<この記事を読んでわかること>
・後頭葉の機能とその障害が視覚に与える影響とは?
・言語理解力の低下と本来の後頭葉が果たす役割
・視覚と認知機能のリハビリテーション
脳梗塞が原因で後頭葉障害を来すと、視覚に関するさまざまな障害が起こります。
例えば、視野が狭くなったり、物体の形や色が認識できなくなったりします。
また、言語理解にも影響が出ることがあります。
具体的には、文字の認識が困難になったり、文章の意味を正確に理解できなくなったりします。
後頭葉の機能とその障害が視覚に与える影響とは?
この記事では後頭葉の機能とその障害が視覚に与える影響とは?について解説します。
後頭葉は、視覚情報処理の中枢としての機能を有します。
目から入った視覚情報は、視神経を経由して後頭葉に伝わり、形、色、大きさなどの情報に分解され、統合されます。
この処理過程によって外界を正確に認識することができます。
そのため、後頭葉が障害されると、視覚機能にさまざまな異常が現れます。
具体的な症状は以下の通りです。
視野がトンネルのように狭くなったりする視野狭窄、両眼の同じ側の視野が欠けて半分しか見えなくなったりする同名半盲が起こることがあります。
その他、物体を見ても、それが何であるのかわからなくなる視覚失認、対象物の色の識別が困難になる色覚異常が起こることもあります。
これらの症状は、損傷の程度や部位によって異なります。
例えば、視覚野と呼ばれる視覚情報を直接処理する部分が障害されると、視野狭窄や同名半盲が起こりやすくなり、視覚連合野と呼ばれる視覚情報と他の情報と結びつける部分が障害されると、視覚失認や色覚異常が起こりやすくなります。
言語理解力の低下と本来の後頭葉が果たす役割
この記事では言語理解力の低下と本来の後頭葉が果たす役割について解説します。
言語理解力の低下と後頭葉の機能とは、直接的な関連性はありません。
後頭葉は、視覚情報処理の中枢です。
そのため、目から入った情報を解析して統合します。
この処理過程を経て、外界を正確に認識することができます。
脳は複雑なネットワークで繋がっています。
そのため、ある部位の障害が他の部位の機能にも影響を与えます。
後頭葉の障害を例にとると、視覚的な情報処理がうまくいかないと、文字の認識に困難が生じ、その結果、言語理解力が低下するケースが考えられます。
視覚と言語は密接に関係しているといえるでしょう。
後頭葉が障害されると、視覚失認や同名半盲などの症状を起こすため、視覚確認がおろそかになり、その結果、間接的に言語理解に影響を与えることはたびたびあります。
後頭葉の障害が原因となって言語理解力が低下した場合は以下の対処が必要です。
情報処理を視覚に頼ることができないため、ゆっくりと繰り返し聞く、ジェスチャーや簡単な図を用いた説明、筆談やタブレットを使用したコミュニケーションアプリの利用などの工夫が必要となるでしょう。
視覚と認知機能のリハビリテーション
この記事では視覚と認知機能のリハビリテーションについて解説します。
脳梗塞が原因となる視覚障害や認知機能の低下は、患者さんの生活の質を大きく損なう可能性があるため、適切なリハビリテーションを行うことが重要です。
視覚障害に対するリハビリテーションは、残存する視機能を最大限に活用することを目標とします。
例えば、視野に障害がある場合は、頭や目を動かして視野を補完する技術が有効です。
また、視覚的注意力を向上させるトレーニングが行われることもあります。
加えて、特殊な眼鏡や器具を用いて、視野を拡大する、残存視野の有効活用をめざす器具を用いたリハビリテーションもあります。
一方、認知機能リハビリテーションは、脳の可塑性を活用し、損傷した機能の回復や、残存機能の強化を目標とします。
具体的には、記憶力、注意力、問題解決能力などの向上を目指します。
そのためには、記憶力を向上させるための反復練習、注意力を高めるための訓練、日常生活での問題解決を模擬したシミュレーションなどがあります。
また、言葉の理解や発話、文章作成、計算能力の改善を目指す言語療法も認知リハビリテーションの重要な一部です。
まとめ
今回の記事では、脳梗塞後の後頭葉障害がもたらす視覚と言語理解の問題とはについて解説しました。
脳梗塞は血管障害が原因となり、脳神経が壊死する疾患です。
壊死した脳神経を再生することは現在の医療水準では難しいのが実態です。
でも、壊死した脳神経を再生することが可能となれば、後遺症としての神経障害は改善します。
そのため、新たな治療法としての再生医療は期待が持てます。
脳や脊髄の損傷に対して、「ニューロテック®」と呼ばれる「神経障害が治ることを当たり前にする取り組み」も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、狙った脳や脊髄の治癒力の治る力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
さらに、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「神経再生医療×同時リハビリ™」があります。
これらの治療法は、脳梗塞が原因で神経障害を来して日常生活に制限がある患者さんに対して期待が持てる治療となるでしょう。
よくあるご質問
- 脳梗塞で後頭葉の視覚はどうなるのか?
- 後頭葉は、視覚情報の処理中枢であるため、損傷を受けるとさまざまな障害が起きる可能性があります。
たとえば、視野がトンネルのように狭くなったり、半分しか見えなくなったりすることがあります。
その他、対象物を見ても何であるかがわからなくなる失認を起こすこともあります。 - 脳梗塞で視覚障害になるのはなぜ?
- 視覚情報を処理する脳の部位、特に後頭葉という部位が損傷するためです。
後頭葉は、目から入ってきた情報を解析し、外界を認識できるようにする重要な役割を担っています。
そのため、この部分が損傷すると、視界が狭くなったり、物体の形や色が認識できなくなったり、あるいは全く見えなくなるなどの障害が生じます。
<参照元>
STROKE LAB:https://www.stroke-lab.com/neuro/17992
神経心理学:https://www.jstage.jst.go.jp/article/neuropsychology/32/4/32_311/_pdf
東邦大学医療センター:https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/mentalhealth/mental/ninchikinou_shogai/improvement.html
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