<この記事を読んでわかること>
・幹細胞培養上清液の神経再生メカニズム
・幹細胞培養上清液の臨床試験結果とその意義
・幹細胞培養上清液治療後にリハビリをする大きな理由
この記事では神経再生を促す幹細胞培養上清液について解説します。
幹細胞培養上清液は、幹細胞を培養する際に分泌される成長因子などの生理活性物質を豊富に含む液体です。
これを損傷した神経組織に投与すると、神経細胞の増殖や分化を促進し、神経機能の回復が可能です。
最新治療法である再生医療において、利用することが期待されています。
幹細胞培養上清液の神経再生メカニズム
この記事では幹細胞培養上清液の神経再生メカニズムについて解説します。
幹細胞培養上清液には、幹細胞が分泌する成長因子やサイトカインなどの生理活性物質が豊富に含まれています。
これらの物質は神経再生を促します。
メカニズムとして、以下が考えられています。
まず、神経が損傷された部位では炎症反応が起こり、二次的に神経を損傷します。
幹細胞培養上清液には抗炎症作用のあるサイトカインが含まれているため、炎症反応を抑え、神経再生の環境を整えます。
また、神経細胞の生存を促進する神経栄養因子も豊富に含んでいるため、損傷した神経細胞の再生を効果的に促進します。
神経組織の再生には、狙った神経回路の刺激に加えて、十分な酸素と栄養が不可欠です。
幹細胞培養上清液には、血管内皮細胞の増殖を促し、新たな血管の形成を促す血管新生因子も含まれています。
これによって、神経組織への血流が改善され、再生が促進されます。
その他、グリア細胞のサポートを得ることで神経ネットワークの再構築が進行する作用もあります。
このように、多くの生理活性物質を有する幹細胞培養上清液は、神経再生を多角的に支援するメカニズムを持っています。
幹細胞培養上清液の臨床試験結果とその意義
この記事では幹細胞培養上清液の臨床試験結果とその意義について解説します。
幹細胞培養上清液を用いた再生医療は、新たな治療法として注目を集めています。
神経疾患においては、神経細胞の生存率向上や神経回路の修復などの神経再生を促進し、機能回復に繋がる可能性が示唆されています。
成功事例は以下です。
脊髄損傷、脳梗塞、パーキンソン病などの患者に対する臨床試験が行われ、運動機能の改善や疼痛軽減などの効果が報告されています。
神経疾患以外にも、関節炎や糖尿病性潰瘍などの疾患において、炎症抑制効果や組織修復効果が認められています。
上清液の治療効果は、幅広い疾患に期待できる可能性を秘めています。
また、今後は、上清液の有効性をさらに高めるための研究も期待されています。
例えば、上清液に含まれる特定の成長因子やサイトカインの役割を解明し、より効果的な治療法を開発することが考えられます。
幹細胞培養上清液による再生医療は、幹細胞そのものを利用する治療と比較して、倫理的および技術的なハードルが比較的低いです。
そのため、より多くの患者さんに治療を提供できる可能性があります。
本治療を検討する意義はますます高くなるでしょう。
幹細胞培養上清液治療後にリハビリをする大きな理由
この記事では幹細胞培養上清液治療後にリハビリをする大きな理由について解説します。
幹細胞培養上清液治療は、損傷した組織の再生を促し、機能回復を期待できる治療として注目されています。
でも、本治療のみでは、十分な機能回復が得られるとは限りません。
そのため、治療効果を最大限に引き出し、より早い機能回復を目的として、リハビリは非常に重要です。
リハビリによる効果は以下の通りです。
損傷した神経回路を再構築し、機能回復のための刺激を与え、回復を早めます。
神経が損傷すると、それに支配されていた筋肉も萎縮したり、機能が低下したりします。
リハビリでは、これらの筋肉に適切な負荷がかかりますので、、筋力の回復を進め、運動機能の改善が期待できます。
また、同時に、関節や筋肉の硬直を防ぐため、関節の可動域を広げてスムーズな動作を取り戻すことができます。
これらの効果は、姿勢を安定することにもつながり、日常生活の向上が望めます。
また、リハビリは、損傷部位への血流を増加させるため、治癒のスピードを促進します。
痛みがある場合は、痛みの軽減にもつながるでしょう。以上より、患者さんの生活の質を向上させる重要な役割を担っています。
更に、これらの狙った神経回路の治る力(可塑性)を向上させるには、再生医療と同時のタイミングで狙った神経回路を刺激していくこと(特許取得済み)が有効であることが分かってきました。
まとめ
今回の記事では、神経再生を促す幹細胞培養上清液について解説しました。
これまでの医療では、高度に損傷した神経を蘇させることは非常に難しいです。
そのため、新たな治療法として、再生医療が注目されています。
狙った神経回路の治る力を高めるには、再生医療と同時のタイミングで狙った神経回路を刺激していくこと(特許取得済み)が有効であることが分かってきました。
原因となる疾患はさまざまありますが、神経組織が損傷する病態は同じなので、後遺症が残り日常生活が制限されます。
でも、神経組織を再生させると後遺症は軽減します。
そのため、再生医療には期待が持てます。
脳や脊髄の損傷に対して、「ニューロテック®」と呼ばれる「神経障害が治ることを当たり前にする取り組み」も盛んです。
脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
さらに、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「再生医療×同時リハビリ™」があります。
これらの治療法は、革新的な治療として将来的に期待が持てる治療となるでしょう。
よくあるご質問
- 幹細胞治療は保険適用になりますか?
- 保険適応となることがありますが、ほとんどの場合、保険適応にならず自由診療となります。
したがって、全額自己負担となります。
使用する幹細胞の種類や治療方法によって大きく異なりますが、高額になるのが一般的です。 - 幹細胞治療は即効性がありますか?
- 一概に回答はできません。
理由として、個々の患者の状態、治療対象となる疾患、使用される幹細胞の種類によって異なるからです。
通常は、幹細胞が体内で再生や修復を促進するには時間がかかるため、数週間から数ヶ月かけて効果が現れることが多いです。
<参照元>
日本再生医療臨床学会:https://japan-saisei.org/regenerative/supernatant/
同仁がん免疫研究所:https://dici.co.jp/stems/
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