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＜この記事を読んでわかること＞
・後縦靭帯骨化症の特徴や症状がわかる
・黄色靱帯骨化症の特徴や症状がわかる
・後縦靭帯骨化症や黄色靭帯骨化症の治療法がわかる
後縦靭帯骨化症と黄色靭帯骨化症はどちらも、脊髄の通り道である脊柱管を形成する靭帯です。
そのため、どちらの靭帯も骨化・肥厚することで脊髄を圧迫し、神経症状をきたす可能性がありますが、両者には幾つかの違いもあります。
そこでこの記事では、後縦靭帯骨化症と黄色靭帯骨化症の違いについて詳しく解説します。
後縦靭帯骨化症の特徴と主な症状
後縦靭帯骨化症とは、その名の通り後縦靭帯がなんらかの原因で骨化し、周囲を走行する脊髄を圧迫することでさまざまな神経症状をきたす難病です。
脊椎はそれぞれ小さな椎骨が椎間板やさまざまな靭帯で連結されて形成されており、その1つが後縦靭帯であり、椎体の後縁を上下に縦走していることから、後縦靭帯と呼びます。
後縦靭帯のさらに後方には、各種靭帯や骨・椎間板によって形成された円柱状の空洞である脊柱管が存在し、内部には脊髄が存在しています。
そのため、後縦靭帯の一部が骨化・肥厚して脊柱管内部が狭窄すると、内部を走行する脊髄が圧迫され、さまざまな神経症状をきたすわけです。
後縦靭帯骨化症の特徴は主に下記の通りです。
- 特に50歳前後の中年以降で発症しやすい
- 男女比2:1と、男性に多い
- 糖尿病や肥満で発症しやすい
- 家族内発症が多く、遺伝的要因が示唆される
後縦靭帯骨化症に伴う症状は発症する高位によっても異なり、頚椎で発症すれば頚部の痛みや違和感とともに、上肢の痛みやしびれ・手指の巧緻運動障害などが先行します。
症状が進行すれば、両下肢の麻痺やしびれ・膀胱直腸障害も出現するため、日常生活に多大な影響を与えます。
胸椎で発症した場合は上肢の症状は出現せず、体幹や下肢の麻痺・痺れが主な症状です。
半数以上の方は数年経過しても症状が進行しませんが、一部の方は症状が急速に進行し、手術しないと歩行困難に陥る可能性があります。
黄色靭帯骨化症の特徴と主な症状
椎体後縁、つまり脊柱管の前面を縦走していたのが後縦靭帯でしたが、それに対して脊柱管後面を縦走する黄色靭帯が骨化する病気を黄色靭帯骨化症と言います。
後縦靭帯骨化症同様、黄色靭帯の骨化によって脊柱管内部が狭窄し、さまざまな神経症状をきたす病気です。
黄色靭帯骨化症の特徴は下記の通りです。
- 胸椎で発症しやすい
- 30〜40代以降で多く発症する
- 発症に男女差がない
- 遺伝的要因が示唆される
- 後縦靭帯骨化症を合併しやすい
黄色靭帯骨化症は胸椎で発症しやすいため、初発症状は上肢ではなく下肢の麻痺や痺れであることが多く、進行すれば膀胱直腸障害も出現します。
これらの骨化症が脊椎に与える影響の違い
後縦靭帯骨化症と黄色靭帯骨化症の最大の違いは、発症しやすい部位の違いです。
後縦靭帯骨化症は頚椎に発症しやすく、初発症状が上肢に出現しやすい一方、黄色靭帯骨化症は胸椎に発症しやすく、初発症状が下肢に出現しやすいです。
また、回旋運動を可能にするために頚椎は胸椎よりも安定性に欠く構造であるため、頚椎に多い後縦靭帯骨化症を発症した場合、ちょっとした転倒や転落、頚部後屈だけでも急速に神経症状が悪化する可能性があり、日常生活においても注意が必要となります。
手術による治療のリスクと再生医療による改善への期待
どちらの骨化症も症状が軽微であれば経過を見ますが、神経症状が悪化すれば手術療法が検討されます。
しかし、手術が成功しても同部位、もしくは他部位の残存した靭帯が骨化すれば再発するリスクもあるため、注意が必要です。
また、骨化した靱帯の剥離には高度な技術を要し、周囲を走行する脊髄や神経を損傷した場合、麻痺や痺れが後遺症として残ってしまう可能性があります。
手術による神経損傷に対しては現状ではリハビリテーション以外に有効な治療はありませんが、近年では新たな治療法として再生医療による改善が期待され、今後の知見が待たれるところです。
まとめ
今回の記事では、後縦靭帯骨化症と黄色靭帯骨化症の違いについて詳しく解説しました。
どちらも脊柱管を形成する靭帯であり、骨化・肥厚することで脊髄を圧迫し、さまざまな神経症状をきたします。
特に、下肢麻痺や膀胱直腸障害に至れば日常生活すら困難に陥るため、症状次第では手術が必要ですが、手術には高い技術を要し、後遺症が残る可能性も否めません。
後遺症が残ってしまうと、症状改善の唯一の策はリハビリテーションですが、根治することは困難であり、あくまで症状の緩和が主な治療目的となります。
そこで、近年では神経学的後遺症に対する再生医療の効果が大変注目されています。
また、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、後縦靭帯骨化症や黄色靭帯骨化症の治療に伴う神経学的後遺症の改善が期待できます。
よくあるご質問
- 後縦靭帯と黄色靭帯の違いは何ですか？
- 後縦靭帯と黄色靭帯はどちらも脊柱管を形成する靭帯の1つですが、後縦靭帯は椎体後縁、脊柱管前面を縦走する靭帯です。
一方で、黄色靭帯は脊柱管後面を縦走しており、位置が両者で異なります。 - 後縦靭帯骨化症は難病指定されていますか？
- 後縦靭帯骨化症は難病指定されています。
手術そのものの難易度が高く、また、仮に手術が成功しても残存した靭帯が骨化すれば症状が再燃する可能性もあり、それらの理由から難病指定とされています。
＜参照元＞
後縦靱帯骨化症(OPLL)（指定難病６９）|難病情報センター：https://www.nanbyou.or.jp/entry/98
黄色靱帯骨化症（指定難病６８）|難病情報センター：https://www.nanbyou.or.jp/entry/58
後縦靱帯骨化症・黄色靱帯骨化症|日本整形外科学会：https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/opll.html
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