<この記事を読んでわかること>
脳梗塞で退院した後に優先して確認したいポイントがわかる。
退院後に利用できるリハビリサービスや支援制度の概要がわかる。
自主トレや家族との協力体制、受診時の相談事項を整理できる。
脳退院後は病院のように毎日リハビリを受ける環境ではなくなるため、「何から始めればよいのかわからない」と不安になる方も少なくありません。リハビリの継続方法や自宅での過ごし方、家族との役割分担など、考えることは意外と多くあります。この記事では、脳梗塞で退院した後に確認したい5つのポイントを解説します。
脳梗塞の退院後は何から始めればよい?
脳梗塞を含む脳卒中を発症した場合、治療を受ける急性期の段階、機能回復のためにリハビリテーションを受ける段階を踏んでいきます。
そして、最終的にはそれぞれの後遺症などに合わせた生活を再開します。
もちろん、脳梗塞の後遺症によって専門的なリハビリテーションが必要な場合には、急性期の治療を受けたあとに回復期リハビリテーション病院に転院するケースも多いです。
今回の記事では自宅へ退院する場合を考えていきます。
退院は、ゴールではなく回復へのスタートとなります。
退院後は病院とは異なる環境になりますので、まずは生活基盤を整えることが重要です。
① リハビリを続ける場所を確認する
退院後は病院で毎日リハビリを受けていたときとは環境が大きく変わります。
そのため、まずは「どこでリハビリを続けるのか」を確認することが大切です。
リハビリを継続する方法の一つに、病院やクリニックへ通いながら行う通院リハビリがあります。
定期的に理学療法士や作業療法士などの専門職による評価や指導を受けられるため、運動機能や日常生活動作の改善を目指したい方に向いています。
ただし、通院手段の確保が必要になるため、身体機能や家族のサポート状況も考慮する必要があります。
一方で、通院が難しい場合には訪問リハビリを利用できることがあります。
訪問リハビリでは理学療法士や作業療法士などが自宅を訪問し、実際の生活環境に合わせた訓練を行います。
自宅内の移動や階段の昇降、入浴動作など、生活に直結した課題について相談しやすい点が特徴です。
また、通所リハビリ(デイケア)という選択肢もあります。
介護老人保健施設や病院、診療所などに通いながらリハビリを受けるサービスで、送迎を利用できる場合もあります。
リハビリだけでなく、外出機会の確保や生活リズムの維持につながることも期待できます。
どのサービスが適しているかは、身体機能だけでなく生活環境や家族の支援体制によっても異なります。
例えば、自宅での動作に不安がある場合には訪問リハビリが役立つことがあります。
一方で、外出する機会を増やしたい場合や定期的な訓練を継続したい場合には、通院リハビリや通所リハビリが選択肢となるでしょう。
退院後のリハビリについて迷った場合には、主治医やリハビリスタッフ、病院の医療ソーシャルワーカーに相談してみましょう。
また、介護保険サービスを利用する場合にはケアマネジャーや地域包括支援センター(高齢者の介護や福祉、健康に関する相談窓口)も相談先になります。
退院直後は不安を感じることも少なくありませんが、一人で抱え込まずに相談しながら自分に合った支援体制を整えることが大切です。
介護保険サービスを利用するためには、市区町村の窓口や地域包括支援センターで要介護認定の申請を行う必要があります。
認定後はケアマネジャーが中心となってケアプランを作成し、訪問リハビリや通所リハビリなどのサービス利用を調整します。
退院前から病院の医療ソーシャルワーカーへ相談しておくと、手続きをスムーズに進めやすくなります。
② 自宅での過ごし方を見直す

退院後は病院とは異なる環境で生活することになります。
そのため、自宅で安全に過ごせるよう環境や生活習慣を見直すことも大切です。
まず注意したいのが転倒予防です。
脳梗塞後は筋力やバランス能力が低下していることがあり、わずかな段差や床に置かれた物につまずくことがあります。
通路に物を置かない、滑りやすいマットを避けるなど、自宅内の環境を整えることが重要です。
また、自宅内の移動が負担にならないよう、家の中でよく通る場所(生活動線)を確認しておくことも役立ちます。
普段よく使う物は取り出しやすい場所に置き、必要に応じて家具の配置を見直しましょう。
入浴やトイレは転倒が起こりやすい場面の一つです。
手すりの設置や滑り止めマットの活用などにより、安全性を高められる場合があります。
身体機能によっては住宅改修や福祉用具の導入が役立つこともあるため、リハビリスタッフや医療ソーシャルワーカーに相談してみましょう。
(参照サイト:脳卒中の治療と仕事の両立お役立ちノート | 厚生労働省)
退院直後は「早く元の生活に戻りたい」と無理をしてしまうこともあります。
しかし、疲労が蓄積すると体調を崩したり、リハビリの継続が難しくなったりすることがあります。
適度に休息を取りながら、少しずつ活動量を増やしていくことが大切です。
さらに、起床や食事、就寝の時間をできるだけ一定に保つことも重要です。
生活リズムを整えることで体調管理がしやすくなり、リハビリにも取り組みやすくなります。
焦らず、自分のペースで日常生活に慣れていきましょう。
③ 自主トレの内容と目安を確認する
退院後はリハビリの時間が減るため、自宅での自主トレーニング(自主トレ)が重要になります。
ただし、「たくさんやればよい」というものではなく、自分の身体機能や生活目標に合った内容を継続することが大切です。
例えば、歩行練習や立ち上がり動作、上肢(腕や手)の運動など、日常生活でよく使う動作を中心に取り組む方法があります。
また、運動だけでなく、家事や外出などの活動そのものがリハビリにつながることもあります。
一方で、疲労感が強く残る場合や痛みが出る場合には、運動量を見直した方がよいこともあります。
(連載第5回 在宅での訪問リハビリテーションにおける 中枢神経疾患に対する自主練習の考え方|J-STAGE)
自主トレの内容や回数について迷った場合には、リハビリスタッフに相談しながら調整しましょう。
④ 家族と話し合っておきたいこと
退院後の生活では、本人だけでなく家族の協力も重要になります。
そのため、どのような場面で支援が必要なのか、反対に自分でできることは何かを共有しておくと安心です。
また、家族が「手伝いすぎること」で活動量が減ってしまう場合もあります。
安全に配慮しながら、本人ができることは継続できるよう協力体制を整えることが大切です。
不安や困りごとを一人で抱え込まず、必要に応じて介護サービスや地域の支援制度を活用することも検討しましょう。
⑤ 次回受診までに整理しておきたいこと
退院後の生活では、新たな疑問や不安が出てくることも少なくありません。
そのため、気になったことはメモしておき、次回受診時に相談できるよう準備しておくとよいでしょう。
例えば、以下のようなものがあります。
運動量は適切か
今後どの程度の回復が見込めるか
仕事や運転はいつ頃再開できるか
これらはよくある相談内容です。
また、介護保険サービスや福祉制度について分からないことがあれば、主治医やリハビリスタッフ、医療ソーシャルワーカーに相談することも大切です。
疑問点を整理しておくことで、受診時の相談がスムーズになります。
まとめ
今回の記事では、脳梗塞の退院後に確認しておきたいポイントについて解説しました。
疑問点や不安があれば、主治医や医療ソーシャルワーカーなどに相談することで今後の見通しも立ちやすくなるでしょう。
ニューロテック
近年では、脳梗塞や脊髄損傷などによる神経障害に対して、回復の可能性を広げる取り組みとして「ニューロテック®」という考え方が注目されています。
ニューロテック®は、再生医療「リニューロ®」を軸に、骨髄由来間葉系幹細胞を用いた治療や神経再生リハビリ®などを組み合わせ、脳や脊髄の回復を支援することを目指すアプローチです。
脳梗塞の退院後は、リハビリの継続方法や自宅での過ごし方、家族の支援体制などを一つずつ整えていくことが大切です。回復への選択肢を広げるためにも、主治医やリハビリスタッフと相談しながら、一人ひとりの状態に合った支援を継続していきましょう。
よくあるご質問
- 脳梗塞で退院した後は、どれくらいで以前の生活に戻れますか?
- 回復のスピードには個人差があり、数週間で日常生活に復帰する方もいれば、数か月以上かけて機能改善を目指す方もいます。焦らず、主治医やリハビリスタッフと目標を共有しながら取り組むことが大切です。
- 退院後に介護保険サービスを利用したい場合は、どこに相談すればよいですか?
- 介護保険の利用を検討している場合は、地域包括支援センターや市区町村の窓口へ相談できます。要介護認定の申請や利用できるサービスについて説明を受けることができます。
(1)脳卒中に関する留意事項|厚生労働省:
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000198760.pdf
(2)訪問介護・予防専門型訪問サービス | 介護・障害情報提供システム・NAGOYAかいごネット:
https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/view/kaigo/service/jitaku/
(3)介護予防通所リハビリテーション|介護・障害情報提供システム・NAGOYAかいごネット:
https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/view/kaigo/service/visit/rehabilitation.html
(4)脳卒中の治療と仕事の両立お役立ちノート | 厚生労働省:
https://www.mhlw.go.jp/content/000750637.pdf
(5)連載第5回 在宅での訪問リハビリテーションにおける 中枢神経疾患に対する自主練習の考え方|J-STAGE:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/51/5/51_51-5kikaku_Sawada_Keisuke/_pdf/-char/ja
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