<この記事を読んでわかること>
・高血圧が脳出血に及ぼす影響
・動脈瘤や血管奇形が引き起こす脳出血のメカニズム
・加齢や生活習慣が脳血管に与えるダメージ
高血圧が最も重要な要因です。
高血圧は血管壁に過剰な圧力をかけ、脆くなった血管が破裂する危険性を高めます。
また、喫煙や過度の飲酒は、動脈硬化を促進し、リスクを増大させます。
さらに、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病、肥満、不適切な食生活、運動不足も関連します。
予防には生活習慣の改善が欠かせません。
(参照サイト:高血圧治療ガイドライン2019 | 日本高血圧学会)
高血圧が脳出血に及ぼす影響
この記事では高血圧が脳出血に及ぼす影響について解説します。
高血圧は脳出血の最も重要な危険因子であり、血管に大きな負担をかけます。
血圧が高い状態が継続すると、血管の内側にある内皮細胞が傷つき、動脈硬化が進行します。
特に、脳の細い動脈は高い血圧に耐えようとして血管壁が厚く硬くなり、柔軟性を失います。
その結果、血管が狭くなり血流が滞るほか、圧力に耐えきれず破裂するリスクが高まります。
さらに、高血圧は微小動脈瘤をできやすくします。
中でも、脆くなった動脈瘤は破裂しやすく、脳出血の原因となります。
特に、被殻という部位では脳出血が発生しやすいことが知られています。
また、高血圧は血液脳関門の機能異常を起こすことがあります。
血液脳関門とは、脳の血管と神経組織の間にあるバリアで、脳を有害な物質から守る役割を担っています。
しかしながら、高血圧の影響でこのバリアがうまく機能しなくなると、血管の収縮や拡張の調節が難しくなり、急激な血圧変動に耐えられなくなることがあります。
特に、適切な降圧治療が行われていない場合、血圧の急上昇によって血管が破裂し、脳出血を起こす可能性がさらに高まります。
(参照サイト:脳卒中治療ガイドライン20121 | 日本脳卒中学会)
動脈瘤や血管奇形が引き起こす脳出血のメカニズム
この記事では、動脈瘤や血管奇形が引き起こす脳出血のメカニズムについて解説します。
動脈瘤は血管の一部が膨らんだ状態で、特に動脈の分岐部にできやすく、血管壁が薄いため破裂しやすいのが特徴です。
破裂すると多くの場合くも膜下出血を引き起こします。
また、小さな動脈瘤でも変性が進むと微小出血を繰り返し、最終的には大きな脳出血に繋がる可能性があります。
(参照サイト:脳動脈瘤 | 国立循環器病研究センター)
一方、血管奇形には動静脈奇形(AVM)やもやもや病が含まれます。
AVMは動脈と静脈が毛細血管を介さず直接つながり、血流が速く圧力がかかりやすいため、血管が破綻しやすい構造です。
また、AVMの血管はもともと脆いので、出血のリスクをさらに高める特徴があります。
もやもや病では脳の主要な動脈が狭窄し、それを補う異常な血管網が形成されますが、これらの血管は非常に脆く、破れやすいので、脳出血の原因となります。
これらの異常による脳出血は突然起こり重篤化することが多いため、早期診断と早期治療が重要です。
特に家族歴や遺伝的要因がある場合、定期的な検査を受けることで、脳出血の発症リスクを低減することができます。
加齢や生活習慣が脳血管に与えるダメージ
この記事では加齢や生活習慣が脳血管に与えるダメージについて解説します。
加齢や生活習慣は脳血管に大きなダメージを与え、脳出血のリスクを高めます。
血管は、加齢によって弾力性を失い、硬くなるため、血圧が上がりやすくなります。
さらに、血管壁に脂質やカルシウムが沈着して動脈硬化が進むと、血管が狭くなり、血流が滞りやすくなります。
これらの状態は、血管が破れたり詰まったりする原因になります。
生活習慣も脳出血のリスクに影響します。
塩分や脂肪の多い食事は、高血圧や動脈硬化を悪化させ、喫煙は血管の内側を傷つけて炎症を起こします。
過度の飲酒は血圧を急激に上げ、血管への負担を増やします。
また、運動不足は血流を悪くし、血管を弱くする原因となります。
さらに、過剰なストレスは、交感神経を活性化し、血圧を上げるとともに、血管を収縮させるため、血流が悪化します。
(参照サイト:動脈硬化 | 厚生労働省 e-ヘルスネット)
これらの要因が複合的に影響し、脳出血の発症リスクを高めます。
したがって、規則正しい生活習慣や適度な運動、バランスの取れた食事、ストレス管理が脳血管の健康を保つために重要です。
まとめ
今回の記事では、脳出血の発症リスクを高める主要な原因について解説しました。
脳出血は、血管が破裂することにより、神経組織を傷める疾患です。
傷んだ神経組織を再生する決め手となる治療は無いのが現状です。
そのため、新たな治療法として、再生医療に期待が持てます。
『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義しました。
ニューロテック、脳梗塞脊髄損傷クリニックなどでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
リニューロ®とは、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『狙った脳・脊髄の治る力を高める治療』と定義しております。
具体的には、同時刺激×神経再生医療Ⓡに加えて、治療効果を高めるために骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリ®を併用し、神経障害の更なる軽減を目指しています。
これらの治療法は、脳出血で苦しむ患者さんに対して期待が持てる治療となるでしょう。
よくあるご質問
- 脳出血の主な原因は何ですか?
- 主な原因は高血圧です。
長期間にわたり血圧が高い状態が続くとリスクが大幅に増加します。
また、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病は動脈硬化を促進し、血管を脆くするため、重要な原因となります。 - 脳出血のリスク因子には何がありますか?
- 喫煙や過度の飲酒は動脈硬化を促進し、重要なリスク因子です。
特に、長期間続くことで血管に負担をかけ、脆弱化を進めます。
また、肥満や不適切な食生活、運動不足は生活習慣病を引き起こし、脳出血のリスクを高めるため注意が必要です。
(1)高血圧治療ガイドライン2019 | 日本高血圧学会:https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf
(2)脳卒中治療ガイドライン20121 | 日本脳卒中学会:https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf
(3)脳動脈瘤 | 国立循環器病研究センター:https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/cerebralaneurysm/
(4)動脈硬化 | 厚生労働省 e-ヘルスネット:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-082.html
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