<この記事を読んでわかること>
高血圧をコントロールするための食事と栄養素がわかる。
運動習慣が脳出血リスクに与える良い効果がわかる。
日々のストレス管理で高血圧を予防する方法がわかる。
脳出血は、脳の血管が高血圧などが原因となり破れてしまうことで脳内に出血を起こしてしまう病気のことです。
脳出血の予防のためには、高血圧の予防や血圧コントロールが重要となります。
今回の記事では、血圧コントロールに効果的な食事や栄養素、さらにストレスと上手に付き合っていく方法についても解説します。
高血圧をコントロールするための食事と栄養素
高血圧は、血圧、つまり心臓から全身へ送り出される血液が血管の壁を押す圧力が異常に高くなってしまう病気のことです。
収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)によって定義されています。
収縮期血圧は、心臓によって血液が身体へ送り出される際の値で、最も高い血圧となります。
一方、拡張期血圧は、身体から戻ってきた血液が心臓に集まり、心臓が広がっているときの値で、最も低い値となります。
高血圧は、収縮期血圧/拡張期血圧が140/90mmHg以上の場合と定義されています。
高血圧はそれ自体で症状が出ることは少ないのですが、放置しておくと動脈硬化が進み、脳卒中や心臓病、腎臓病などの病気につながるリスクが高まります。
そのため、健康診断や人間ドックなどで血圧の異常を指摘された場合には、放置せずに生活習慣改善や場合によっては医師の診察を受けることが大切です。
さて、血圧をコントロールするためには、食事や運動などの生活習慣改善が重要です。
食事面では、まず塩分控えめにすることが大切です。
目標となる基準は、1日6g未満です。
また、理想的な食事パターンとしては、野菜・果物、魚などに多く含まれる多価不飽和脂肪酸を積極的に摂取することが勧められます。
果物や野菜には、カリウムが豊富に含まれています。
カリウムはナトリウムを尿の中に出し、血液中のナトリウム濃度を下げる働きがあります。
ただし、肥満の方や糖尿病の方は果物は摂りすぎないように注意が必要です。
また、腎機能に障害がある方は、野菜や果物の摂取については医師との相談を要する場合があります。
加えて、マグネシウムやカルシウムも適量摂ることで血圧を下げる働きがあるとされています。
こうしたミネラルは、日本人は不足気味となります。
カルシウムを摂るためには、低脂肪な乳製品、マグネシウムを摂るためには、胚芽米や胚芽パンなど、精製されていない穀物を積極的に摂るようにしましょう。
運動習慣が脳出血リスクに与えるプラス効果
脳出血の原因の多くは高血圧です。
その他の原因として、脳動静脈奇形などもあります。
運動習慣によって高血圧を予防、あるいは改善することで、脳出血のリスクを低減できる効果が期待できます。
実際に、心筋梗塞や脳卒中などの心血管障害のリスクとレジスタンス運動の関係を調べた研究があります。
この研究では、週1回、1時間未満のレジスタンス運動であっても、心血管障害や全ての原因での死亡率を低下させるという結果でした。
なお、レジスタンス運動とは筋肉に一定の抵抗を加えながら行う運動のことです。
フリーウエイトまたはウエイトトレーニングマシンを利用した運動などがあります。
簡単にいうと筋トレのことです。
この報告では、運動がBMI(body mass index:体格指数)を適切に保つ効果があり、それが心血管障害のリスクを下げるのではないかと述べています。
脳出血を含めた脳卒中を予防するためには、運動習慣が大切であることが示された報告の一つです。
日々のストレス管理で高血圧を予防する方法
ストレス管理も、高血圧を予防する上で重要です。
ストレスが大きくなると、心や身体に良くない変化を与えてしまうことが知られています。
例えば、心理的な面では抑うつ症状、意欲の低下、イライラ、緊張、不安などが現れます。
身体的にも、高血圧をはじめ、胃・十二指腸潰瘍、糖尿病、首や肩こり、動悸、息切れ、食欲不振、不眠、肥満といった変化をもたらしてしまいます。
さらに行動面でも、作業効率の低下やアルコール依存、過食、拒食などの変化を与えてしまうのです。
もちろん、適度なストレスは良い意味での緊張を与えてくれる良い効果をもたらしてくれます。
そのため、ストレスと上手に付き合っていくことが大切です。
ポイントとしては、リラクセーション法を身につけることがまずあります。
例えば、ストレッチで筋肉をゆっくりと伸ばすことは、場所も取らず仕事の合間にできる方法の一つです。
その他、規則正しい生活を送る、仲の良い人たちと交流する時間を過ごす、思い切り笑う、仕事に関係のない趣味を持つという方法もあります。
もちろん、困った時には医療機関や相談機関の専門家に助けを求めることもためらわないようにしましょう。
まとめ
今回の記事では、脳出血を予防するための高血圧対策と健康習慣として、高血圧を予防したり改善するために大切な食事と栄養素について解説しました。
また、運動習慣が脳出血リスクに与える良い効果についても、実際の研究データを示しました。
さらに、日々のストレス管理にとって役立つ方法について説明しました。
高血圧を予防し、脳出血を含めた脳血管障害のリスクを減らしていきたいものですね。
しかし、予防をしていても、脳出血が起こってしまうことはあります。
ひとたび脳出血を発症してしまった場合、命は助かったものの、手足の麻痺や言語障害などが残ってしまうケースもみられます。
機能改善のためにはリハビリテーションが要となりますが、ニューロテックメディカルや脳梗塞脊髄損傷クリニックなどでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
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よくあるご質問
- 脳出血を予防するにはどうしたらいいですか?
- 高血圧をコントロールすることが最も重要です。
減塩を心がけ、適度な運動や禁煙、過度な飲酒を控えることで脳出血のリスクを下げられます。 - 血管に良くない食べ物は?
- 飽和脂肪酸を多く含む揚げ物や加工肉、塩分の多いスナック菓子などは血管に負担をかけます。
これらの摂取を控え、バランスの良い食事を意識しましょう。
(1)一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子:https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019_gen.pdf
(2)高血圧症の食事療法 – 順天順大学医学部附属順天堂医院 栄養部:https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/support/eiyo/method/syokuji03.html
(3)脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕:https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf
(4)Liu Y, Lee DC, Li Y, Zhu W, Zhang R, Sui X, Lavie CJ, Blair SN. Associations of Resistance Exercise with Cardiovascular Disease Morbidity and Mortality. Med Sci Sports Exerc. 2019 Mar;51(3):499-508. doi: 10.1249/MSS.0000000000001822. PMID: 30376511; PMCID: PMC7385554.:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7385554/
(4)派遣労働者のためのこころの健康気づきのヒント集 厚生労働省 中央労働災害防止協会:https://kokoro.mhlw.go.jp/brochure/worker/files/H22_haken_kokoro_hint.pdf
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高血圧は脳出血の主な原因の一つです。血圧が長期間高い状態が続くと、脳の細い血管がもろくなります。そこに、急激な血圧上昇が加わると、血管が破れて脳出血が起こります。特に、視床、被殻、橋、小脳などで起こりやすいのが特徴です。初期症状として、片側の手足の麻痺、言語障害、めまい、嘔吐、頭痛などがあります。
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