脳や脊髄がダメージを受けると、その部分の機能は二度と機能は戻らないとされていました。
しかし最近の研究では、ダメージを受けたあと早期に効果的なリハビリテーションを行うことにより、機能が回復したり、ダメージを受けていない部分がほかの機能を補ってくれることがわかってきました。
当院では、脳卒中や脊髄損傷といった神経障害に対して、科学的根拠に基づいたリハビリテーションを積極的に行い、自己治癒力を高めることで、ダメージを受けた神経回路の再生を促しています。
さらに「骨髄由来幹細胞点滴」や「臍帯由来サイトカインカクテル」といった神経機能強化型再生医療をリハビリテーションと組み合わせることで、後遺症の改善により高い効果が期待できると考えております。
後遺症が起こるのはなぜなのか?
人間は脳からの指令を神経を通して筋肉に伝えることで、手足を動かしています。
脳卒中や脊髄損傷で脳や神経がダメージを受けると、この脳から筋肉への命令が難しくなり、手足が使いにくくなるといった症状が現れます。
特に脳がダメージを受けると手足への指令障害だけでなく、失語症や注意障害といった高次脳機能障害が生じ、日常生活に支障をきたすこともあります。
脳や神経は回復するのか?
脳や脊髄がダメージを受けると、機能は二度と回復しないと考えられてきました。
しかし、脳科学と再生医療の発展から、「間葉系幹細胞」がダメージを受けた脳や神経の再生に効果があることがわかってきました。
また最新の研究では、再生医療とリハビリテーションを組み合わせることで、脳や神経の再生効果が増大することも明らかになってきています。
当院では、脳卒中や脊髄損傷の後遺症の改善を目指して、再生医療と脳科学に特化したリハビリテーションを組み合わせた治療を提案しております。
再生医療で神経や脳が修復されたとしても、手足を動かすためにはリハビリテーションが欠かせません。
修復されたばかりの神経は細く、情報伝達の速度が遅いです。
そのため、リハビリテーションにより神経をより太く強固にすることで、神経伝達を速くし、手足をスムーズに動かすといった機能の改善を目指します。
当院の再生医療リハビリテーション
当院では、再生医療と先進的なリハビリテーションを組み合わせた新しい治療法「リニューロ®」を実施しております。
この治療法は「骨髄由来幹細胞点滴」の点滴投与、「臍帯由来サイトカインカクテル療法」による神経機能強化型再生医療と、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激)治療、PMS(末梢神経磁気刺激療法)、ショックウェーブⓇ(痙性抑制効果など)、川平法Ⓡ(促通反復療法)、ロボット療法によるリハビリテーションを組み合わせた治療です。
この治療により幹細胞の神経細胞再生能力効果がより高まり、運動機能の回復が目指せるため、当院では再生医療リハビリテーションをおすすめしております。
川平法Ⓡ(促通反復療法)とは
脳科学の進歩により、「麻痺した手足を繰り返し動かせば、脳のダメージを受けていない部分がほかの機能を補うようになり、麻痺を改善できる」ことが明らかになりました。
この発見により、現在はリハビリテーションで手足を繰り返し動かし麻痺の改善を図る「川平法Ⓡ(促通反復療法)」が注目されています。
当院では反復運動療法によるリハビリテーションを「骨髄由来幹細胞点滴」の点滴投与中や「臍帯由来サイトカインカクテル療法」の直後に実施しています。
骨髄由来幹細胞点滴投与中のリハビリテーション
骨髄由来幹細胞点滴3回コースをお申し込みの患者様に実施させていただいております。
患者様の状態により、実施しない場合もございます。
臍帯由来サイトカインカクテル療法直後のリハビリテーション
こちらはご自宅での投与になりますので、可能な範囲でご自宅でリハビリテーションを継続する、あるいは提携施設でのリハビリテーションを提案させていただいております。
詳しくはスタッフにお尋ねください。
促通反復療法とは、麻痺した手足を操作(促通)して意図した通りの運動を繰り返すことによって、必要な神経回路の再建・強化を図る運動療法です。
鹿児島大学名誉教授の川平和美医師が考案した方法で、「川平法Ⓡ」とも呼ばれています。
患者様の意図した運動を治療者がタイミングよく補助し、随意運動を実現します。
1つの治療部位に対して100回を目標に反復させるのが特徴です。
反復運動といくつかの促通手技を併用して、より効果的に神経回路の強化を図ります。
【反復運動療法のポイント】
1.健側のトレーニングも行いましょう
健側や体幹の筋力が弱くなると、安定した姿勢が保てなくなり、患側の回復が遅くなります。
そのため、患側のトレーニングだけでなく、健側のトレーニングも並行して行いましょう。
2.治療は中枢から末端の順で行います
治療は原則中枢から末端に向かって進めていきます。
例えば上肢なら、
肩 | 肘 | 手首 | 指 |
の順番、下肢の場合は、
股関節 | 足関節 | 指 |
の順番です。
実際の治療では、患者様の状態(脳の活性や集中力など)に合わせて治療の順番を決めていきます。
TMS治療(経頭蓋磁気刺激治療)
TMS(Transcranial Magnetic Stimulation)とは、大脳に磁気刺激を与える装置を用いる治療法です。
磁気刺激により脳の活動性を変化させることで、大脳の機能を最大限に発揮させることが目的です。
その中でも慢性期の脳卒中後の上肢麻痺に対して、繰り返し磁気刺激を与えて麻痺の改善を目指す治療法を「rTMS(反復経頭蓋磁気刺激)治療」といい、有用性が多く報告されています。
TMS治療は、脳損傷部の血流を増やし脳の回復を促すため、リハビリテーション前に行うと効果的です。
TMS治療により患側の血流も増えるため、再生医療と併用することでさらなる治療効果が期待できます。
当院では再生医療リハビリテーションとともに、rTMS治療を行うことにより、脳の回復を促す効果が高まると考え、実施を推奨しています。
rTMS治療の効果
- 麻痺の改善(特に上肢麻痺)
- 痛みの軽減
- 失語症の改善
- 嚥下障害の改善
※rTMS治療とリハビリテーションを組み合わせた効果であり、rTMS治療だけでは効果はありません。
rTMS治療の方法
TMS治療は、座った状態で刺激装置を頭の皮膚の上から当てて行います。
体に傷あとが残ったり、痛みを伴ったりすることはありません。
rTMS治療の副作用
- 聴力低下
- 脳波への影響
- 痙攣発作の誘発(発作は0.1%以下とごくまれ)
- 失神
- 局所痛
- 頭痛
- 不快感
- 急性精神反応 など
磁気刺激は日本で使われ始めて30年近くですが、多くの施設で使用され、おおむね安全であるとの評価が定まっています。
rTMS治療の適応基準
- 麻痺側上肢が不全麻痺である(少なくとも手指の能動的屈曲が十分に可能である)
- 年齢が18〜90歳である
- 発症から治療までの期間が1年以上である
- 活動性の全身疾患もしくは精神疾患に罹患していない
- 少なくとも過去1年間において痙攣発作の既往がない
- 脳波検査でてんかん波などの異常波の出現を認めない
- Washermanの提唱したガイドラインに挙げられている禁忌項目(頭蓋内金属や心臓ペースメーカーの存在など)がない
rTMS治療の適応外条件
刺激の近接部位に金属を有する場合(頭蓋内金属の存在、人工内耳、心臓ペースメーカー、DBSなどの体内刺激装置、投薬ポンプなど)
痙攣のリスクが高い場合(重篤な心疾患患者、妊婦など)
出典:磁気刺激法に関する委員会報告、臨床神経生理学30、265-271、2002
ロボット療法
ロボット療法とは、患者様の筋肉を動かそうとする微弱な電気信号をロボットがキャッチして補助することにより、正しい動作を引き出す治療法です。
ロボット療法を行うと、脳や神経系へ正しい運動学習を促せるため、運動機能の改善が期待できます。
治療の中で徐々にロボットのアシストを減らし、最終的にロボットの補助なしで自分で手足が動かせるようになることが目標です。
最初は自分で筋肉を動かそうとする電気信号を出せなくても、この治療で訓練を繰り返すことにより、電気信号を出せるようになる患者様もおられます。
なお、当院のロボットは、サイバーダイン社の「HAL®単関節タイプ」を採用しています。
【HAL®とは】
HAL®(Hybrid Assistive Limb®)はCYBERDYNE株式会社が開発した、身体機能を改善・補助・拡張・再生できる装着型サイボーグです。
その中でも「HAL®単関節タイプ」は、腕や足など関節の集中トレーニングに特化しています。
HAL®は、装着者の「生体電位信号」を皮膚に貼ったセンサーで検出し、意思に沿った動作を実現します。
再生医療リハビリテーションのスケジュール例
脳梗塞/発症1年 高次脳障害、右片麻痺(50代男性)
再生医療 | 骨髄幹細胞点滴を1クール(3回投与) |
---|---|
臍帯由来サイトカインカクテル療法 | |
リハビリテーション | 反復運動療法による幹細胞点滴中 リハビリテーションを院内で1.5時間 |
自主リハビリテーション、通所リハビリテーション | |
その他 | TMS治療 |
自HAL®単関節タイプによるロボット療法 |
※幹細胞点滴中リハビリテーションは、提携しているリハビリテーション専門施設の理学療法士が実施
再生医療リハビリテーションを行った結果、3か月後には「腕が上がるようになった」「装具を外して歩けるようになった」「家族との会話がしやすくなった」などの変化が見られました。
※こちらの再生医療リハビリテーションは、あくまでも一例です。再生医療、リハビリテーションの効果には個人差があります。
その他の治療方法
ニューロテック®と組み合わせることの多い治療について、ご説明いたします。
- ショックウェーブ治療(体外衝撃波治療)
- ボトックス(ボツリヌス)治療
- 低周波治療(電気刺激療法)
- 装具療法
ショックウェーブ治療(体外衝撃波治療)とは
ショックウェーブ治療(体外衝撃波治療|ESWT)は、運動器疾患やスポーツ障害の治療において有効な物理療法です。
この治療法は、衝撃波の物理的な特性を利用して、様々な生物学的効果を体内で引き起こし、治療効果を得るものです。
当初、ショックウェーブ治療は尿路系結石の砕石治療法として使用されていましたが、その過程で骨肥厚や軟部組織の治癒促進が観察され、これが整形外科領域でも注目されるようになりました。
当院では、この治療法の特徴を活かし、脳卒中や脊髄損傷のあとに起こりがちな痙性麻痺(痙縮)※に対してもショックウェーブ治療を行っています。
※痙性麻痺(痙縮)
脳や脊髄にある病気によって、体が「筋肉を緊張させる指令」と「筋肉をリラックスさせる指令」を適切にコントロールできなくなることです。
通常、私たちがスムーズに動くためには、脳と脊髄から送られるこれら二つの指令が、ちょうど良いバランスで筋肉に伝えられる必要があります。
筋肉を緊張させる指令は、活動時に筋肉を使うために必要です。一方、筋肉をリラックスさせる指令は、休息時や動作の切り替え時に筋肉をリラックスさせるために必要です。
痙縮を持つ人では、この二つの指令のバランスが崩れてしまい、特に「筋肉をリラックスさせる指令」の伝達がうまくいかなくなります。
その結果、意図せず筋肉が緊張し続けてしまい、関節が固くなるなどの症状が現れるのです。この不均衡は、筋肉の過剰な緊張や動きにくさといった問題を引き起こし、日常生活に影響を及ぼす可能性があります。
痙性麻痺(痙縮)へのショックウェーブ治療の効果
痙性麻痺(痙縮)の症状に対して行う、ショックウェーブ治療の効果は、痙性麻痺(痙縮)が出ている部位に衝撃波を当てることで、筋肉をリラックスさせ、動かしやすくすることです。
これにより、狙った神経回路を興奮しやすくして、随意的に反復運動をおこなうことで、神経回路の再教育をおこない神経回路を太くすることが出来ます。
結果として、リハビリテーションをより効果的に進められます。
この治療法は、海外の研究で効果が認められており、国内でも2021年の脳卒中治療のガイドラインに掲載されるなど、認知度が上がってきた治療法です。
脳卒中や脊髄損傷後のリハビリテーションにおいて有効な選択肢の1つとなっています。
ショックウェーブ治療の禁忌
衝撃波の種類やエネルギーによって、禁忌事項が異なります。
radial(拡散型)とlow energy focused(低エネルギー集束型)衝撃波については、照射領域内に悪性腫瘍や胎児がいる場合のみ禁忌です。
高エネルギー集束型(high energy focused)の衝撃波に関しては、肺、脳脊髄組織、骨端線が照射領域内にある場合に禁忌とされています。
運動器(筋肉や骨など)に作用させるために用いられる衝撃波のエネルギー量は、泌尿器領域での砕石治療に使われていたエネルギーよりもかなり低いです。
集束型の「low/med energy」の範囲に分類されるため、多くの場合で、安全に使用できます。
ボトックス(ボツリヌス)治療とは
ボトックス治療とは、ボツリヌス菌が作り出した天然のタンパク質(ボツリヌストキシン)を成分とする薬を筋肉内に注射し、筋肉の緊張を和らげる治療です。
脳卒中や脊髄損傷を起こすと、筋肉の緊張が強くなり手足を動かしにくくなる傾向があるため、ボトックス治療により筋肉を緊張させている神経の働きを抑え、手足を動かしやすくします。
ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないため、感染することはありません。
ボトックス治療の効果
- 筋肉が柔らかくなるため、動かしやすくなる
- 痛みが軽減する
- リハビリテーションがしやすくなる
- 関節が固まり、動きづらくなるのを予防する
- 関節の変形を予防する
- 介護の負担を軽くする
※ボトックス治療を行ったあと、リハビリテーションを組み合わせることで効果が期待できます。
ボトックス治療の方法とスケジュール
治療は筋肉注射で行い、目標とする筋肉数か所に、薬液を1回15〜30分かけて投与します。
注射後2〜3日目から効果が現れる方から、実感するまでに2週間程度かかる方までさまざまです。
持続期間は通常3〜4か月で、その後数週間かけてゆっくりと消えていきます。
治療を続けるには、年に数回の注射が必要です。
しかし、効果の発現や持続期間は個人差があるため、患者様の状態やご希望を考慮しながら、最適な治療スケジュールをご提案いたします。
ボトックス治療の副作用
おもな副作用は以下のとおりです。
- 注射部位が腫れる
- 体がだるくなる
- 頭が痛くなる
副作用は多くが一時的なものですが、症状が現れた場合には医師にご相談ください。
PMS(末梢性磁気刺激療法)とは
末梢神経磁気刺激(peripheral magnetic stimulation:PMS)は、刺激用のコイルから強力なパルス状の磁場を瞬時に発生させ、その磁場が体内に電流を生じさせます。
この電流が神経や筋肉に作用し、細胞を活性化させることで、治療効果をもたらします。
PMSの特徴は、電気刺激と異なり、皮膚の痛みを感じる受容器を直接刺激しないため、治療中の痛みが少ない点です。
さらに、刺激用のコイルを直接皮膚に触れさせる必要がないため、衣服を着たままで治療を受けることができます。
PMSのメリット・デメリット
PMSのメリットとデメリットを以下の表にまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
疼痛が少ないため、 より強い刺激が可能 |
機器が大型であり、 特定の小範囲への刺激が難しい |
電極貼付の必要がなく、 皮膚への直接触れないため感染対策が容易 |
コイルが発熱し、 長時間の刺激には適さない |
衣服の上から刺激が可能 | 浅い神経や筋への 選択的な刺激が難しい |
これらのメリットとデメリットを考慮し、患者様の状態やニーズに合った方法で治療を行います。
PMSの禁忌
PMSには、特定の状況下での使用が推奨されない禁忌が存在します。
- 心臓ペースメーカーの使用
PMSは強力な磁場を生成します。この磁場が心臓ペースメーカーに干渉し、その機能に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、心臓ペースメーカーを挿入している患者さんは、PMS治療を受けることができません。 - 体内に取り外し不可能な磁性体がある場合
刺激部位の近くに金属やその他の磁性体が埋め込まれている場合、PMSによる磁場がこれらの物質に影響を与え、危険な状況を引き起こす可能性があります。 - 体内金属の存在
体内に金属が存在する場合でも、MRI撮影が可能であれば、PMSを使用することが可能な場合があります。
これは、MRIが強力な磁場を使用するため、その金属がMRI撮影に耐えられるならば、PMSによる磁場にも耐えうると考えられるためです。 - てんかんの既往がある場合や妊娠中
これらの状態は、PMS使用の相対禁忌とされています。
つまり、使用する場合には特に注意が必要であり、医師の厳格な判断が求められます。
上記に当てはまる方は、治療前に医師と相談してください。
低周波治療(電気刺激療法)とは
低周波治療(電気刺激療法)とは、麻痺している筋肉に微弱な電気(低周波)を流して筋肉の収縮を補助することで、筋力強化を図ります。
自分で動かせる手足の可動域を増やし、関節が固まるのを予防する治療法です。
麻痺により関節が十分に動かせない場合、関節が変形する・痛みの原因になるなど、日常生活に支障をきたします。
低周波治療とリハビリテーションを組み合わせると、脳が手足の動きを再学習するため、運動機能の改善が期待できます。
低周波治療の効果
- 手足の可動域が広がる
- 脳が手足の動きを再学習する
- 筋肉が柔らかくなるため、動かしやすくなる
- 痛みが軽減する
- リハビリテーションがしやすくなる
- 関節が固まり、動きづらくなるのを予防する
※低周波治療とリハビリテーションを組み合わせて行うことで、さらなる効果が期待できます。
低周波治療の方法とスケジュール
麻痺患側の筋肉に、全可動域を自分で動かせる程度の電気を流しながら、リハビリテーションを行います。
患者様の疾患や状態、施行する部位によって異なりますが、時間は5〜30分程度です。
低周波治療の効果は施術直後にみられる場合もありますが、一般的には2〜3日目から現れます。
自分で手足を動かせる範囲が広がれば、その効果は消えずに長期的に持続します。
しかし、積極的に動かさないとその範囲は徐々に狭まり消えていくため、継続的なリハビリテーションが必要です。
ただし、効果には個人差があるため、医師と相談しながら治療計画を立てていきます。
低周波治療の安全性
低周波治療は、家庭でも一般的に肩こりや腰痛改善に利用されている安全な治療法です。
当院では筋出力の程度で20〜50Hz、パルス幅50〜250μsecの微弱な電気を流し、リハビリテーションと併用します。
皮膚や筋肉に痛みを感じるといった場合は、適宜設定を変更したり、中周波による干渉波を利用したりするなど、患者様の状態に応じてその都度対応いたします。
低周波治療の副作用
- パッドを貼ったところが腫れる
- パットを貼ったところがかゆくなる
- 痛みやしびれを感じる
- 筋緊張を強く感じる
副作用は多くが一時的なものですが、症状が現れた場合には医師にご相談ください。
低周波治療の適応外条件
- 心臓ペースメーカーを埋め込んでいる患者様、または重篤な心疾患のある患者様
- 体内金属
- 筋収縮が禁じられる病態(静脈血栓、術後など)
- 皮膚状態が悪い
- 悪性腫瘍
装具療法とは
装具療法とは、手や足に装具を装着して、病気やけがをした部分を保護したり、動きをサポートしたりする治療法です。
ほかにも、歩行獲得を目指すといった運動学習を促す目的で使用することもあります。
装具を使うと支える力が低下していても荷重でき、その情報が脊髄を通して脳に伝わることで、麻痺した手足の機能回復が期待できます。
装具にはバランサー、ダイナミックスプリント、長下肢装具、短下肢装具などがあり、それぞれ詳しくご説明いたします。
バランサー
バランサーは腕の動きをサポートする装具です。
スプリングの張力を利用して腕の重さを限りなくゼロに近づけ、わずかな力でも自分の腕を動かせるようになります。
使用者の麻痺の重症度に応じて、スプリングの張力を調整できます。
ダイナミックスプリント
ダイナミックスプリントは手指の動きをサポートする装具です。
バランサーと同様にスプリングの張力を利用することで、わずかな力で手指を動かせるようになります。
スプリングの張力は調整が可能なため、麻痺の改善に合わせて調整を行います。
長下肢装具
長下肢装具は膝関節と足関節の動きをサポートする装具で、太ももから足底にかけて装着します。
モーメントアームが長いので、患側への荷重も可能です。
座位が安定してくると、重度の麻痺があっても長下肢装具を使用して立位や歩行訓練が行えます。
体全体の感覚統合を図れるようになりますが、膝関節が固定され立ち上がり動作が難しくなるため、動作時の各関節の感覚統合は困難になります。
短下肢装具
短下肢装具は、足関節の動きをサポートする下腿部から足部までの装具です。
立位や歩行時に膝折れが生じなくなってきたら使用します。
使用者の状況に応じて各部位の各種調整をし、立位や歩行の難易度調整を行います。