<この記事を読んでわかること>
脊髄損傷の退院後リハビリで、運動量を調整する目安がわかる。
自主トレで行われる運動例と注意症状が整理できる
通院リハビリや訪問リハビリで確認したいポイントが整理できる。
脊髄損傷後の退院後リハビリでは、どこまで運動してよいのかと悩む方も少なくありません。自主トレを頑張りたい一方で、疲労や痛み、痙縮の悪化が不安になることもあります。この記事では、退院後の一般的な運動量の目安、自宅で行われることが多い運動、無理をしすぎた際のサイン、リハビリスタッフに相談したいポイントなどについて解説します。
脊髄損傷後、退院後の運動はなぜ重要?
退院後は通院リハビリの回数が減り、自宅で過ごす時間が長くなる方も少なくありません。
そのため、「どこまで身体を動かしてよいのか」「頑張ったほうがよいのか、それとも休むべきなのか」と迷う場面も増えます。
脊髄損傷後の運動には、筋力や体力の維持だけでなく、関節拘縮(関節が固まり動きにくくなる状態)の予防や循環改善・日常生活動作の維持などさまざまな目的があります。
一方で、無理な運動は痛みや痙縮(筋肉のつっぱり)、転倒などにつながることもあるため、「やればやるほどよい」とは限りません。
脊髄損傷後の運動量はどれくらいが目安?
退院後の運動量は、損傷部位や麻痺の程度、体力、合併症の有無によって異なります。
特に、首のあたりの脊髄(頚髄)損傷では、身体の姿勢を保つ筋肉(体幹筋)が麻痺していることがあります。
そのため、身体の軸を保つのが難しくなる場合があります。
他人のSNSや動画をそのまま真似するのではなく、自分の状態に合った範囲で行うことが大切です。
まずは、「疲れを翌日に残しすぎない範囲」を一つの目安にするとよいでしょう。
例えば、以下のような症状が出る場合には注意が必要です。
- 翌日に強いだるさが残る
- 筋肉痛が長引く
- 痙縮が悪化する
- 痛みが増える
このようなときには、運動量が多すぎる可能性があります。
長時間まとめて行うより、10〜20分程度に分けた運動が向いている場合もあります。
脊髄損傷後は疲労が蓄積しやすいこともあるため、「毎日同じ量を必ずやる」よりも、体調に合わせて調整する視点も重要です。
自宅で行われることが多い運動の例

脊髄損傷後の自主トレでは、状態に応じてさまざまな運動が行われます。
例えば、関節が固くなる拘縮を防ぐために、手足をゆっくり動かす運動が取り入れられることがあります。
自分で動かせる範囲で行う場合もあれば、家族や介助者の補助を受けながら行う場合もあります。
また、座る姿勢や立位バランスを保つため以下のような運動を行う場合もあります。
- 座位保持
- 重心移動
- 立ち上がり練習
このような体幹トレーニングをすることによって、身体に残っている機能を活かしやすくなります。
そして、車椅子操作やベッドから車椅子への移動に必要な筋肉を鍛えることができます。
歩行可能な方では、歩行練習やエルゴメーター(自転車型運動機器)などの有酸素運動が取り入れられる場合もあります。
「ややきつい」「きつい」と感じる程度の強度の運動がトレーニングに適しています。
ただし、疲労感やフォームの崩れが強い状態で無理に続けると、転倒や関節への負担につながる可能性があります。
運動を中止・相談したほうがよいサイン
自主トレ中には、「頑張りすぎ」のサインに気づくことも重要です。
運動中や運動後に痛みやしびれが強くなる場合には、関節や神経への負担が大きすぎる可能性があります。
また、痙縮や筋肉のつっぱりが明らかに悪化する場合にも注意が必要です。
さらに、
- 発熱がある
- 褥瘡(床ずれ)ができている
- 強い疲労感が続く
- 転倒しそうになることが増えた
といった場合には、無理に運動を続けないことが勧められます。
特に感覚障害がある方では、赤みや傷、床ずれなどの皮膚トラブルに気づきにくいケースもあるため、日頃から皮膚の状態を確認することも大切です。
通院リハビリや訪問リハビリで確認したいポイント
退院後は、「自主練習をしてください」と言われても、具体的な線引きが分からず不安になる方もいます。
リハビリスタッフに以下のような点を確認しておくと安心につながります。
- 何分くらい行えばよいか
- 週にどれくらいが目安か
- 避けたほうがよい動作はあるか
- 動画やSNSの運動を試してよいか
- 痛みや痙縮が出た場合の対応
- 仕事復帰や家事動作で注意する点
また、リハビリは訓練の時間だけに行うものではありません。
移乗(ベッドから車椅子へ移る動作)、入浴、更衣、家事など、日常生活の動きをどう安全に行うかも重要なテーマになります。
まとめ
脊髄損傷の退院後リハビリでは、「無理をしすぎない範囲で継続すること」が重要です。
自主トレを頑張りたい気持ちがあっても、疲労や痛み、痙縮の悪化などがみられる場合には、運動量や方法の見直しが必要になることもあります。
自分だけで判断が難しい場合には、医師や理学療法士、作業療法士などに相談しながら進めることが大切です。
「どこまでやればよいのか」を一人で抱え込まず、自分の身体に合ったペースを見つけていくことが、継続しやすいリハビリにつながります。
近年では、脊髄損傷に対して再生医療の研究も進められています。
ただし、再生医療だけで身体機能の改善を目指すのではなく、状態に応じたリハビリテーションを継続することが重要視されています。
治療法について気になる場合には、主治医と相談しながら、自分に合った選択肢を検討することが大切です。
よくあるご質問
- 脊髄損傷後は毎日リハビリをしたほうがよいですか?
- 毎日身体を動かすことが勧められる場合もありますが、無理に長時間行う必要はありません。疲労感や痛み、痙縮の変化を確認しながら、自分の状態に合わせて調整することが大切です。
- SNSや動画で紹介されている運動を真似してもよいですか?
- 脊髄損傷では、損傷部位や麻痺の程度によって適した運動が異なります。他の人に合っている方法でも、自分には負担が強すぎる場合があるため、主治医やリハビリスタッフに相談してから行うことが勧められます。
(1)頚髄損傷理学療法マニュアル Ver2.01 (2024 年版) |国立障害者リハビリテーションセンター p29https://www.rehab.go.jp/beppu/pdf/rigakuryohomanual01-Ver2.01.pdf
(2)終了後の 筋力トレーニング |別府重度障害者センター p8https://www.rehab.go.jp/beppu/book/pdf/livinghome_no16.pdf
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