・脳出血の原因と種類
・脳出血のリハビリ
・リハビリの必要性
「脳出血」とは、通常「脳卒中」として知られる脳血管障害のひとつで、脳内の動脈が破れることで生じる疾患です。
この破れた動脈からの出血が脳内で血腫を形成し、時間の経過とともに脳組織にむくみが生じます。
これにより脳が圧迫されると、吐き気、意識障害などのさまざまな症状が現れ、脳へのダメージが拡大します。
後遺症は出血の場所によって異なりますが、片麻痺や感覚障害などがしばしば伴います。
脳出血のリハビリは患者様ごとの症状や状態を把握し、現状よりも回復を目指していくものです。
脳出血の原因と種類
脳出血の原因と種類をわかりやすく説明します。
脳出血は「脳卒中」の一つのタイプです。脳卒中は脳への血流が途絶えたり、血が脳内に流れ出たりすることによって起こりますが、その中で「脳出血」は脳の中の血管が破れて血が漏れ出すことによって発生します。
このような出血は、脳の機能に影響を与えることがあるため、迅速な医療的対応が求められます。
脳出血の原因
脳出血の主な原因は、大きく分けて「高血圧」と「それ以外の病気」です。
高血圧が原因の脳出血は最もよく見られます。また、特定の病気、例えば「動静脈奇形」や「モヤモヤ病」も脳出血の原因になります。
それ以外の病気では、高脂血症(脂質異常症)、糖尿病などがあります。
高血圧が原因の脳出血は、大脳の「被殻(ひかく)」や「視床(ししょう)」といういずれも脳の中央部の場所でよく起こります。これらの場所だけで、全体の約7割を占めています。
脳出血の症状
脳出血の症状は、どの場所に、どれだけの大きさで出血があるかによって変わります。
頭痛や吐き気が伴うこともあります。早く正確な治療が必要です。場合によっては、手術で出血を取り除くことが考えられます。また、出血した部分を自然に治癒させるための治療もあります。
しかし、出血と脳のむくみが強くなると、脳の重要な部分を圧迫する危険があります。この状態を「脳ヘルニア」といい、位置によっては呼吸障害や心停止することがあるため、迅速な治療が必要です。
脳出血の後遺症
脳卒中は、迅速に治療を行った後でも後遺症が残る場合があります。
この病気によって脳の細胞が損傷されると、身体の麻痺や感覚の異常などの症状が現れることがあります。その結果、日常生活に様々な影響が生じることも考えられます。
脳出血を経験した方やその家族は、症状のみならず、後遺症にも十分な情報を持つことが大切です。
後遺症は一般的に、運動麻痺や感覚障害、目の障害、構音障害、嚥下障害、高次脳機能障害などがあります。
リハビリの必要性
神経機能の回復メカニズムは完全には解明されていませんが、リハビリテーションを早期から始めると、回復の見込みは大きく向上することが知られています。
リハビリテーションは、身体の動きを取り戻すだけでなく、社会的な側面や心理面の回復も目指します。個々の障害の度合いに合わせて適切なリハビリを行い、日常生活への復帰をしていくことが大切です。
そして、リハビリの成功には、患者様ご本人だけでなく、家族や友人の理解と協力も不可欠です。
急性期のリハビリについて
発症や治療直後、患者様の状態は非常に不安定で、再び危険な状態に陥るリスクがあるため、生命の維持と安定化が最優先となります。
しかしながら、ベッドでの長期の不活動状態は「廃用症候群」のリスクを増大させます。
廃用症候群(はいようしょうこうぐん)とは、長期の寝たきりや活動不足によって、筋肉の衰えや関節が固くなり、骨が萎縮するなど、全体的な運動機能が低下する状態を指します。
この状態が進行すると、床ずれ、深部静脈血栓症、起立性低血圧、感染症などの合併症のリスクも高まります。
ですから、この時期の最初の14日間は、主にベッド上でのリハビリテーションが中心となります。
急性期に行われるリハビリの内容
合併症を予防するため、急性期のリハビリテーションでは、患者様の安全を確保しながら、ベッドやその周辺での簡易な運動を開始します。
具体的なリハビリ内容としては、手足の関節を動かす運動、麻痺のある部位を正しい位置に保持するためのトレーニング、寝返りの練習などが行われます。
重要なのは、患者様の状態に合わせた無理のない範囲でのリハビリテーションを行い、身体機能の低下を防ぐことです。
回復期のリハビリについて
急性期を乗り越え、患者様の病態や血圧が安定した段階に入ると、回復期リハビリテーション病棟での取り組みが始まります。
この段階では、患者様が日常生活を自立して送るための機能の回復を重視します。
特に、運動機能や嚥下機能(えんげきのう)、そして高次脳機能の回復が中心となるリハビリテーションが行われます。
回復期に行われるリハビリの内容
回復期リハビリテーションでは、理学療法士や作業療法士が主に担当します。
最初に患者様の運動機能の障害の状態を正確に評価します。ここで、筋力、関節の動きやすさ、そして基本的な動作の実行度を確認します。
この評価を基に、リハビリプランが策定され、日常生活における動作をよりスムーズで安全に行えるように繰り返し訓練を行います。
基本動作の自立
寝返り、ベッド上での座り動作、ベッドサイドでの立ち上がり、自分で座ること、そして立つことを中心に訓練します。
歩行訓練
初めはバランスの獲得から始め、車いす移動や、杖や歩行器を使用した歩行練習を行います。
応用動作の訓練
工作や手芸などの細かな動作の練習を行い、動作の幅を広げます。
日常動作の練習
トイレや着替え、入浴、食事などの日常的な動作を中心に訓練します。
生活期(維持期)のリハビリについて
退院後の患者様はご自宅やリハビリテーション設備があるクリニックでのリハビリテーションを主に行います。
この時期のリハビリテーションは、一度獲得した機能を維持し、さらに向上させることを目的とします。
生活期(維持期)に行われるリハビリの内容
クリニックでのリハビリ
専門の施設で継続的にリハビリを受けることで、生活の質の向上を目指すための身体機能の維持や向上を図ります。
日常動作の中でのリハビリ
日常生活の中での動作を利用し、生活機能の回復や向上に取り組み、日常生活の自立を目指します。
散歩や軽い運動
体を動かすことで筋力の低下を防ぎ、健康状態を維持します。
脳出血のリハビリとは?諦めないためのガイドまとめ
退院後にも、リハビリテーションを継続しなければ、一度回復した身体機能が再び低下するリスクが高まります。
外来や介護保険を利用し、継続的なリハビリテーションを受けることは、長期的な健康維持のために非常に重要であると言えます。
また、自費でのリハビリを選択してみるのも良いでしょう。自費リハビリは保険の範囲外であるため、時間に縛られずじっくりと自分のペースで納得のいくリハビリが受けられるというメリットがあります。
当院は「神経再生リハビリ®」という最新のアプローチを取り入れています。これは、再生医療を取り入れながらリハビリテーションを進める方法で、損傷した神経細胞の再生能力、すなわち自己治癒力を刺激することを重点に置いています。
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脳出血は緊急性が高く、治療前や急性期には素早い対応が求められます。回復期や慢性期には再発予防に加え、生活の支援が重要になります。病気の段階により求められる対応や観察項目が異なるため、正しい知識を持って看護にあたる必要があります。後遺症対策のため再生医療の効果に期待が高まっています。
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