点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

リハビリ・その他

 幹細胞の種類とそれぞれの特徴と役割

<この記事を読んでわかること>

幹細胞の種類がわかる
それぞれの幹細胞の特徴や特性がわかる
それぞれの幹細胞治療の現状がわかる


再生治療に使われる幹細胞にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なるため、治療で求められる役割も異なります。
特に、臨床で応用されている幹細胞は、造血幹細胞・間葉系幹細胞・神経幹細胞などです。
そこで、この記事では幹細胞の種類とそれぞれの特徴・役割、さらには現状の課題などについて詳しく解説します。

造血幹細胞の役割と用途

造血幹細胞の役割と用途
いわゆる幹細胞と呼ばれる細胞は、他系統のどんな細胞にも分化できて、自己複製能によって大量増殖可能で、損傷した組織の細胞を再生できる細胞です。
しかし、これは実際には幹細胞の中でも全能性幹細胞だけであり、人体における全能性幹細胞とは受精卵だけです。
受精卵は、始まりはたった1つの細胞であるにも関わらず、分化と増殖を繰り返し、神経や血液・骨・消化管などのさまざまな臓器を形成できます。
一方で、この分化の過程で「組織幹細胞」と呼ばれる幹細胞も存在します。
組織幹細胞とは、全能性幹細胞ほどの分化能はなく、決まったいくつかの臓器や組織にしか分化できないものの、分化し終えた細胞よりは分化能が高い細胞です。
組織幹細胞には以下のようなものが挙げられます。

  • 造血幹細胞:赤血球や白血球、血小板に分化する幹細胞
  • 神経幹細胞:ニューロン・アストロンなどの神経細胞に分化する幹細胞
  • 間葉系幹細胞:骨や脂肪組織の細胞に分化する幹細胞

例えば、血液中に存在する赤血球や白血球、血小板はそれぞれ寿命があり、消えた細胞の代わりを造血幹細胞が分化して新しく作り続けています。
逆に、造血幹細胞から分化し切った赤血球や白血球、血小板は分化能に乏しく、これ以上他の細胞に分化することはありません。
この造血幹細胞は、下記のようなさまざまな用途で治療に応用されています。

  • 強力な抗がん剤への耐性獲得
  • 血液疾患への骨髄機能の回復
  • 抗腫瘍効果

抗がん剤や白血病などの血液疾患によって正常な骨髄機能が抑制されてしまうため、それを補うために造血幹細胞を移植します。
また、他者の造血幹細胞を移植すると、その中に含まれるリンパ球などが体内のがん細胞を異物と認識して攻撃してくれるため、抗腫瘍効果も期待できるわけです。

間葉系幹細胞の特性と治療応用

では、他の組織幹細胞である間葉系幹細胞とはどのような細胞なのでしょうか?
先述したように、間葉系幹細胞とは骨や脂肪組織から採取可能な組織幹細胞であり、下記のような特性を持ちます。

  • 自身の身体から簡単に採取可能
  • 神経細胞への分化が可能
  • 血管への分化が可能

間葉系幹細胞は自身の脂肪組織や骨から比較的簡単に採取できるため、治療に使いやすいというメリットがあります。
さらに、血管に分化可能であり、血管新生することで損傷した臓器への血流を増やし、組織修復の促進が可能です。
また、完全に別の系統である神経細胞への分化も可能とされ、これまで難治性であった神経疾患への新たな治療法としても注目されています。
実際に、2018年の12月には骨髄由来の間葉系幹細胞を用いたステミラック注という治療薬が、脊髄損傷治療として臨床使用可能となりました。

神経幹細胞の特性と研究の現状

神経幹細胞とは、その名の通り神経系のさまざまな細胞に分化できる組織幹細胞であり、理論上は神経幹細胞を用いれば、これまで治療の困難であったさまざまな神経疾患が改善する可能性があります。
しかし、複雑な神経系ネットワークの再構築のためには下記のようなさまざまな課題もあります。

  • 理想的な神経幹細胞の開発
  • 神経幹細胞の発がん性

そもそも、神経幹細胞は成人脳において非常に数が少ないとされ、採取するのは困難です。
そこで、これまでES細胞やiPS細胞といった代用可能な幹細胞の開発が進んできましたが、それぞれ医療倫理・開発コストの面で課題を抱えており、まだまだ臨床応用に時間がかかっています。
また、再生能力の高い神経幹細胞はその分発がんリスクも抱えており、その点も臨床応用が進まない要因の1つです。
一方で、近年では成人脳からの神経幹細胞の分離や培養技術も徐々に向上しており、臨床応用に一歩ずつ歩みを進めているのが現状です。

まとめ

今回の記事では、 幹細胞の種類とそれぞれの特徴や役割ついて詳しく解説しました。
再生医療では、ある程度分化能を持つ組織幹細胞を用いることが多く、実臨床では造血幹細胞や間葉系幹細胞、神経幹細胞などが用いられます。
それぞれ、分化できる対象は異なるため、治療の対象となる疾患も異なります。
特に、自己再生が困難である神経疾患においては、これらの幹細胞を用いた新たな治療が非常に注目されており、リハビリテーションと併用することで相乗効果が得られることもわかってきました。
また、脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善困難であった神経症状のさらなる改善が期待できます。

よくあるご質問

幹細胞には何種類ありますか?
幹細胞は大きく分けて、多能性幹細胞と組織幹細胞の2種類です。
多能性幹細胞とは受精卵のように、あらゆる系統の細胞に分化できる幹細胞です。
一方で、組織幹細胞は特定の臓器や組織にのみ分化可能な幹細胞です。

造血幹細胞と多能性幹細胞の違いは何ですか?
多能性幹細胞とは、身体のありとあらゆる系統の細胞に分化可能な幹細胞です。
一方で、多能性幹細胞より分化能が低い造血幹細胞は、血液を構成する赤血球や白血球、血小板などにしか分化できません。

<参照元>
日本造血・免疫細胞療法学会:https://www.jstct.or.jp/modules/patient/index.php?content_id=2
J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rsmp/8/2/8_103/_pdf/-char/ja
J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/14/8/14_8_8_24/_pdf/-char/ja

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