点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脳卒中

 脳卒中後に小脳障害が引き起こすバランス障害と歩行困難

<この記事を読んでわかること>
小脳が運動の調整やバランスの維持に重要な役割を果たしていることがわかる。
小脳障害が運動失調やバランス感覚の低下を引き起こし、歩行困難につながることがわかる。
バランストレーニングや体幹強化訓練が、歩行の安定性を取り戻すために重要であることがわかる。

脳卒中後には、小脳障害によりバランス障害と歩行困難が生じることがあります。
小脳は運動の調整やバランスの維持に重要な役割を果たしていますが、脳卒中で小脳が損傷を受けると、運動失調やバランス感覚の低下が生じ、歩行困難を引き起こします。
この記事では、バランストレーニングや体幹強化訓練などのリハビリについても解説します。

小脳の役割とその障害がもたらす身体バランスの崩れ

小脳の役割とその障害がもたらす身体バランスの崩れ
小脳は、脳の後部に位置し、運動の調整や身体のバランス維持に不可欠な役割を果たしています。
小脳は、身体の各部位からの感覚情報を受け取り、それをもとに筋肉の動きや緊張を微細に調整することで、スムーズで協調的な動作を可能にします。
具体的には、小脳は以下のような機能を担っています。

  1. 運動の調整: 小脳は、脳の他の部位と協力して、手足の動きを調整します。
    たとえば、物を掴むときに必要な力の加減や、歩行中の足の運びなど、意識せずに行っている動作を適切に制御する役割を果たしています。
  2. 姿勢の維持: 小脳は、身体の重心を保つために、姿勢やバランスを微調整しています。
    これにより、立っているときや座っているときに安定した姿勢を保つことができます。
  3. 筋緊張の調整: 小脳は、筋肉の緊張を調節することで、必要な筋力を発揮するのを助けます。
    これにより、無駄な力が入らず、滑らかな動作が可能になります。

しかし、脳卒中や他の原因で小脳が損傷を受けると、これらの機能が低下し、運動失調やバランス障害、姿勢の不安定さが生じてしまうことがあります。

まっすぐ歩けない原因は小脳障害が引き起こす機能とは

小脳障害が引き起こす「まっすぐ歩けない」という症状には、いくつかのメカニズムが関与しています。
小脳は、運動の調整、姿勢の維持、バランスの管理に深く関わっており、これらの機能が損なわれると、歩行に問題が生じるのです。
小脳は、筋肉の動きや関節の角度を微調整することで、スムーズな歩行を可能にします。
しかし、小脳が障害されると、この微調整がうまくいかなくなり、歩行時の足の運びが不規則になったり、目的の歩行パターンが崩れることがあります。
これにより、歩行がギクシャクしたり、予想外の方向に進んでしまうことがあります。
通常、歩行時には脚の筋肉が適切に収縮と弛緩を繰り返しながら前進します。
小脳が正常に機能している場合、これがスムーズに行われますが、小脳障害があると筋緊張の制御がうまくいかなくなります。
その結果、脚が必要以上に硬直したり、逆に力が抜けすぎたりするため、安定した歩行が難しくなります。
また、小脳は、身体が傾いたり、揺れたりしたときに、それを瞬時に補正する役割を果たしています。
しかし、小脳が損傷を受けると、これらの補正が適切に行われず、歩行中にバランスを崩しやすくなります。
特に、歩行中に方向が定まらなくなる、いわゆる「まっすぐ歩けない」状態が典型的な症状です。
小脳は、身体が空間内でどの位置にあるかを把握するのにも寄与しています。
この空間認識が損なわれると、歩行中に自分がどこに向かっているのか、どの程度の距離を歩いているのかを正確に判断できなくなります。
このため、まっすぐ歩くことが難しくなり、ジグザグに進んだり、ふらふらとした歩行が特徴的になります。

バランス回復に向けたリハビリと効果的な治療とは

小脳障害によって引き起こされるバランス障害を克服するためには、適切なリハビリテーションと効果的な治療法が不可欠です。

  1. バランストレーニング
    バランストレーニングは、小脳障害によるバランス感覚の低下を改善するための基本的なリハビリ方法です。
    平行棒を使った歩行訓練や、安定性の低い面(たとえばバランスボールやエアクッション)での立位訓練が含まれます。
    これらの訓練により、患者は転倒リスクを減らし、歩行の安定性を取り戻すことが期待されます。
  2. プロプリオセプション訓練
    プロプリオセプション、つまり「自己受容感覚」は、筋肉や関節の位置情報を脳に伝える重要な感覚です。
    この訓練では、目を閉じて立ったり、片足でバランスを取るなど、意識的に身体の位置や動きを感じ取る練習が行われます。
    これにより、小脳の機能が補完され、運動の調整能力が向上します。
  3. 体幹強化訓練
    体幹の筋肉を強化することも、バランスの回復に重要です。
    体幹の筋肉が強くなることで、身体の重心を安定させやすくなり、歩行や立位での安定性が向上します。
    プランクやサイドブリッジなどのエクササイズが体幹強化に有効です。
  4. 歩行訓練
    歩行訓練は、小脳障害による歩行困難を克服するためのリハビリの一環です。
    セラピストのサポートを受けながら、適切な歩行パターンを学び直すことが目的です。
    歩行のリズムや速度を徐々に調整しながら、歩行中のバランス感覚を取り戻します。

小脳障害に伴うバランス障害に対しては、症状を緩和するための薬物療法が使用されることがあります。
例えば、筋肉の緊張を和らげる薬や、震えを抑える薬などが処方されることがあります。
ただし、薬物療法は根本的な治療にはならないため、リハビリテーションと併用して行うことが一般的です。

まとめ

脳卒中後の小脳障害は、バランス障害や歩行困難を引き起こす可能性があり、患者の生活の質に大きな影響を与えます。
早期のリハビリテーションと適切な治療が、機能回復の鍵となります。
患者自身が積極的にリハビリに取り組むことで、生活の質を改善し、日常生活への復帰を目指すことが可能です。
当院脳梗塞・脊髄損傷クリニックなどでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
小脳の障害による歩行障害についても、再生医療とリハビリの組み合わせが効果を発揮することが期待できます。
この治療法が気になる方は、ぜひ一度当院までご相談くださいね。

よくあるご質問

小脳が障害されるとどんな症状が出るのか?
小脳が障害されると、主に運動失調やバランス感覚の低下が現れます。
これにより、歩行が不安定になり、まっすぐ歩くことが難しくなることがあります。
また、手や足の動きがぎこちなくなり、意図した通りに動かすことが難しくなります。

企図振戦 どこの障害?
企図振戦は、小脳の障害によって引き起こされる振戦(震え)です。
特に手を伸ばしたり、特定の目標に向かって動かす際に、震えが強くなる特徴があります。

<参照元>
小脳疾患 – MSDマニュアル プロフェッショナル版:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07-神経疾患/運動障害疾患および小脳疾患/小脳疾患
3.小脳失調症の病態と治療―最近の進歩―:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/101/3/101_669/_pdf
小脳性運動失調のリハビリテーション医療 – J-Stage:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/56/2/56_56.101/_pdf

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