<この記事を読んでわかること>
尿失禁や排尿困難が生活に与える心理的・社会的負担
日常生活での工夫:定期的排尿スケジュールの導入
補助器具や福祉サービスの活用方法
神経因性膀胱排尿障害は、尿失禁、頻尿、排尿困難などの症状が起こるため、日常生活に障害を与えます。
これらの症状は、社会生活や睡眠の妨げとなるばかりでは無く、精神的ストレスも増加させます。
対応法としては、定期的な排尿スケジュール、自己導尿の習得、適切な水分摂取管理に加え、骨盤底筋体操や薬物療法があります。
尿失禁や排尿困難が生活に与える心理的・社会的負担
この記事では尿失禁や排尿困難が生活に与える心理的・社会的負担について解説します。
これらの症状は、直接生命に関わることは少ないですが、日常生活の質を著しく低下させる要因となります。
まず、心理的影響です。
尿失禁や排尿困難は、本人がコントロールできない症状であり、加えて、周囲に知られることを恐れる羞恥心や不安感を経験することがあります。
これにより、自己肯定感が低下し、自信を失ってしまうことがあります。
重症化すると、人と人との接触を避けるようになり、精神的な安定性を欠くばかりではなく、社会的孤立を招く可能性があります。
次に、社会生活への影響です。
尿失禁の不安から外出した場合、トイレの場所を常に気にしたり、公共交通機関の利用を控えるようになったりするため、外出回数や外出時間が減少する可能性があります。
そのため、外出での活動範囲が縮小されます。
結果、他者との交流機会が減少し、さらなる社会的孤立を招く可能性があります。
日常生活での工夫:定期的排尿スケジュールの導入
この記事では、日常生活での工夫:定期的排尿スケジュールの導入について解説します。
定期的排尿スケジュールの導入は、尿失禁や排尿困難に悩む方にとって有効な日常生活の工夫の一つです。
定期的排尿スケジュールの取り組みを始める際には、まず、現在の排尿パターンを把握することが重要です。
1日の尿量や排尿回数、尿失禁が起こりやすい時間帯などを記録します。
この記録を基に、自分に合った排尿スケジュールを作成します。
次に、尿意の有無に関わらず、決められた時間にトイレに行くことが重要です。
最初は、1時間〜2時間間隔でトイレに行くなど、短い間隔でトイレに行きましょう。
徐々に、間隔を長くしていくことで、膀胱の容量を増やし、尿意を我慢できる時間を長くすることができます。
ただし、効果は個人差があるので、改善を実感できるまでに時間がかかることがあります。
また、排尿トレーニングを導入する上での注意点があります。
排尿時間を自ら設定しているとはいえ、尿意を感じたら我慢せずにトイレに行きましょう。
無理に我慢することにより、膀胱が過敏になったり、尿失禁を悪化させたりすることがあり、逆効果になります。
補助器具や福祉サービスの活用方法
この記事では補助器具や福祉サービスの活用方法について解説します。
神経因性膀胱は、排尿に関する様々な問題を起こし、日常生活に大きな影響を与えます。
しかしながら、適切な補助器具や福祉サービスを利用することで、生活の改善が望めます。
まずは、補助器具の活用です。
補助器具は、尿漏れ対策や排尿を促すことを目的として利用されます。
代表的なものは以下です。
尿漏れを吸収し、衣類を汚すのを防止する、吸水パッドや失禁パンツ。
吸水パッドよりも吸収量が多いので、長時間使用に適している尿漏れパッド。
寝たきりの方や夜間の尿漏れ対策に有効で、尿を溜めておくための容器である集尿器。
尿道に挿入し、尿を排出する医療器具であるカテーテル。
その他、骨盤底筋を鍛えて、尿漏れの改善に役立つ、骨盤底筋トレーニング器具などがあります。
次に、福祉サービスの利用です。
具体的には、身体介護や家事援助など、日常生活のサポートを受けることができる訪問介護、日中の時間を施設で過ごし、食事、入浴、レクリエーションなどのサービスを受けることができる、デイサービスがあります。
まとめ
今回の記事では、神経因性膀胱排尿障害が日常生活に与える影響と対応法について解説しました。
神経因性膀胱は排尿障害を合併する疾患であり、日常生活に大きな影響を及ぼします。
しかしながら、損傷した神経や膀胱の組織を再生することで、排尿機能の回復が期待できます。
そのため、新たな治療法として、再生医療に期待が持てます。
脳や脊髄の損傷に対して、「ニューロテック®」と呼ばれる「神経障害が治ることを当たり前にする取り組み」も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
さらに、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「再生医療×同時リハビリ™」があります。
これらの治療法は、神経因性膀胱排尿障害に苦しむ患者さんに対して期待が持てる治療となるでしょう。
よくあるご質問
- :神経因性膀胱の治療法は?
- 一般的に行われる治療法としては、以下のものが挙げられます。
膀胱の収縮を抑制したり、尿道括約筋を弛緩させたりする薬物療法、膀胱訓練、骨盤底筋体操、尿道にカテーテルを挿入して自分で尿を出す自己導尿があります。
これらの治療で効果が得られない場合は手術療法が考慮されます。 - 神経因性膀胱を放置するとどうなる?
- さまざまな問題が生じます。
膀胱に尿が溜まりやすく、細菌が繁殖しやすくなります。
これが原因で、膀胱炎などの尿路感染症を繰り返し起こす可能性が高まります。
尿が膀胱から腎臓に戻ってしまう尿逆流が起こりやすくなり、腎臓機能障害を起こす可能性があります。
・神経因性膀胱|MADマニュアル家庭版:https://www.msdmanuals.com/
・神経因性膀胱|MADマニュアル:https://www.msdmanuals.com/
・日本看護研究学雑誌:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsnr/38/4/38_20150523006/_pdf/-char/ja
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