状の悪化や異常な体位、痛みを招いて日常生活に悪影響を及ぼします。
今回の記事では、脳梗塞による痙縮のメカニズムと主な症状、そして対処方法について解説していきます。

脳梗塞による痙縮のメカニズムと主な症状

脳梗塞による痙縮のメカニズムと主な症状
痙縮(けいしゅく)とは、運動の障害の一つです。
脳卒中や脊髄損傷、家族性痙性対麻痺などの中枢神経疾患が起こった際、筋緊張亢進を主な徴候とする、上位運動ニューロン症候群の神経症状のことです。
上位運動ニューロン症候群とは、脳の運動野や脊髄の上位運動ニューロン(運動を指令する神経細胞)の障害によって引き起こされる一連の神経症状を指しています。
そもそも、神経症状には、その神経組織が機能しなくなることで生じる陰性徴候(negative symptoms)と、本来はみられなかった機能が開放することで出現する陽性徴候(positive symptoms)があります。
痙縮は、後者の陽性徴候に属します。
痙縮が生じる具体的なメカニズムとしては、脳や脊髄での損傷により、筋肉を制御する神経経路が正常に機能しなくなることが挙げられます。
特に、筋肉の伸展反射を抑制する神経回路の障害が影響し、筋肉が常に収縮状態に陥ります。
これにより、関節の可動域が狭まり、動作がぎこちなくなるだけでなく、異常な肢位(姿勢)や痛み、不随意運動(本人の意思とは無関係に生じる動き)が発生します。
また、陰性徴候である運動麻痺に伴って痙縮が現れることが多く、これが症状をさらに複雑化させます。
筋緊張の亢進によって運動麻痺症状が複雑になり、運動の円滑性を妨げ、異常な肢位や不随意運動、巧緻動作障害、さらには痛みを招き、日常生活に少なからずの影響を及ぼします。

痙縮が日常生活に与える影響とその対処法

痙縮によって、以下の症状が出現する可能性があります。

  • 痛みや体が締め付けられる感覚
  • 不眠
  • 手足の関節が固くなることで動きが悪くなり、背骨の側弯などの変形を引き起こす
  • 変形した関節を動かすことによる手足の骨折
  • 心拍数の異常増加や大量発汗
  • 体を後にのけぞらせるような発作的な緊張
  • 筋肉の緊張によってカロリーが消費され、異常に痩せてしまう

痙縮の治療法には、リハビリテーションや飲み薬による治療、ボツリヌス療法、外科的治療などがあります。
特に、関節が固まらないようにするためのストレッチや体位変換を日常的に行うことが効果的です。
また、専門医による適切な治療計画を立てることが求められます。

痙縮が発生するタイミングと早期対応の重要性

痙縮が発生するタイミングと早期対応の重要性
痙縮は、脳卒中や脊髄損傷、脳性麻痺、多発性硬化症など、神経系に損傷が起きた後に発生します。
痙縮が起こるタイミングは個人差がありますが、症状が現れるのは損傷から数日後、または数週間から数か月後になることが一般的です。
痙縮が発生した場合には、早期に適切な対応を取ることが非常に重要です。
筋肉や関節の変形を防ぐためには、早めにリハビリテーションを始めることが必要です。
ボツリヌス毒素注射や抗痙縮薬の服用は、筋肉の緊張を緩和する効果が期待できます。
また、物理療法を取り入れることで、関節の可動域を保ち、痙縮による日常生活の制限を最小限に抑えることができます。
さらに、痙縮を引き起こす要因を特定し、それをコントロールすることも重要です。
たとえば、体温の急激な変化や感染症が痙縮を悪化させることがあるため、これらを適切に管理することが求められます。

まとめ

痙縮は、神経系の障害によって起こる症状であり、筋肉や関節にさまざまな影響を与えます。
そのまま放置すると、関節の変形や痛み、不眠、日常生活の制限など、患者の生活の質に深刻な影響を及ぼすことがあります。
しかし、痙縮が現れた段階で早期に適切な治療やリハビリを行うことで、症状の悪化を防ぐことができます。
痙縮に対応するためには、医師、リハビリ専門家、家族が一体となり、計画的に取り組むことが大切です。
正しい情報をもとにした適切な治療と、日常的なケアを続けることで、患者ができるだけ快適に生活できるようサポートしていくことが求められます。
痙縮は脳や脊髄のいろいろな病気を原因として起こります。
原因疾患は、脳卒中、脳性麻痺、頭部外傷、低酸素脳症、脊髄損傷、 神経の変性疾患など多岐にわたります。
当院ニューロテックメディカルでは、脳卒中や神経障害などによる後遺症に対して、再生医療を組み合わせたリハビリテーションを行っています。
そして、『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』として、ニューロテック®を提唱しました。
また、脳卒中や脊髄損傷、神経障害を抱える患者さんに対して、『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』をリニューロ®と定義しています。
リニューロ®は、同時刺激と神経再生医療®を組み合わせた治療法で、狙った脳や脊髄の治る力を的確に高めることを目指しています。
さらに、その効果をより高めるため、骨髄由来間葉系幹細胞や神経再生リハビリ®との併用を推奨しています。
脳梗塞後の痙縮に対しても、改善が期待できるでしょう。
ご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談くださいね。

よくあるご質問

脳梗塞になると痙縮するのはなぜ?
脳梗塞による神経障害が筋肉を制御する上位運動ニューロンに影響を与え、筋肉の伸展反射を抑える機能が失われるためです。
この結果、筋肉が過剰に収縮し、痙縮が引き起こされます。

脳梗塞で拘縮になる症状は?
拘縮は、筋肉や関節が硬くなり動かしにくくなる状態です。
脳梗塞では麻痺した手足に起こりやすく、関節が曲がったまま戻らなくなる、日常生活で服の着脱や歩行が困難になるなどの影響が見られます。

<参照元>
痙縮の病態生理.バイオメカニズム学会誌.2018;42(4):199-204:https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/42/4/42_199/_pdf
痙縮(痙性麻痺)|日本小児神経外科学会:http://jpn-spn.umin.jp/sick/g.html
【2022年版】痙縮の原因と責任病巣は? 治療・リハビリテーション戦略/ 45人の脳卒中患者の研究:https://www.stroke-lab.com/speciality/16785

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