点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

リハビリ・その他

 急性期リハビリテーション患者様のための基礎知識

<この記事を読んでわかること>
発症や受傷後の各フェーズとその名称
急性期のリハビリテーションとは
急性期リハビリテーションの目的について

リハビリテーションのプロセスは、患者様の病状や回復フェーズに応じて柔軟に計画を調整する必要があります。
一般に、リハビリテーションは3つの主要なステージで構成されます。
リハビリテーションは、以下の3つの段階に区分されます。
《リハビリテーションの3つのフェーズ》
・急性期リハビリテーション
・回復期リハビリテーション
・生活期(維持期)リハビリテーション
この記事では、急性期のリハビリテーションについて詳しくご説明します。

発症や受傷後の各フェーズとその名称

急性期

病気や怪我の発症・受傷をした直後から、症状が安定するまでの期間。この時点では、病状を安定させるために集中的な治療が行われます。

回復期

症状が安定した後、自然な回復プロセスや集中的なリハビリテーションによって、身体機能や日常の動作能力が改善される大きく見込みのある期間です。

維持期

急性期と回復期を経て、身体機能や日常活動のスキルを獲得して、その状態を維持するための期間となります。

急性期のリハビリテーションとは

急性期リハビリテーションとは、骨折や病気なども含め発生した直後、またはその治療と同時に実施されるリハビリのことを言います。
通常、このリハビリテーションフェーズは発症後数日から約1ヶ月の間に展開されることが多いです。
過去の医療では、治療とリハビリのスケジューリングを別々に考え、リハビリテーションは特別な医療施設で行うのが主流でした。近年では早期から開始することが推奨されています。


近年は早い段階から開始

近年は早い段階からリハビリテーションを導入することが一般的に推奨されており、これによって寝たきりを避けたり、後遺症を軽くしたりすることが目指されています。
ただし、急性期では身体機能の回復が最優先されるため、急性期リハビリテーションでは過度な負担をかけず、軽めのリハビリテーション活動が主に行われます。
急性期リハビリテーションの主な目的は、「廃用症候群」を予防または軽減することであり、発症前の状態への完全な回復を求めるものではありません。


急性期リハビリテーションの目的について

急性期リハビリテーションの主な目的は、「廃用症候群(はいようしょうこうぐん)」を予防または軽減することであり、発症前の状態への完全な回復を求めるものではありません。
廃用症候群とは、一般的に床ずれ(褥瘡:じゅくそう)がよく知られていますが、その他にも以下のような問題を引き起こします。
以下は、長期間安静状態にあると発生する多様な健康問題を示しています。

・関節拘縮(関節が硬くなって動きが制限される)
・筋萎縮(筋肉が痩せる現象)
・廃用性骨萎縮(骨の密度や強度が低下する)
・括約筋障害(便秘や尿失禁など)
・起立性低血圧(立ちくらみ)
・精神的合併症


急性期リハビリは次の準備

急性期リハビリテーションは、次の回復期ステージへ移行するための重要な橋渡し役でもあります。
早い段階で身体を動かすことで、廃用症候群の発生を防ぐだけでなく、次のリハビリフェーズにおいても効率的な回復のために行います。

この期間では、日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)に焦点を当てたリハビリが行われます。
具体的には、移動、食事、排泄、入浴といった基本的な生活動作をできるようになり、獲得できたことを保持するために行います。リハビリテーションとしては、起立訓練や嚥下訓練などがあります。


急性期リハビリテーションが適応できないケース

急性期リハビリテーションは一概にすべての症状や患者様に推奨されるわけではありません。
それは、病気や怪我が発症してから数日~1か月の期間は、患部の治癒に多くの体力が必要となるためです。
合併症が存在する場合など、早期の治療が逆に回復に時間を要することや新たな合併症を引き起こすリスクのある方もいらっしゃいます。
したがって、同じ病気や怪我でも、患者様一人ひとりの体力や回復のペースに応じて、リハビリテーションの開始時期やプログラム内容を慎重に検討されます。


急性期のリハビリテーションは重要なステージ

急性期リハビリテーションを適切に実施することで、後遺症の緩和や以前の生活を取り戻すような基盤を築くことが可能です。
ただし、急性期リハビリテーションは基本的に機能回復の初期段階を目的としています。
そのため、一定レベルの症状改善や安定が見られた場合、次のリハビリテーションフェーズへと移行します。
急性期とは、単に安静に過ごす時期ではありません。むしろ、後遺症を最小限に抑える努力が、未来の回復に大いに影響を与えます。
よって、この期間はリハビリテーションにおいても非常に重要なステージといえるでしょう。


急性期のリハビリテーションまとめ

急性期(発症から数か月以内)でのリハビリ開始は、高い効果が期待されます。
さらに、自己幹細胞を用いた「再生医療」の進歩により、急性期の方でも生活期(維持期)の方でも、後遺症に悩む方には新たな選択肢があります。
脳梗塞・脊髄損傷クリニックで提供しているリハビリと再生医療の組み合わせにより、リハビリテーションの効果は上がる可能性があります。
もし「治療が必要かどうかわからない」や「治療するべきかまだ決まっていないが、情報を得たい」と考えている場合でも、問題ありません。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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Dr. 貴宝院 永稔 [Kihouin Nagatoshi]

Dr. 貴宝院 永稔 [Kihouin Nagatoshi]

脳卒中や脊髄損傷の後遺症を抱える患者様へ。リハビリテーション専門医として神経再生リハビリ®に力を入れています。SNSでも情報や症例を積極的に発信中です。ぜひご覧ください。




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