<この記事を読んでわかること>
失語症のリハビリを退院後も継続したほうがよい理由がわかる。
外来・訪問・自費リハビリの違いと選び方がわかる。
家族が知っておきたい接し方やコミュニケーションの工夫がわかる。
脳卒中後の失語症では、退院後も継続したリハビリや周囲のサポートが重要です。「言語リハビリを続けてください」と言われても、外来・訪問・自費など選択肢が多く、どれを選べばよいのか迷う方も少なくありません。この記事では、失語症リハビリの基本や受けられる場所、家族が知っておきたい接し方の工夫、相談先の選び方について解説します。
失語症のリハビリテーションは退院後も続けたほうがよい?
失語症は、脳梗塞や脳挫傷などによって言葉を話す、理解する、考える機能が障害を受けて起こる状態です。
物事を考える力は保たれているものの、自分の考えを言葉にして伝えることができなくなることがあります。
話す・聞く・読む・書くなどの機能が障害を受けることもあります。
その結果、周囲とのコミュニケーションをとることが難しくなるケースも少なくありません。
失語症の改善のためには、リハビリテーションが欠かせません。
発症してから早期に集中的に行うことも大切ですが、発症してから長期間が経過しても訓練が有効だとする報告もあります。
そのため、失語症のリハビリテーションは退院後も継続することが重要です。
失語症のリハビリテーションはどこで受けられる?外来・訪問・自費の違い

失語症のリハビリテーションは、病院での外来、自宅に専門職が来る訪問、全額自己負担の自費(保険外)の3つに分けられます。
いずれの場合も、言語聴覚士による訓練(言語聴覚訓練)が重要であり、失語症の症状を改善させることがわかっています。
言語聴覚士は、話す・聞く・飲み込みを支援する専門職です。
失語症の方に対する言語聴覚訓練では、会話や挨拶をする、文字を書くなどのリハビリテーションが行われます。
外来でのリハビリテーションは総合病院やリハビリテーション病院、クリニックなどで行われます。
日本の医療制度では、脳卒中などと最初に診断された日から180日を限度として医療保険の適用となります。
ただし、状態によって扱いが異なる場合があるため、実際に継続できるかは主治医や医療機関に確認しましょう。
通院が困難な場合は、自宅にリハビリテーション専門職が訪問し、生活環境に合わせた訓練やコミュニケーションの練習を行います。
介護保険または医療保険が利用できる場合があります。
実際の生活の場で訓練できる強みがありますが、介護保険のケアプラン(介護サービス計画)に基づく場合には回数や時間に制限があります。
自費リハビリテーションは、保険制度の枠にとらわれず、全額自己負担で受けるサービスです。
この場合は全額自己負担になるため費用が高額になることもあります。
しかし、期間や回数の制限は原則としてないため、自分の目標や状態に合わせて集中的な訓練が可能です。
一般的には、外来や訪問といった保険適用のリハビリテーションを軸にします。
回数や期間が足りない場合や、より専門的な言語訓練を継続したい場合に自費リハビリテーションを追加で検討するのがよいでしょう。
利用を検討する際は、まずはかかりつけ医やケアマネジャーに相談してみましょう。
家族はどう接する?失語症のある方とのコミュニケーションの工夫
失語症では、会話や読み書きなどにさまざまな支障をきたします。
しかし、失語症になった方が自分で「失語症になった」と訴えるケースは多くありません。
理由としては、言葉に関する能力が低下したために状況を説明できないことや、そもそも失語症になっていると思っていないことなどが考えられます。
また、状況を認識できていないことなどもあります。
症状がどういったものなのかを判断するときには、もともとどれくらい話すタイプの人だったのかなども考慮する必要があります。
例えば、文字を書く機会が乏しかった人が失語症になった場合、見かけ上文字を書く能力が障害を強く受けているように見えることもあります。
こうした背景を理解しながら、症状の有無や重症度を判断しつつ、コミュニケーションをとることが大切です。
また、失語症の方は「言いたいことがあるのに伝えられない」という強いもどかしさを抱えていることがあります。
そのため、会話中に怒りっぽく見えたり、黙り込んでしまったりすることもありますが、本人の性格だけの問題とは限りません。
家族が失語症の方と接するときには、短い言葉でゆっくり話すことが大切です。
また、一度にたくさん質問しない、返答を急かさないなどの工夫が役立つこともあります。
はい・いいえで答えられる形にしたり、ジェスチャーや文字を書いて補ったりする方法もあります。
反対に、「どうして伝わらないの?」「ちゃんと話して」などと繰り返し伝えると、本人が強いストレスを感じる場合があります。
また、家族が先回りしてすべて代弁してしまうと、自分で伝える機会が減ってしまうこともあります。
失語症のリハビリテーションでは、正しく話すことだけではなく、「伝わった」「会話できた」という成功体験を積み重ねることも重要です。
家族だけで抱え込まず、言語聴覚士や医療・介護スタッフに相談しながら、その人に合ったコミュニケーション方法を探していきましょう。
まとめ
失語症では、話す・聞く・読む・書くといった言葉の機能に影響が生じるため、退院後の生活でも継続的な支援が重要となります。
リハビリテーションには外来・訪問・自費など複数の選択肢があり、生活状況や本人の状態に合わせて組み合わせることが大切です。
また、家族の接し方によって、本人の安心感やコミュニケーションのしやすさが変わることもあります。
「うまく話せること」だけを目標にするのではなく、本人の思いをくみ取りながら、無理なく続けられる関わり方を考えていくことが重要です。
近年では、脳卒中後の機能回復に対する再生医療の研究も進められています。
ただし、現時点では失語症に対する治療効果について十分な科学的根拠が確立しているわけではありません。
まずは標準的なリハビリテーションを継続しながら、必要に応じて主治医へ相談することが大切です。
困ったときには、かかりつけ医、言語聴覚士、ケアマネジャー、地域包括支援センターなどに早めに相談し、一人で抱え込まないようにしましょう。
よくあるご質問
- 失語症のリハビリはどれくらい続ける必要がありますか?
- 回復の経過には個人差がありますが、退院後も生活の中で言葉を使う機会を維持することが重要です。状態に応じて、外来や訪問リハビリを組み合わせながら継続していきます。
- 家族が会話するときに気をつけることはありますか?
- なぜ分からないのかと強い言葉をかけたり、急かしたり、何度も言い直しを求めたりすると、本人が強いストレスを感じる場合があります。短い言葉でゆっくり話し、返答を待つ姿勢を意識することが大切です。
(1)意思疎通支援|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sanka/shien.html
(2)失語症のみかた|高次脳機能障害.2020;40(2):194-198.p195https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/40/2/40_194/_pdf/-char/ja
(3)脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕 p286https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2025_kaiteikoumoku.pdf
(4)リハビリテーション 通則 | 今日の臨床サポートhttps://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_7/ika_2_7.html
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幹細胞とは様々な臓器や組織になることが可能な細胞です。そのため、幹細胞移植により、損傷を受けた神経の再生・修復が可能となり失語症の改善が期待できます。具体的には、言語理解の向上、表出言語や構音障害の改善などの効果が報告されています。現段階では確立された治療法とは言えませんが期待がもてる治療法です。
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