点滴×同時刺激リハビリで神経障害の後遺症を改善へ

リハビリ

 痙縮(けいしゅく)リハビリについて解説

<この記事を読んでわかること>
痙縮が起きてしまうメカニズム
医療における痙縮治療の方法・概要
痙縮の自宅でできる指のリハビリ方法

痙縮(けいしゅく)とは、筋肉が過度に緊張し、手足の動きが制限される、または意図しない動きが起こる状態を指します。
脳卒中の後遺症には、よく見られる症状の一つです。
例えば、手の指が常に握られた状態で開きづらくなったり、肘が自然に曲がったり、足の先端が足の裏側に向かって曲がるなどの動きが現れます。
長期間痙縮が続くと筋肉は硬化し、関節の動きが拘縮して制限され、日常生活に悪影響を及ぼすことがあります。
痙縮はリハビリの進行を妨げる要因となるため、適切な治療が求められます。

痙縮が起きてしまうメカニズム

痙縮は、筋肉の収縮と弛緩を自動的に調整する脳と脊髄のアンバランスに起因します。
通常、筋肉の収縮と弛緩は、脳と脊髄を介した複数の経路で調整されています。しかし、脳に損傷が生じると、これらの調整経路が乱れます。
例えば、脳卒中患者様の方では、錐体(すいたい)という部分に位置する錐体路(神経路)に障害が生じることがあります。この錐体路の異常により、脳の筋肉制御機能が損なわれます。
加えて、筋肉を収縮させるための脊髄の働きが過度となることで、筋肉は過度に緊張し、結果として痙縮が現れるのです。

医療における痙縮治療の方法・概要

痙縮の治療方法としては、薬の内服、ボツリヌス治療、神経ブロック、外科処置、バクロフェン髄注といった手段が考慮されます。
治療の選択は患者様の状態や目標に基づき、これらの方法をリハビリテーションと併用して進められます。

内服薬

筋肉の緊張を和らげる効果のある薬が処方されます。
内服薬は、神経の興奮を抑えて筋肉の緊張を緩和するものや、直接筋肉に作用して緊張を和らげるものが存在します。多くの場合、痙縮に対する初期治療として内服薬が選択されます。

神経ブロック療法

緊張する筋肉に関連する神経に、神経破壊薬のフェノールを投与し、その伝達を遮断し筋肉の緊張をやわらげます。

バクロフェン髄注療法(ITB療法)

バクロフェンという痙縮を緩和する薬液が入ったポンプを体内に埋め込み、脊髄近くに直接薬を注入します。
バクロフェンは内服薬としても存在しますが、脊髄に直接作用させることで投与量を減らせるため、副作用の眠気が出にくいというメリットがあります。

ボツリヌス療法

筋肉の緊張を引き起こしている神経活動を制御するために、ボツリヌストキシンという薬剤を注射します。
この治療法は、ボツリヌス菌から得られる天然のタンパク質(ボツリヌストキシン)を筋肉に直接注入する方法で、筋肉の緊張を減少させる効果があるため使用されます。

痙縮の自宅でできる指のリハビリ方法

脳卒中を経験すると、指を動かすのが困難になる痙縮のリスクが高まります。痙縮がさらに進行すると、筋肉や関節が硬直し、拘縮の状態になる可能性が出てきます。

この拘縮の発生を防ぐため、脳卒中の後は、家でのリハビリテーションを継続することが大切です。以下で、家での指のリハビリテーションの方法を具体的にご紹介いたします。

リハビリをはじめる前のPOINT

指のリハビリを自宅で効果的に行うには、まず筋肉や関節の柔軟性を高めることが鍵となります。
指をいきなり動かす前に、手を温めるか、指のマッサージをして硬くなった筋肉をほぐすことが推奨されます。
手を温めることで、筋肉や関節が緩和し、リハビリテーションの効果が高まります。
病院のリハビリでもこの方法が採用されることが多いです。
自宅での手の温め方としては、お風呂に浸かるのが簡単で効果的です。マッサージによる筋肉のほぐしも、リハビリの成果を向上させる方法として有効です。

指の引っ張りリハビリ

以下のステップに従って、指の引っ張り運動を行うと効果的です。
1.       ベッドや広めの椅子に座り、手を身体の横のベッドや座面上に置きます。
2.       指先を前方または横向きに調整します。
3.       その位置で、もう一方の手を使って、各指を一本ずつゆっくりと引っ張ります。

指と手首の反らすリハビリ

指と手首の反らすリハビリは、以下の方法で実行すると効果的です。
1. 拘縮している手の手のひらを天井に向けます。
2. もう一方の手で、人差し指から小指にかけて床方向へゆっくり押します。
3. これにより、指を伸ばし、手首が反らす形になるように調整します。

グーパーのリハビリ

グーパーのリハビリは以下の方法で試してみてください。
1. 手を肩の高さまで上げます。
2. 肘を真っ直ぐに伸ばし、ゆっくり5秒間で手を広げます。
3. 手を最大限に開いたら、再び5秒をかけて握ります。
4. 1から3のステップを繰り返し、手を開いたり閉じたりする動作を行います。

痙縮リハビリついてまとめ

痙縮が持続すると、生活の質が著しく低下しますので、対策を講じたいところです。
最近、医療界で注目されているのは再生医療のアプローチです。
この治療法は、体のダメージを受けた部分を修復・再生させる可能性を秘めており、新たな治療方法として期待が寄せられています。

具体的な手法としては、幹細胞を用いた点滴療法や幹細胞培養上清液の点鼻が挙げられます。
これらの治療は、損傷を受けた神経組織の修復を促進し、リハビリによる回復効果をさらに強化することが期待されています。
特に、脳梗塞・脊髄損傷クリニックは、神経分化能が高い骨髄由来幹細胞を使った再生医療で国内トップの実績を持っています。我々の提供する情報が、患者様のサポートとなることを願っています。

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Dr. 貴宝院 永稔 [Kihouin Nagatoshi]

Dr. 貴宝院 永稔 [Kihouin Nagatoshi]

脳卒中や脊髄損傷の後遺症を抱える患者様へ。リハビリテーション専門医として神経再生リハビリ®に力を入れています。SNSでも情報や症例を積極的に発信中です。ぜひご覧ください。




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