・再生医療について
・再生医療とリハビリの関係性について
・再生医療に関わるリハビリの種類
再生医療は怪我や病気で損なわれた体の機能を戻すために、細胞や人工的な材料を利用して機能の再生を図ることをいいます。この記事では、再生医療がどんなものか、再生医療とリハビリの重要性について詳しく説明しています。ぜひ、最後までご覧ください。
再生医療とリハビリの組み合わせが神経障害治療の最新治療法
「再生医療」とは、機能障害や機能不全に陥った生体組織・臓器に対し、細胞や人工的な材料を利用して、損なわれた機能の再生を図ることをいいます。
一旦、病気で障害を持つと、それを治すためにリハビリが必要になりますが、自己を治す力は年齢とともに弱くなってしまいます。
リハビリを行うだけでなく、自己を治す力を出来るだけ高めて、リハビリを行う前の下地作りをしてあげる再生医療にはとても重要な意味があるといえるでしょう。
再生医療を行っただけで、麻痺などの神経障害が劇的に回復することはありません。
再生医療で下地を作り、積極的なリハビリテーションを行うことで、障害の回復を図っていくのです。
血液中幹細胞濃度の増加とリハビリの相乗効果
人間は年齢を重ねていくとともに、自分を治す力がどんどん減少していきます。
身体に外傷を負った際、体が傷を自己修復してくれますが、傷が回復する為には新たな細胞を作る必要があります。
新たな細胞を生み出すためには、幹細胞の働きが必要です。
新生児の幹細胞の数と比べると、80代では幹細胞の数が新生児の200分の1から700分の1にまで減少してしまいます。
そのため、加齢とともに自分を治す力が徐々に低下し、傷が治りにくくなったり、老化してしまうのです。
幹細胞が働いてくれるからこそ、私たちは健康な体を維持する事が出来ているといえるでしょう。
幹細胞とリハビリの関係性
幹細胞には様々な細胞に分化して組織を修復・再生する能力があります。
幹細胞は損傷や炎症があり、修復を必要としているところに自動的に集まる性質があります(ホーミング効果)。
リハビリには脳脊髄損傷部の血流を約30%程度増進する作用があります。
幹細胞点滴中にリハビリを行うことで、以下の3つの効果が期待できます。
- 代償部の神経回路の伝達をしやすくして強化する
- 代償部の血流を増やして幹細胞を集まりやすくする
- 代償部の幹細胞を活性化させる
これらは脳の可塑性(損傷を免れた部位が破壊された部位の役割を代行する能力)を高めるために重要です。
再生医療に使用する幹細胞の種類
再生医療に使用する幹細胞は骨髄由来の幹細胞と脂肪由来の幹細胞があります。
骨髄から幹細胞を採取する際の骨髄穿刺の施術を負担に感じる場合は脂肪細胞からの採取も可能です。
しかし、脂肪由来の幹細胞は神経細胞に分化しにくいという研究報告があります。
脊髄損傷の治療薬として厚生労働省の認可を受けている薬剤では骨髄由来の間葉系幹細胞が使われていることからも、骨髄由来の方が信頼性が高いと言えるでしょう。
神経機能の再構築と強化を目指して
脳に可塑性のポテンシャルがあることは古くから知られていました。
そして近年、それが脳や脊髄が障害されたのちの機能回復の神経基盤として観察されるようになっています。
たとえば、上肢に対応する領域に脳梗塞を起こすと、上肢の運動機能が障害されます。
そこで、上肢に対して運動訓練を行うと、梗塞巣の周囲の残った領域において上肢の動きを補う領域が拡大し、機能の回復が見られた事例があります。
これは、残った神経回路が可塑的に変化して機能回復に寄与したことが示唆されたのです。
このように、脳の可塑性に対して働きかけ、神経機能の再構築・強化を目指すためのリハビリについてご紹介します。
促通反復療法(川平法)
麻痺した手や足を治療者が促通操作して、意図した運動を反復し、運動の反復で大脳から脊髄までの神経回路を再建・強化する治療法です。
r-TMS(経頭蓋的磁気刺激機器)
頭皮から磁気を当て、動作を行う際の脳からの電気信号の伝達をスムーズにするための治療法です。
損傷部位の血流を促進し、その機能を活性化します。
電気刺激(EMS)+反復運動
微弱な電気刺激を用いて筋肉の収縮を促し、手足の動かす範囲を拡大し、運動の再学習を促進します。
ロボティクス
脳からの電気信号を感知して運動を補助するパワーアシスト装具を用いたリハビリテーション手法です。
膝、肘、足首など、特定の部位に焦点を当てたロボットを使用します。
患者の生活の質向上への道
脳脊髄疾患により神経障害を患った患者は、完全な回復は困難であり、障害を永続的に持ったまま生活していくことに強い落胆があったことでしょう。
しかし、近年再生医療が注目され、神経障害の回復の可能性が広がってきました。
身体機能の改善が期待できるようになることによって、精神的にも落胆が軽減し、生活に対してのモチベーションが上がるのではないでしょうか。
身体機能のわずかな向上でも、生活場面での前向きな変化へとつながり、生活の質の向上へとつながります。
まとめ
いままで脳神経障害は回復が困難と言われてきました。
しかし、再生医療により脳の可塑性に着目した治療が発展してきており、回復の期待が広がっています。
脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
また、『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』をニューロテック®と定義し、生命の再生を促す再生医療を取り入れています。
再生医療だけではなく、リハビリも同時に行うことで(神経再生医療×同時リハビリ™)、より治る力を高めていくのです。
ご興味ある方は是非、お問い合わせください。
よくあるご質問
- 再生医療とリハビリテーションを併用するとどうなる?
- 再生医療の治療とリハビリテーションを同時に行うと、脳疾患の場合、代償部の神経回路の伝達をしやすくする他、代償部に血流を増やして幹細胞が集まりやすくなります。脳の可塑性を高めるアプローチとして非常に有効であると考えられます。
- リハビリテーションをする理由は何ですか?
- 怪我や病気によって身体状況が変わり、今までの生活が大きく変化してしまいます。その人らしく生きられるように、今までの生活になるべく近づけるようにリハビリをしたり、生活環境を整えることが大切です。
<参照元>
ライフサイエンス領域融合レビュー 「障害による神経機能の再編と機能の回復」:https://leading.lifesciencedb.jp/6-e003
再生医療ポータル:https://saiseiiryo.jp/about/
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