骨髄由来の幹細点滴を用いた治療が検討される疾患
脳の外傷
脳の外傷は、交通事故や高所からの落下などによって頭部が強い衝撃を受け、頭蓋骨を越えて脳組織自体がダメージを受けた状態のことです。
この際、脳は頭蓋骨内で激しく揺られ、頭蓋骨に強く衝突し、衝撃のあった部位のみならず、反対側にある脳組織も傷害を受けることがあります。
損傷の場所に応じて、次のような症状があらわれる可能性があります。
おう吐
意識障害
けいれん
麻痺
視野欠損
深刻な場合には、昏睡状態に陥ることもあるため、注意が必要です。
また、治療を受けたあとでも、運動機能障害や視覚障害などの後遺症が残る場合があるため、迅速な医療対応と治療が求められます。
認知症
認知症は、物忘れ(記憶障害)や認知能力の衰えが特徴的な病気です。
何らかの原因で脳内の神経細胞が機能停止することによって発生します。
日常生活にさまざまな困難を引き起こすこともあり、典型的な症状は、次のとおりです。
- 直近の出来事が思い出せない
- 現在の場所の認識ができない
- 知人の顔や名前が思い出せない
- 突然の怒りや攻撃的な行動
発症する要因には、老化・ストレス・病気などがあります。
脳炎
脳炎は脳内の炎症を引き起こす疾患で、おもにウイルスや細菌の感染によって引き起こされます。
これらの感染源が脳に侵入することで感染性の脳炎が発生するのが一般的です。
個人の免疫システムが正常に機能しない場合は、自己の組織に対して攻撃を仕掛けることで自己免疫性脳炎などの炎症が生じます。
脳炎は、次のような症状を引き起こします。
頭痛
発熱
おう吐
麻痺
けいれん
意識障害
治療を受けたあとでも、長期的な影響に苦しむことや、数年が経過したあとに脳の損傷が発生する可能性もあるため、注意が必要な病気です。
脳腫瘍
脳内に形成される異常な塊を一般に脳腫瘍と称し、脳内の任意の場所で生じます。
脳腫瘍には、次の2つタイプが存在します。
- 脳自体で発生する「原発性脳腫瘍」
- 他の身体部位から脳に転移する「転移性脳腫瘍」
2つの脳腫瘍には、発生源や症状に応じた治療が必要です。
腫瘍の発生位置や成長により、頭部内の圧力が増加し、脳への圧迫が進行します。
これが原因で、頭痛・おう吐・意識の問題など、あらわれる症状はさまざまです。
さらに、言語障害・性格の変化・視野の障害・読み書きや計算の困難・意識障害・手足のしびれ・感覚異常などもあらわれることがあります。
脳腫瘍がなぜ発生するのかについては、現在も多くが明らかになっていない状況です
頸椎症
頚椎症は、首に位置する椎間板と呼ばれる、骨同士の間にあるクッションのような組織が、圧迫されたり、裂け目が生じることで発症します。
年齢を重ねることで椎間板の水分を失い、弾力性が低下するのが原因です。
その結果、脊髄や神経が圧迫されるか、または神経の通路である脊柱管が狭くなり、さまざまな症状を引き起こします。
症状が進行するにつれ、椎骨の端が変形したり、靭帯が厚く硬くなることもあり、神経の圧迫がさらに悪化する場合があります。
代表的な症状は、首の痛み・しびれ・肩こり・脱力感などです。
症状の悪化により、麻痺を引き起こすこともあります。
腰椎症
腰椎症は、腰痛を引き起こす病気です。腰部の脊椎は、上半身の重さを支える役割を担っているため、つねに大きな負荷がかかります。
痛みの背景には、椎間板の突出や脊柱管の狭窄など、さまざまな原因があり、脊椎の形状の変化や変性によって生じます。
状態が悪化すると、足のしびれ・麻痺・排尿や排便の障害などを生じるのが特徴です。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは、腰痛を引き起こす原因のなかで、多くの割合を占めています。
年齢に伴う水分の減少や、重いものを持ち上げるなどの外部からの圧力によって、椎間板が突出し、神経が圧迫されて発生します。
腰から足にかけての強い痛みやしびれといった症状を引き起こすのが特徴です。
状況が悪化すると、椎間板がさらに外に飛び出し、神経を強く圧迫し、下肢の麻痺・排尿や排便の障害が生じることもあります。
多くの場合自然に治ることもあるため、まずは保存的な治療法が選択されますが、症状が改善しない場合には、椎間板を除去する手術が行われます。
脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症は、脊柱内を走る神経の通路である脊柱管が狭くなる病気です。
年齢の増加に伴う背骨や靭帯の肥大、椎間板の突出などによる圧排が原因です。
おもに臀部から足にかけての痛みやしびれを引き起こします。
しかし、体を前に傾けると症状が軽減するのが、典型的な特徴です。
まれに、排尿や排便に障害が生じることもあり、このような症状があらわれた場合には、外科的治療が必要となる場合があります。
脊椎分離症
脊椎分離症は、背骨の一部が疲労による骨折で分離する状態のことです。
この症状は、成長期にある若者が、スポーツなどによる過剰なストレスを背骨に受けた際に、多く見られます。
自然治癒するケースもありますが、分離した骨が自然に戻ることはほとんどありません。
おもな症状は腰の痛みであり、休息を取ることで痛みが和らぐこともあります。
しかし、適切な治療を速やかに受けることが重要です。
脊椎すべり症
脊椎すべり症は、腰椎部分が前方へ滑り出ることで腰痛を引き起こす病気です。
通常、椎骨が位置を変えることは少ないですが、椎間関節や椎間板の損傷により発症します。
さらに、背骨の先天的な発育不全、腰椎の疲労骨折、腰椎の形状やアーチの角度に問題がある場合にも発症しやすくなります。
おもな症状は、腰の痛み・下肢への痛み・しびれなどです。
悪化すると、日常生活に影響を及ぼすこともあります。
側湾症
側弯症は、脊柱が左右に曲がったり、ねじれたりする状態のことです。
おもな症状は、左右で異なる肩の高さ、肩甲骨の顕著な突出、腰の高さの不一致、肋骨や腰部の隆起などがあります。
病気が進行するにつれて、背中や腰の痛み、さらには心肺機能に障害が生じることもあります。
日本における側弯症の発症率は約1〜2%とされ、小児期に多いのが特徴です。
原因の大半は特定できませんが、脊柱の先天的な異常、神経や筋肉の問題が原因で起こる場合もあります。
脊椎骨折(椎体の圧迫骨折など)
脊椎骨折は、骨粗鬆症が根本的な原因になります。
骨粗鬆症とは、骨の密度が減少し、骨が折れやすくなる状態のことです。
この状態は、骨がもろくなっており、わずかな衝撃でも脊椎がつぶれることがあります。
おもな症状は、背中や腰に激しい痛みを感じることが多いです。
さらに、骨折が神経を押す場合、しびれ・痛み・下肢の麻痺といった、深刻な後遺症が生じる可能性があります。
脊椎・脊髄腫瘍
脊椎および脊髄腫瘍は、脊柱を形成する骨、脊髄、神経などに起こる腫瘍の総称です。
発生場所に応じてさまざまな名称があり、治療方法も異なります。
おもな症状は、首・背中・腰の痛みです。
腫瘍が進行すると、歩行に障害が出たり、腕の動きが制限されたり、感覚に異常を感じたりすることもあります。
また、腫瘍が悪性である場合や、腫瘍内部で出血がある場合には、症状が急激に悪化することもあります。
脊椎の手術後
脊髄や神経根に持続的な圧迫がある場合、原因を除去するために手術を実施することがあります。
この手術の目的は、腫瘍・靱帯・椎間板ヘルニアなどを取り除き、神経機能を回復させることです。
失われた神経機能の場合、改善を期待することは難しい場合があります。
しかし、神経が一部分しか影響を受けていない場合には、手術を通じて機能回復が見込まれます。
ただし、治療後の完全な回復は必ずしも保証されません。
年齢や障害の程度によって、回復状態は変わります。
特に、しびれなどの症状は残ることが多く、リハビリテーションを通して徐々に改善を目指すことになります。
歩行障害
歩行障害には、以下のような自覚症状があります。
- 小さな歩幅で頻繁に足を動かす(小刻み歩行)
- 前方への不意な進み出し(突進現象)
- 階段を上がる下る際の不安定さやふらつき(歩調不安定)
- 足を引きずる、足に力が入らない
上記の状態は、筋力の衰えや骨折、脳の血管障害、脊髄や神経系の問題など、さまざまな原因によって引き起こされます。
治療には、医療機関での適切な診断と治療が必要であり、筋力の強化や運動機能の改善を目指した歩行訓練が重要です。
膀胱直腸障害
膀胱直腸障害は、膀胱や直腸の機能障害により、排尿や排便を意のままに制御できなくなる病気です。
神経系の損傷と密接に関連しており、交通事故などで脊髄が損傷を受けた場合に発生することがあります。
この疾患によって、以下の症状があらわれます。
- 自らの意志で排泄を停止できない
- 排泄が困難
- 尿意を感じない
しかし、原因は脊髄だけに限らず、年齢の影響や膀胱・尿道・括約筋の問題などさまざまであり、適切な診断と治療のために医療機関での受診が推奨されます。
尿失禁
尿失禁は、個人が排尿を意図的に制御する能力を失う状態です。
この症状では、意図せず尿が漏れ出ることがあります。
排尿に関する問題は尿失禁に限らず、以下のような症状があります。
- 頻繁にトイレに行く必要がある
- 排尿時に痛みを感じる
- 排尿が困難になる
- 排尿後も尿が残っている感覚がある
- つねに尿意を感じるか、逆に尿意を全く感じない
尿失禁の原因や具体的な症状はさまざまであり、それぞれの状態に適した治療を受けることが重要です。
いつでも気兼ねなくご相談ください
ご納得して治療を受けていただけるよう、治療前には副作用やリスクなどもしっかりご説明させていただいております。
不安や疑問があれば、遠慮なくお申し出ください。