点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

脳卒中

 脳疾患と動眼神経麻痺の関連性とは

<この記事を読んでわかること>
動眼神経の走行がわかる
動眼神経麻痺の症状や原因がわかる
動眼神経麻痺の治療法がわかる

動眼神経は眼球運動や瞳孔機能を司る神経であり、障害されることで目の動きやモノの見え方に支障をきたします。
一方で、その原因は目ではなく脳の病気であることが多く、脳動脈瘤や脳卒中によって発症します。
原因によって症状の出方や治療法も変わってくるため、この記事では、脳疾患と動眼神経麻痺の関連性について詳しく解説します。

動眼神経麻痺の原因は?
脳卒中との関係性と他の病気との違いを解説

動眼神経麻痺の原因は?<br>脳卒中との関係性と他の病気との違いを解説
動眼神経麻痺とは、その名の通り動眼神経がなんらかの病気によって障害され、機能が障害される状態です。
動眼神経は普段、瞳孔の収縮や眼球運動を司っているため、麻痺することで瞳孔機能と眼球運動の両方が障害され、モノが二重に見える複視眼瞼下垂眼球運動異常が生じます。
動眼神経麻痺の主な原因は下記の通りです。

  • 動脈瘤
  • テント切痕脳ヘルニア
  • 髄膜炎
  • 脳卒中

実は、原因によって症状の出方に違いがあることが知られています。
動眼神経は先述したように眼球運動を司る線維と、瞳孔機能を司る副交感神経線維の2つの線維から構成されており、副交感神経線維は動眼神経のより表層を走行しています。
そのため、動脈瘤やテント切痕脳ヘルニアが原因の場合、神経の表層ほど圧迫を受けやすく、副交感神経線維が障害されやすいため、眼球運動障害とともに瞳孔異常を併発しやすいです。
一方で、神経表層は毛細血管からの血流が豊富であり、循環障害による影響を受けにくいため、脳卒中が原因の場合は副交感神経線維が障害されにくく、眼球運動障害のみで瞳孔異常を併発しないことが多いです。

動眼神経麻痺と脳の病気の関係性を徹底解説

上記で解説したように、動眼神経麻痺では目の動きや瞳孔機能など、主に目が障害されることが多いですが、なぜ脳の病気で目に影響が出てしまうのでしょうか?
動眼神経麻痺と脳の病気の関係性を理解するためには、動眼神経の走行を理解する必要があります。
動眼神経の中枢の核である動眼神経核は中脳の上丘と呼ばれる部位に存在しており、中脳内、くも膜下腔、海綿静脈洞、上眼窩裂を経て眼窩へ入ります。
眼窩へ入った動眼神経は上下に分岐し、上方は上直筋と上眼瞼挙筋を、下方は内直筋と下直筋・下斜筋に向かい、眼球運動を支配するわけです。
この際、下斜筋に向かう神経の一部がさらに分岐し、瞳孔括約筋や毛様体筋に至ることで瞳孔運動を支配しています。
つまり、眼窩より上流の頭蓋内に何らかの病変が生じると、動眼神経の末梢には問題なくとも、動眼神経麻痺が生じることになります。
特に、脳動脈瘤の好発部位である内頸動脈後交通動脈分岐部は、動眼神経が近傍を走行しているため、動眼神経麻痺を起こしやすいです。
Chengboらの報告によれば、後天的な動眼神経の原因は頻度順に下記の通りです。

  1. 推定微小血管性(42%)
  2. 外傷性(12%)
  3. 腫瘍による圧迫(11%)
  4. 脳神経外科手術後(10%)
  5. 動脈瘤による圧迫(6%)

以上のように、原因のほとんどが脳の病気であることがわかり、脳と動眼神経が密接に関わっていることがわかります。

幹細胞治療が変わる?動眼神経麻痺と脳疾患の治療と展望

動眼神経麻痺が生じた時、その治療法は原因疾患によっても異なりますが、基本的には原因疾患の治療を優先することで改善が期待できます。
最も致死性の高い動脈瘤が原因の場合、専門の医療機関で手術療法などの治療が必要です。
逆に言えば、脳動脈瘤や腫瘍・ヘルニアなどによる圧迫が原因の場合、圧迫の原因を除去すれば徐々に動眼神経麻痺も改善していくことが一般的です。
一方、脳卒中や難治性のニューロパチーなどが原因の場合、神経細胞が不可逆的なダメージを負ってしまい、原因疾患を治療しても症状が改善しないことがあります。
現状、これらの後遺症に対してはプリズム眼鏡の使用や眼球運動リハビリテーションを行うのが一般的ですが、根治することは困難であるのが現状です。
そこで、近年では新たな治療法として幹細胞治療が注目されており、治療法が確立されれば、不可逆的に損傷した動眼神経の再生が期待されるため、今後の知見が待たれるところです。

まとめ

今回の記事では、脳疾患と動眼神経麻痺の関連性について詳しく解説しました。
動眼神経は眼球運動や瞳孔機能を司る神経ですが、その中枢が脳に存在しているため、脳卒中や脳動脈瘤などによって起こり得る病気です。
まずは原因疾患の治療が優先されますが、原因によっては動眼神経に不可逆的なダメージが加わり、後遺症として残ってしまう可能性があります。
そこで、近年では新たな治療法として幹細胞を用いた再生医療が非常に注目されています。
また、脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、脳疾患に伴う動眼神経麻痺のさらなる改善が期待できます。

よくあるご質問

動眼神経麻痺の原因疾患は?
動眼神経麻痺の原因疾患は、脳動脈瘤・髄膜炎・脳ヘルニア・脳卒中・外傷性・糖尿病や高血圧に伴う循環不全・外科手術後の合併症などが挙げられます。
また、ギランバレー症候群のように末梢神経障害によって生じることもあります。

動眼神経麻痺の原因は虚血ですか?
動眼神経麻痺の原因の1つとして虚血が挙げられます。
糖尿病や高血圧の進行によって動眼神経を栄養する血管の血流が悪化すると、動眼神経は十分な栄養を得ることができず、その機能が障害されます。

<参照元>
MSDマニュアル:MSDマニュアル
PUB MED:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27893002/
J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibi/68/3/68_196/_pdf/-char/ja
J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jotr/40/6/40_713/_pdf/-char/en

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