・脳出血と高血圧の関係性がわかる
・脳出血と脳動脈瘤の関係性がわかる
・脳出血を予防する生活習慣がわかる
脳出血は脳の血管が破綻し、脳細胞が圧迫される病気です。
主な原因は高血圧による動脈硬化の進展ですが、先天的に形成される脳動脈瘤の破裂によっても発症する可能性があります。
一度発症すると後遺症を残す可能性があり、発症を予防することが重要です。
この記事では、脳出血の発生原因と症状の関連性について徹底解説します。
高血圧が引き起こす脳出血のリスク
脳出血とは脳の血管が破綻して脳内で出血を引き起こす疾患であり、その最大のリスク要因は高血圧です。
国内の報告によれば、脳出血発症患者の46%は高血圧の治療中、24%は未治療者から発症を認めています。
メカニズムとしては、血圧が高いことで血管内皮細胞が障害され、障害された部位から血管壁内にLDLコレステロールが蓄積することで動脈硬化が進展します。
動脈硬化が進むと血管は本来の弾力性・柔軟性を失うため、血圧の変動による負担に耐えられなくなって破綻し、脳出血を引き起こすわけです。
以前まで日本は漬物文化などの影響で脳出血発症者が多く、1965年時点では脳卒中死亡率は世界一でしたが、近年では塩分に対する意識も高まり徐々に発症者は減少傾向です。
(参照サイト:脳出血|日本神経治療学会)
では具体的にどの程度の血圧だと危険なのでしょうか?
血圧と脳出血発症率は完全に正の相関関係にあることが知られており、血圧は高ければ高いほど脳出血の発症リスクが高まることが知られています。
そのため、脳卒中治療ガイドラインでは血圧の管理目標を下記のように定めています。
- 75歳未満、冠動脈疾患、慢性腎臓病(蛋白尿陽性)、抗血栓薬服用者:130/80mmHg未満
- 75歳以上、両側頸動脈狭窄もしくは主幹動脈閉塞、慢性腎臓病(蛋白尿陰性):140/90mmHg未満
(参照サイト:脳卒中治療ガイドライン|日本脳卒中学会)
高血圧によってもし脳出血が起こると、麻痺やしびれ、構音障害、嚥下障害などの神経症状や意識障害はもちろんのこと、最悪の場合、死に至る可能性があるため、注意が必要です。
これは、脳血管の破綻によって頭蓋骨の中にどんどん血液が溜まっていき、正常な脳細胞が徐々に血腫で圧迫されるため、正常な脳細胞への血流が途絶するためです。
さらに頭蓋内圧が上昇すると脳が強く圧迫され、呼吸や循環動態を司る部位も機能が障害されるため、死に至ります。
このような事態を予防するためにも、これを機にぜひ血圧をコントロールすると良いでしょう。
脳動脈瘤破裂と脳出血の関連性
残念ながら、生活習慣に注意して高血圧や糖尿病、高脂血症、肥満などを十分予防しても、それとは関係なく脳出血を引き起こす可能性もあります。
それは脳動脈瘤の破裂による脳出血です。
脳動脈瘤とは脳血管の一部の血管壁がコブ状に膨らんだ状態を指し、血圧の変動などを契機に破裂します。
なぜ脳動脈瘤が形成されるのか明らかにはなっていませんが、高血圧や糖尿病、喫煙などの後天的な要因と、遺伝や家族性などの先天的な要因が関与していると考えられています。
通常の動脈よりも脆弱であるため、ちょっとした血圧の変動でも破裂する可能性があり、破裂すれば先述したように脳細胞が血腫で圧迫され、致死的なダメージを受ける可能性があるため、注意が必要です。
人口の3%で発見されると言われており、破裂前の状態で見つけることが脳出血予防の上で非常に重要であるため、定期的に検診で頭部MRIを受けることが重要です。
(参照サイト:脳動脈瘤とは|国立循環器病研究センター)
生活習慣と脳出血の発症リスク
ここまで記したように、脳出血発症予防のためには日々の生活習慣を改める必要があります。
脳卒中治療ガイドラインでは下記のような生活習慣を推奨しています。
- 1日6g未満の減塩
- 野菜や果物の積極的な摂取
- コレステロールや飽和脂肪酸を控える
- 適正体重の維持
- 節酒と禁煙
- 定期的な有酸素運動への取り組み
上記のような生活習慣を実践することで動脈硬化を予防し、脳出血リスクを軽減するよう心がけましょう。
(参照サイト:脳卒中治療ガイドライン|日本脳卒中学会)
まとめ
今回の記事では、脳出血の発生原因と症状の関連性について詳しく解説しました。
脳出血の発生原因は高血圧をはじめとする生活習慣病が主であり、予防のためには日々の生活習慣を見直し、是正する必要があります。
また、どんなに生活習慣を整えても、先天的に脳動脈瘤を発症している場合、脳出血を発症するリスクが高いため、定期的に検診を受けることも重要です。
もし仮に脳出血を発症してしまった場合、後遺症を根治する術はなく、リハビリテーションによる機能の維持・回復が現状唯一の治療であるため、日常生活を見直して早期から発症予防に努めることが重要です。
一方で、近年では脳出血後の神経症状に対する新たな治療法として再生医療が大変注目されています。
ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善の困難であった脳出血後の後遺症の改善が期待できます。
よくあるご質問
- 脳出血の主な原因は何ですか?
- 脳出血の主な原因は、高血圧・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病や喫煙、過度な飲酒、肥満、睡眠時無呼吸症候群などです。
これらの要因で動脈硬化が進展することで発症するため、注意が必要です。 - 脳溢血の原因は?
- 脳溢血は脳出血と同義であり、その原因は高血圧などの生活習慣などが主ですが、それ以外に脳動静脈奇形やもやもや病などの血管奇形、血管炎、脳動脈瘤などが挙げられます。
<参照元>
・(1)脳出血|日本神経治療学会:https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/nou2009_03.pdf
・(2)脳卒中治療ガイドライン|日本脳卒中学会:https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf
・(3)脳動脈瘤とは|国立循環器病研究センター:https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/cerebralaneurysm/
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