・くも膜下出血の原因がわかる
・くも膜下出血の病態がわかる
・くも膜下出血の予防法がわかる
くも膜下出血とは、脳を栄養する血管に脳動脈瘤が形成され、それが破綻することでくも膜下に大量に出血をきたす疾患です。
脳が血液に一気に圧迫されることで、さまざまな神経障害をきたし、多くの方が命を落とす病気です。
この記事では、くも膜下出血を未然に防ぐための生活習慣と予防策について詳しく解説します。
高血圧やストレスをコントロールする重要性
脳は頭蓋骨内部に存在し、さらに外側から硬膜・くも膜・軟膜という3つの膜に包まれて守られています。
このうち、脳の血管が破綻してくも膜と軟膜の間で出血する病気をくも膜下出血といい、動脈が破綻している場合は急速な出血による脳の圧迫で生命が脅かされる病気です。
くも膜下出血の原因の多くは交通事故や転倒に伴う外傷性ですが、外傷以外の原因で言うと脳動脈瘤の破裂が多いです。
脳を栄養する動脈の一部が菲薄化し、コブ状の瘤を形成した状態を脳動脈瘤といい、通常の血管よりも脆弱な組織であるため、血圧の変動などによって破裂してしまいます。
ほとんどのくも膜下出血は先天性の脳動脈瘤の破裂によって生じますが、中には長期的な高血圧によって動脈壁が菲薄化して動脈瘤が形成されることもあります。
主な後天的原因は下記の通りです。
- 高血圧
- 喫煙
- 大量飲酒
- 血流の乱れなどによる血管壁へのストレス
脳動脈瘤は、病理学的に中膜筋細胞の欠損、内弾性板の退行性変化や断裂などを認め、脆弱であるところに高血圧や血流の乱れが加わることで、動脈瘤が形成されると考えられています。
また、長期的な高血圧や喫煙は動脈硬化を招き、脳に血液を送るパイプである頸動脈に動脈硬化が起こることで脳血管に乱流が生じ、動脈瘤が形成されると考えられています。
以上の理由からも、後天的な動脈瘤の形成を予防するためには、規則正しい食習慣や運動習慣、禁煙などが大切です。
動脈瘤を未然に防ぐための定期検診の必要性
先述したように、動脈瘤の形成はほとんどが先天性であり、知らず知らずのうちに頭の中で膨れ上がっている可能性があります。
もし仮に、頭の中に脳動脈瘤があることを知らずに生活している場合、突如破裂し、若くして命を落とす危険性もあるため、注意が必要です。
では、先天性に形成された脳動脈瘤はどのように管理すべきなのでしょうか?
答えは、定期的に検診を受診することです。
脳動脈瘤は大きくなると動眼神経を圧迫し、複視などの視野症状が出現することもありますが、基本的には無症状で経過します。
無症状であるからこそ自覚するのは困難であり、成人の2〜6%で発見されると言われていますが、そのほとんどは検診での頭部MRI検査や頭部CT検査で偶発的に発見されます。
脳動脈瘤はどの年代でも破裂する可能性があるため、若いからといって油断せず、20〜30代の方でも気になる方は検診を受診すると良いでしょう。
健康的な生活習慣がくも膜下出血のリスクを減らす理由
先述したように、脳動脈瘤はほとんどの場合は先天性に形成されますが、中には生活習慣の乱れによって動脈硬化が進展したり、血管壁にストレスがかかって後天的に形成される人もいます。
そのため、健康的な生活習慣を送ることがくも膜下出血のリスク低下にもつながるわけです。
特に注意すべきは、高血圧・飲酒・喫煙の3つあり、これらが複合的に関与した場合、くも膜下出血発症リスクは相乗的に増加することが報告されています。
例えば、過去の日本の研究では喫煙と大量飲酒、もしくは喫煙と高血圧が組み合わさることで、くも膜下出血の発症リスクが6倍跳ね上がると報告されています。
一度発症すれば、約35%もの人が病院に到着する前に死亡すると言われるほど危険な病気であるため、ぜひこれを機に生活習慣を見直してみると良いでしょう。
まとめ
今回の記事では、くも膜下出血を未然に防ぐための生活習慣と予防策について詳しく解説しました。
高血圧や喫煙・飲酒などの乱れた生活習慣によって脳の動脈にはストレスが加わり、その結果、動脈壁の脆弱な脳動脈瘤が形成されてしまいます。
破裂すれば高い確率で死亡する可能性があり、脳動脈瘤の拡大は未然に防ぐべきであるため、生活習慣の見直しと定期的な検診受診が重要です。
発症して命が助かったとしても、重篤な後遺症を残す可能性も少なくなく、現状その後遺症を根治する術はないため、やはり生活習慣の見直しと定期的に検診を受診しましょう。
一方で、仮にくも膜下出血を発症し、後遺症が残ったとしても、近年では重篤な神経学的後遺症に対する再生医療の効果が大変注目されています。
また、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善の困難であったくも膜下出血の後遺症の改善が期待できます。
よくあるご質問
- くも膜下出血を予防する方法は?
- くも膜下出血を予防する方法は、脳動脈瘤を早期に発見して未然に手術することと、生活習慣の乱れを是正することです。
多くの方は検診などで偶発的に脳動脈瘤が発見されるため、定期的な検診受診が重要です。 - くも膜下出血になる生活習慣は?
- くも膜下出血になる生活習慣は、塩分の多い食事摂取、過剰な飲酒や喫煙です。
これらの生活習慣によって血管壁にストレスが加わり、脳動脈瘤が形成されることでくも膜下出血が生じるため、生活習慣には注意が必要です。
<参照元>
MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/
J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh1946/53/4/53_4_587/_pdf
厚生労働省:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html
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