・脊髄梗塞の原因
・脊髄梗塞の症状について
・脊髄梗塞の治療について
脊髄梗塞は、脊髄の血流が妨げられ、神経細胞が酸素や栄養を得られず、その機能を失ってしまう疾患で、その結果として感覚異常や筋力低下、麻痺といった症状を引き起こします。
これは比較的稀な疾患ではありますが、その影響は患者様の生活に深刻な影響を及ぼすことがあります。 当院で提供しているリハビリテーションと再生医療を組み合わせた治療法は、確かに一瞬で劇的な変化をもたらす魔法のようなものではありません。
しかし、それは症状の改善という可能性を引き出す力を持っています。
この記事では、脊髄梗塞の症状、診断手段、そして当院でのリハビリについて掘り下げます。
脊髄梗塞の原因
脊髄梗塞(脊髄の血流が止まる病状)の原因は様々です。以前は、主な原因として梅毒が挙げられ、その次に大動脈の硬化があげられました。
しかし現代では、大動脈の病状(例えば大動脈瘤)による手術や心臓と血管に関する手術が原因とされることもあります。
それでもなお、現代の検査技術でもなぜ脊髄梗塞が起きたのか原因がはっきりしない場合も多いです。
脊髄梗塞の症状について
脊髄梗塞は、脊髄の血流が一時的または恒常的に遮断されることで発生する病態で、その症状は次の通りです。
①突発的な背部痛
脊髄梗塞の最初の兆候は通常、急激で激しい背部痛です。
痛みが問題のある部分から、他の部位へ広がることもあります(放散痛)。
②筋力の低下
脊髄梗塞の症状として、手足の筋力低下や麻痺(一部または全部の筋肉の動きが制御できない状態)が現れることがあります。
これは血流が遮断された脊髄の部分が、体の動きを制御する神経信号を送る能力を失うためです。
③感覚の消失または異常
次にしばしば、身体の一部または全部で感覚の異常(麻痺)などがあります。
これには、痛み、温度、触感などが含まれます。
感覚異常は、脊髄が体からの感覚信号を脳へ正しく伝えられなくなるために発生します。
脊髄梗塞の発生頻度と検査方法
脊髄梗塞は、脳卒中と比較する、約1/50から1/100の発生頻度を持つ、比較的稀な疾患です。
脊髄梗塞の診断は、主に画像検査によって行われます。
具体的な検査方法は以下のとおりです。
MRI(磁気共鳴画像診断)を行います。
MRIは脊髄の画像を詳細に捉えることができ、脊髄梗塞を特定する最も有効な方法の一つです。
この検査では、異常な血流や組織の損傷、腫瘍など、さまざまな問題を検出することができます。
脊髄梗塞の治療について
脊髄梗塞の治療は主に体調の安定を目指すものです(支持療法)。
しかし、時には病気の原因がはっきりしており、それが治療できる場合もあります。
例えば、血管が異常を起こす病気や、血管が炎症を起こす病気などです。
その場合は、病状を緩和させるための治療が一番実現可能な選択肢となります。
支持療法について
支持療法とは、病気の根本的な原因を治療するのではなく、病状や症状を緩和し、患者様の生活の質(QOL)を改善するための治療法です。
これには、痛みを和らげる、睡眠を改善する、食欲を促進する、呼吸困難を緩和する、などの様々な方法があります。
脊髄梗塞における支持療法は、症状を管理し、身体機能の改善や維持、日常生活動作(ADL)の向上を目指します。
これは、痛みの緩和、運動機能の緩和、そしてリハビリテーションです。
主な目的は、患者様の生活の質を最大限に高めることです。
脊髄梗塞のリハビリについて
脊髄梗塞の場合、予後不良の例も多い疾患ですが、「予後不良」とは、患者様が完全に元の健康状態に戻れない可能性があることを意味します。
ですが、早期に積極的に介入することで、身体機能や日常生活の向上が図られる可能性があることを覚えておくことが大切です。
諦めず初期の段階から体幹や股・膝関節周囲筋に対する訓練を開始し、早期に立位や歩行訓練を積極的に進めることが重要です。
これにより、身体機能の改善や歩行能力の再獲得が可能になるケースもあります。
当院での脊髄梗塞のリハビリ
脊髄梗塞の治療は非常に複雑で、患者様一人ひとりの症状や体調に合わせた個別のアプローチが必要です。
当院では、その1つとして、最新のリハビリテーション技術と再生医療を組み合わせた治療を提供しています。
この「同時リハビリ×神経再生医療™」は、再生医療でリハビリ前の下地を作ります。
これにより、リハビリの効用を高め、身体機能の改善や回復を促進。脊髄梗塞による影響を和らげる可能性を引き出します。
脊髄梗塞リハビリのまとめ
脊髄梗塞の治療は、可能な限り原因を特定し対策を取ることが最も理想的です。
しかし、原因が特定できない場合や直接的な治療が困難な場合には、支持療法を用いて症状の管理や患者様の生活の質の向上を目指します。
しかし、医学の進歩により新たな治療方法が注目を集めています。それが再生医療です。
この新技術は、身体の損傷した部分を修復・再生する可能性を秘めており、脊髄梗塞の治療において新たな希望を示しています。
具体的な治療法として、幹細胞点滴療法や幹細胞培養上清液などがあり、これらは損傷した神経組織の回復を促進し、リハビリテーションによる機能回復をさらに進めることが期待されています。
脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、骨髄由来幹細胞を用いた再生医療の実績が国内トップクラスです。当院で発信する情報が脊髄梗塞リハビリの理解に役立つことを願っています。
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