点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脊髄損傷

 自己免疫疾患を発症する視神経脊髄炎とは

<この記事を読んでわかること>

視神経脊髄炎がどのような病気かわかる。
視神経脊髄炎が自己免疫疾患であることがわかる。
視神経脊髄炎に対する治療法がわかる。


視神経脊髄炎は、中枢神経系に影響を与える自己免疫疾患の一種です。この病気は、特に視神経と脊髄に炎症を引き起こし、重篤な視力障害や身体の麻痺を引き起こすことがあります。この記事では、NMOSDの基本的な特徴、自己免疫反応の役割、発症メカニズム、一般的な症状と治療方法について解説します。

視神経脊髄炎(NMOSD)の基本的な特徴

視神経脊髄炎(NMOSD)の基本的な特徴
視神経脊髄炎(NMOSD: Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder)は、中枢神経系を攻撃する自己免疫疾患であり、特に視神経と脊髄に影響を及ぼします。
この疾患は、視力障害、四肢の麻痺、感覚障害、膀胱や腸の機能障害など、様々な重篤な症状を引き起こすことがあります。
NMOSDは、日本では約6,500人の患者がいるとされ、人口10万人あたり5人程度と推定されています。
NMOSDは、高齢の方にも発症することがあります。
また、女性の割合がとても高いことが特徴です。
以下に、NMOSDの基本的な特徴についてより詳しく解説していきます。

主な症状

視神経炎

視神経の炎症により、片目または両目の急激な視力低下、視野欠損、眼球運動に痛みを伴うことがあります。

脊髄炎

脊髄の炎症は、四肢の麻痺、感覚障害、膀胱や腸の機能障害を引き起こす可能性があります。

脳症状

一部の患者では、脳に影響が及び、嘔吐、めまい、視覚障害などの症状が現れることがあります。

診断

NMOSDの診断は、臨床症状、MRIの結果、およびアクアポリン4(AQP4)-IgG抗体の血液検査に基づいて行われます。
AQP4-IgGの存在は、NMOSDの診断において重要な指標となります。
また、NMOSDによる脊髄炎の急性期には、MRIで3椎体以上に及ぶ長い病変が脊髄に出現しやすいことが知られています。

治療

NMOSDの治療は、症状の管理と再発の予防を目的として行われます。
急性期の治療には、高用量のステロイド療法や 血液浄化療法が用いられます。
長期的な免疫抑制療法も、再発予防のために重要です。
最近では、B細胞を標的とした治療薬もNMOSDの治療において有効であることが示されています。
NMOSDは重篤な症状を引き起こす可能性がある疾患であるため、早期診断と適切な治療が重要です。

自己免疫反応の役割

自己免疫反応は、人の免疫系が自身の健康な細胞や組織に対して反応し、攻撃する現象です。
この過程が原因で発生する病気を自己免疫疾患と呼びます。
自己免疫疾患は、NMOSDの他にも、1型糖尿病や関節リウマチなどがあります。

NMOSDの特徴的な自己免疫の役割は、特定の自己抗体、主に水チャネル蛋白であるアクアポリン4 (AQP4) に対する抗体の存在に関連しています。
AQP4は中枢神経系の星状膠細胞(せいじょうこうさいぼう)に豊富に存在し、この抗体の結合が炎症と神経損傷を引き起こします。

自己免疫の役割

NMOSDにおける自己免疫の反応は、AQP4-IgG抗体がAQP4に結合することで始まります。
これにより補体系が活性化し、炎症反応が促進され、結果的に視神経と脊髄の神経組織が損傷します。
炎症反応が生じると、浮腫、好中球およびマクロファージの浸潤、およびオリゴデンドロサイトが死ぬ、といったことが起こります。
これが視力喪失や身体の麻痺などのNMOSDの臨床症状につながります。

発症するメカニズムと症状の進行

視神経脊髄炎(Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder, NMOSD)の発症メカニズムと症状の進行については、中枢神経系に対する自己免疫反応に深く関係しています。
以下に、そのメカニズムと症状の進行について詳細を説明します。

発症メカニズム

1.自己抗体の生成

NMOSDの多くの症例で、アクアポリン4 (AQP4) という水チャネル蛋白質に対する自己抗体(AQP4-IgG)が生成されます。
AQP4は主に中枢神経系の星状膠細胞の膜上に存在します。

2.炎症の誘導

AQP4-IgGがAQP4に結合すると、補体系が活性化され、炎症性細胞が誘引されます。
これにより、神経組織における広範囲の炎症が生じます。

3.神経損傷

炎症により、視神経や脊髄の神経細胞が損傷し、これがNMOSDの症状を引き起こします。
特に、神経線維の髄鞘が破壊され、神経信号の伝達が阻害されます。

症状の特徴

NMOSDの症状は発作的に現れ、時には生活に大きな影響を及ぼします。
症状は完全には回復しないことが多く、再発を繰り返すことで次第に悪化することがあります。
炎症の範囲と程度によって、症状の重さは個人差があります。
NMOSDの診断と治療は、症状の進行を抑え、患者の生活の質を改善することを目的としています。
早期診断と適切な治療により、症状の進行を遅らせることが可能です。
NMOSDの再発予防に対して、現時点で認可されている治療薬には、エクリズマブ、サトラリズマブ、イネビリズマブという薬があります。

まとめ

今回の記事では、視神経脊髄炎の病態や特徴について解説しました。
視神経脊髄炎は、AQP4に対する抗体が体内で正常な組織を誤って攻撃し、炎症を引き起こすため、自己免疫疾患に分類されます。
攻撃された神経細胞の修復は難しいとされています。

しかしながら、当院脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義しました。
さらに、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『脳の治る力を高める治療』を、リニューロ®と定義しました。
リニューロ®は、同時刺激×神経再生医療、骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリにて『脳の治る力を高める治療』です。
神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「神経再生医療×同時リハビリ™」によって、今まで改善の難しかった視神経炎や脊髄炎に伴う症状の改善が期待されています。

よくあるご質問

視神経脊髄炎は自己免疫疾患ですか?
視神経脊髄炎は自己免疫疾患の一つです。この病気は、中枢神経系の特定の部分、特に視神経と脊髄に炎症を引き起こします。以前は多発性硬化症(MS)の一種と考えられていましたが、現在では特定の抗体(特にアクアポリン4に対する抗体)の存在により、別の疾患として認識されています。

視神経脊髄炎は完治しますか?
視神経脊髄炎は現在のところ、完治する病気ではありません。治療は症状管理と再発予防に焦点を当て、免疫系の活動を抑制するものです。新しい治療法が開発されつつありますが、病気の完治を保証するものではなく、生活の質の向上を目指しています。
<参照元>
多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)| 難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/3806
A serum autoantibody marker of neuromyelitis optica: distinction from multiple sclerosis.| Lancet. 2004;364(9451):2106-2112.:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15589308/
The history of neuromyelitis optica.| Journal of Neuroinflammation. 2013;10:8.:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23320783/
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