点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脳卒中

 嚥下障害の患者にご家族ができること

<この記事を読んでわかること>
嚥下障害を持つ患者の家族が日常生活で支援できる具体的な行動
家族が患者の嚥下障害の管理と改善に積極的に関与する方法
嚥下障害の患者が食事をする際の適切な姿勢や食べ方の指導、誤嚥を防ぐための環境整備について

加齢や脳血管障害、パーキンソン病などの神経変性疾患によって、食べ物や飲み物を飲み込む一連の動作に障害が出る状態を嚥下障害といいます。嚥下障害の患者にとって、その家族によるケアは大切になります。今回の記事では、嚥下障害の患者の家族にとって有用な情報として、誤嚥の予防や対策、食事の工夫などについて解説します。

家族と一緒に行う嚥下体操の重要性

家族と一緒に行う嚥下体操の重要性
嚥下障害を持つ患者にとって、家族のサポートは非常に重要です。
家族と一緒に行う嚥下体操は、患者の嚥下機能の改善に役立ちます
体操を通じて、喉の筋肉を鍛えることで、食べ物や飲み物を食道にスムーズに送ることができるようになります。
家族が一緒に参加することで、患者はモチベーションを保ちやすくなり、安全に体操を実施できます。

嚥下訓練には、実際に食事をする前に、食べ物を使わず行う基礎訓練があります。
食べるために必要となる筋肉を使ったり、刺激を加えたりすることで、口や喉の筋肉の運動や感覚機能を促します。
そして実際に食べることでの誤嚥リスクを予防し、安全に食を楽しむことを目的としています。

嚥下体操の具体的な内容

嚥下体操の具体的な内容
実際には、まずは口腔ケアを行います。
これは、口の中を清潔に保ち、誤嚥性肺炎を予防することにつながります。
そして、嚥下体操は簡単に述べると以下のように行なっていきます。
参考にしてみてください。

  • お腹を使って深呼吸する
  • 首を回す
  • 肩を上げ下げし、両手を挙げ背伸びする
  • 頬を膨らませたりすぼませたりする
  • 舌で左右の口角に触る
  • 息が喉に当たるように強く吸って止めて、三つ数えて吐く
  • 「パパパ、ラララ、カカカカ」とゆっくり言う
  • 深呼吸を数回繰り返す

家族が行う誤嚥時の対応と予防策

誤嚥、つまり空気の通り道である気管(きかん)や気管支(きかんし)に食物が入ってしまうことは、は嚥下障害がある患者にとっては深刻な問題となります。
そのため、家族は誤嚥時の正しい対応方法や予防策を知っておく必要があります。
予防策として、まずは見守ることが大切です。
例えば「むせる」「飲みにくい」「咳」「嘔吐」などの誤嚥のサインを見逃さないようにしましょう。

そして、患者が誤嚥して咳き込んだ場合、以下のような救急処置があります。

  • 背部叩打法:上半身を横か下に向け、背中を叩く
  • ハイムリッヒ法:上腹部を斜めに押し上げます。液体の誤嚥の場合には、患者を仰向けにさせた状態で行いましょう。

食事時の姿勢と摂取方法の指導

食事時の姿勢と摂取方法の指導
食事時の姿勢も、嚥下障害の患者にとって非常に重要です。
適切な姿勢を取ることで、食べ物がスムーズに喉を通りやすくなります。
家族は患者が背筋を伸ばし、少し前傾姿勢を取るように指導することが大切です。
また、摂取方法に関しても、ゆっくりと時間をかけて食べることや、食べる前に口の中で十分に食べ物を噛むことを促すことが重要です。

嚥下機能が低下した患者のための食事の工夫

嚥下機能が低下した患者のために、食事の工夫が必要です。
柔らかくて滑らかな食材を選ぶことがポイントです。
例えば、プリンやゼリー、スープなどの食品は飲み込みやすく、栄養も摂取しやすいです。
また、食材をミキサーで細かくすることで、嚥下しやすい状態にすることも有効です。

温度も大切です。
お湯やお茶についても、熱すぎるものは避けましょう。
体温±15~20℃の温度のものが食べやすいでしょう。
逆に、窒息しやすいものとしては、パンや餅、こんにゃく、カステラなどがあります。
これらは避けた方が無難です。

まとめ

嚥下障害の患者にとって、家族のサポートは非常に重要です。
嚥下体操の実施、誤嚥時の対応、食事時の姿勢や摂取方法の指導、そして食事の工夫は、患者の生活の質を向上させるために役立ちます。
家族がこれらの点に注意してサポートすることで、患者の嚥下障害の管理と改善に大きく貢献できます。

嚥下障害の原因は、加齢の他に脳梗塞などの脳血管障害やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの変性疾患があります。
脳血管障害などの神経障害による嚥下障害に対して、再生医療とリハビリテーションがその改善に役立つ可能性があります。
当院では、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』を、リニューロ®と定義しました。
このリニューロ®は、同時刺激×神経再生医療、骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリにて『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』です。
幹細胞点滴をしながらリハビリをすることで、嚥下障害の改善にも効果が期待できるでしょう。
嚥下障害に対する再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。

よくあるご質問

高齢者の嚥下機能低下の対策は?
なるべく積極的に体を動かすようにし、全身の筋力を維持しましょう。そして、舌を前後左右に動かし、口をすぼめて深呼吸をするなどの「嚥下体操」を行いましょう。

嚥下機能が低下した人が食べやすい食事は?
水分が多い形状の物が良いでしょう。ペーストやゼリー、とろみ付けをします。温度は熱すぎないようにし、体温±15~20℃の物が良いです。逆に、パンや餅、こんにゃく、カステラや窒息しやすいので避けた方が無難です。

<参照元>
嚥下障害のリハビリテーション(基礎訓練) | 健康長寿ネット:https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rehabilitation/enge-kiso.html
家庭での誤嚥・誤飲を防ぐために | 社団法人 全国老人保険施設協会:https://www.roken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2012/07/goin_pamph.pdf
嚥下障害-意外と知らない | 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会:https://www.jibika.or.jp/owned/contents6.html

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